フタバから遠く離れて

四季を感じさせられるドキュメンタリーだった。双葉町から避難した人たちを平静にスケッチした感じだ。2011年の春から半年以上は追っているので、各人の状況や心境の変化などが捉えられていた。

全原協(全国原子力発電所所在市町村協議会)の役員会で、会長の河瀬敦賀町長は浜岡原発停止のニュースに怒っている様子だったが、井戸川双葉町町長は特に変わった様子もなかった。しかし、時が経つと、世界の故郷を追われた(無くした)人の気持ちがわかるようになったとか、7、8号基まで建設しようと原発施策を推進していたが失敗だったとカメラに向かって発言するようになった。
そして、全原協の総会で井戸川町長が「悔しい」と吐露するに至ったとき、海江田経産相も細野特命大臣も退席していた。こういう会では、来賓はあいさつを済ませると退席するのが普通なので退席自体に善いも悪いもないけれど(それに本当にスケジュールは分刻みだったろうし)、井戸川町長を捉えていたカメラがパンして空席の来賓席を写したところは、作り手の思いがストレートに伝わってきた。

心を動かされたのは、一時帰宅した父子の場面だ。息子の中井祐一さんが撮ったビデオには、津波で流されて何にもなくなった瓦礫の原と、自宅の基礎らしきところに花束を手向け手を合わせる父親と、放射線の関係で制限時間があるので持ってきたはずの線香をさがす間もないほど気が急いている祐一さんの声が記録されていた。思い出しても涙が出るシーンだ。

また別の家族で、避難所から新居に移転する引っ越しの際、新たな家財道具をトラックから降ろしていたが、冷蔵庫だろうか、ダンボールに東芝のロゴが見えていた。なんだか皮肉だと思った。

そうそう、この上映会は、高知県立大学文化部の哲学を学ぶ学生(シネマフィロソフィア3.11)が主催したもので、ロビーでは福島菊次郎さんの原爆関係の写真展(写真集「原爆と人間の記録」も置いてあった)もやっていた。思いのほか写真と説明が豊富だったし、最終上映後も展示を続けてくれていたので若い人のパワーを感じた。全部見る時間がないのが残念だった。

監督:舩橋淳
(シネマフィロソフィア3.11 2014/01/17 県民文化ホール(グリーン))

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

5月にあたご劇場で観たときは、意外なことにシャールクが目に入ってなかった。というと、あんまりか(笑)。もちろん「好き~」と思って見ていたが、伝説のシックスパックにさえ気がついてなかったくらい他のところに気をとられていた。その、他のところというのは、ディーピカー・パードゥコーンだ。本当に綺麗で可愛くて踊りがうまくて、何より輝きがキラキラキラキラ半端じゃなかった。第一にディーピカーの映画と言えると思う。もちろん、ディーピカーだけでなくシャールクとの魅力的な二人でスタア映画となっている。

ミュージカル・シーンも素晴らしい。ミュージカル・シーンだけで50分(10曲近く)あると思うけど、どの歌もキャッチー。なんべん聴いてもよい音楽で(衣装やセットも含めて)登場人物の心情をよく現している。踊り付きのは、これまた本当に楽しいし色っぽい。

お話もいい。恋と復讐の物語で、それだけでも充分面白いが、「本気で願い精進すれば、全存在が味方してくれる」という前向きなメッセージと「ハッピーでなけりゃ、エンドじゃない」というエンターテインメントに徹したインドの映画作りの神髄を貫き、そうして映画を作ってきた映画人への敬慕の念があふれているのが堪らない。スタッフが踊りながら登場するエンドクレジットは映画好きなら感動ものだ。

脇役俳優オームとスター俳優オームの二役(シャー・ルク・カーン)
大人気女優シャンティプリヤと南部からやってきたサンディの二役(ディーピカー・パードゥコーン)
ムケーシュ(アルジュン・ラームパール)・・・・この人こそ美形でしょう。
パップー(シュレーヤス・タラプデー)・・・・70年代の衣装がお似合い。

OM SHANTI OM
監督:ファラー・カーン
(2013/05/26 あたご劇場)

DVD

時をおいてDVDで観てみると、恋愛映画だったんだな~と改めて感動した。
シャンティプリヤの同じようなクローズアップが始めの方と最後の場面である。いずれもその前のカットは彼女を恋するオームだ。スタアと熱烈ファンという間柄にすぎなかった二人に30年の時を隔ててどんな気持ちの変化があったことか。

始めの方の場面

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「ドリーム・ガール」のプレミアで、レッドカーペットを歩いていく主演女優のシャンティプリヤにうっとり~。

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可愛いファンに、にっこり。

シャンティプリヤの大人気女優ぶりは、もちろんディーピカーの輝きがあってこそなんだけど、うえのようにシャールクの演技力でも引き立っていると思う。
第1部でシャンティプリヤ(スタア)とオーム(ファン)が死に、第2部でサンディ(ファン)と生まれかわりオーム(スタア)と立場が入れ替わるとディーピカーの演技力がちょっと弱い気がする。うえの場面で流れている曲は、第2部でオームとサンディが出会ったときにも流れる。このときサンディは目を回して気絶するんだけど、憧れのスタアに会えて嬉しすぎて目を回したのでしょうと観客が想像力で補う必要がある・・・かな。また、サンディはオームのためなら何でもする度が低いので、「シャンティプリヤを演じる」という動機が若干弱い・・・かな。

最後の場面

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サンディではなく本物のシャンティプリヤだと気づき、手を伸ばすオーム。

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いろんな思いがあるのでしょう。でも、さよならするしかないシャンティプリヤ。

切なさに落涙しそうになった。うえの画像でもわかるとおり、オームの背景は赤く、シャンティプリヤのは青い。背後の色でも生きている者と死んだ者がハッキリわかるが、二人の間には落ちてきたシャンデリアがあって、オームからはシャンデリアを隔ててしかシャンティプリヤを見られないという風に編集されている。二人の隔たりをシャンデリアで物理的に現しているのが上手い。

特典
もちろんメイキングあり。NG集のシャールクの可愛さは特筆ものだけど書かないよ~ん(^_^;。ロンドンのプレミア上映に集まったファン(屋外)に隅から隅まで(遠くの方にはジャンプして)手を振ったりなんだり。インタビューでは腹筋のこと聞かれてたー(笑)。

命ある限り

シャー・ルク・カーンが、かっこいい!!!チャーミングぅ!
は~、やっぱり好きだ~!・・・・で終わってもいいくらい私にとってはシャールクの映画だった!

お話は、サマル(シャー・ルク・カーン)とミラ(カトリーナ・カイフ)と神さまの三角関係(?)・・・・、みたいな(笑)。第1部のおわりで、サマルが防護服なしの『ハートロッカー』していたのは、そういうわけだったのか!!!!と感動して、第2部ではカジュアルな3ヶ月恋愛の現代っ子アキラ(アヌシュカ・シャルマ)の軽さに、古典的メロドラマ(第1部)の後にこれかーーーっ!とインド映画の何でもあり感を面白く思ったものの、サマルが記憶障害になったりアキラがこうしてと頼んでミラがそうしたりという「なんでそーなるの!?」度合いが増して、ぐだぐだになってきた感がなきにしもあらず(笑)。しかし、カジュアルな恋愛ではなく古典の方に軍配が上がり、メロドラマ好きとしては一安心(笑)。

それにしてもインド映画はサービス満点だ。開巻間もない山水の景色にインドは広いな大きいなと感心した。そんな広大な景色の中をノーヘルでバイクを転がすサマルが渋い~。ふふふ、これからはシャールクだよ、クルーズ君。(実はノーヘルには理由があるんだよねぇ。イギリスではミラと二人乗りでちゃんとヘルメットを被っていたのが可愛かった~。)時は遡り場面変わって、ギターを抱えて歌うサマルの背景にはロンドンの名所が次々と(わーい)。もちろん踊りも、ミラは肉感的でアキラは軽快と取り揃え。イギリスの緑もきれい。第1部だけもう1回観たいな~。

JAB TAK HAI JAAN
監督:ヤシュ・チョープラ
(2013/09/16 あたご劇場)

DVD

レンタルが始まったのでさっそく(笑)。
このメロドラマは、ただものではないゾ。っていうか、このドラマのテーマは「神様も降参する愛」で、ちゃんとセリフにあった。さて、どの場面で誰が言ったでしょう?

落ち着いて見ると第2部もなかなかよかった。アキラはサマルに失恋するわけだけど、ほろりとくるねぇ!第2部は「アキラ、失恋の巻」として観るべきだった。

ところで、記憶喪失になったサマルが自分のことを「猿みたいな顔」と言う場面があって猿の顔まねをするんだけど、シャールクは真似をしなくても猿顔に見えることがある(ごめん、シャールク(^_^;)。というのは、私はシャールクの中にみのもんたを発見してしまうことが時々あるのだ(涙×涙)。シャールクはミリオネアの司会をやってたことがあるそうなので、みのさんと深い(?)縁があるのだなぁ(やめてー。←ムンクさん)。

この映画にしても『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』にしてもインド映画はスケール感があって、スクリーンがふさわしいなぁ。

マッキー

恋敵に殺されてハエに生まれかわる話が、こんなに面白いとは(笑)。
予想以上によく考えて作られていた(^Q^)。どうやって終いをつけるのだろう(ハエの寿命は1週間くらいだろうに)と思っていたら、飛んで火に入る夏の虫も真っ青の自己犠牲。恋人のために身を投げ出すのか!?・・・・と危うく涙をこぼしかけた(笑)。←にじむくらいは出た。

ジャニ(ナーニ)が殺される前、ビンドゥ(サマンサ・プラブー)を家まで送っていく至福の歌のシーンで、笹の葉が舞い、竹のトンネルを抜けていくのを見て、やはりインドもアジアだと感じた。2時間5分とインド映画にしては短いし、歌はあるけど歌って踊ってのミュージカル・シーンはほとんどなかったので、外国映画の影響でインド映画が変わってきたというのは本当だと思った。それでも、アジアを感じるし、インド映画以外の何ものでもないと思う。皆、顔が濃いのよ~(笑)。コテコテなのよ~。

一番受けたシーン。悪役のスディープ(スディープ)がハエに悩まされ眠れず、ついには毛布をグルグルと身体に巻き付けてミイラのようになったところ(^Q^)。

EEGA
監督:S・S・ラージャマウリ
(2014/01/04 あたご劇場)