安部泰輔展 シャガール世界

シャガールの不思議な森 シャガール×安部泰輔

シャガールの良さがイマイチわからなかった。したがって、シャガール収集に反対だったし、常設も常にパス。ところが、今回、展示場の中央にこんもりとぬいぐるみの丘が見えるではないか。シャガールの絵に描かれたものをぬいぐるみにしているらしい。どれどれ~と入ってみて・・・・。
展示されているぬいぐるみは、どの絵のどれだ!?えーっとと探し回って・・・・、見つけたら嬉しい!!!特に気に入ったのは「オルジュヴァルの夜」という絵の右上の青い天使。ぬいぐるみも可愛いし、絵の中の天使の色もいいなぁ。鼓のような手風琴のような何かわからないものを持っているのもいい。山羊がバイオリンを弾いているのもぬいぐるみで気がついた(笑)。「村の祭り」で小さな棺を担いだ二人もぬいぐるみになっている。棺には花輪が載せられている。などなど~。とっても楽しかった。
聞けば、シャガールの展示場は滞在時間が短いそうで、よく絵を見てもらおうとして企画したのだそうな。好企画だ(拍手)!
「花嫁の花束」なんか単に赤い背景としてしか見えてなかったものが、人や変な動物や何か建物らしきものが描かれていることに気がついた。

安部泰輔 シャガール世界

これは、面白い!楽しくてウキウキ!
「皆さんが描いた不思議な生き物の絵をもとに安部さんが小さなぬいぐるみを作ります。」←毎日10名限定ワークショップ
ということで、描かれた絵と立体となったぬいぐるみを見比べて楽しんだ。
フェルトのうえでゴロゴロしてもいいよとチラシに書いてあるとおり、子どもがお昼寝中ー(笑)。お父さんが団扇で風をそよそよと送っていた。
会場では安部さんがミシンを踏んだり、誰かのお母さんにぬいぐるみの作り方をアドバイスしてたり。
会場の入り口には、シャガールの「料理でいっぱいの食卓」をモチーフにした立体作品があって、これを被って撮影OK。私も被って撮影してもらえばよかったよ(笑)。
通常、私たちが裁縫で小物を作るときは糸の始末とか、布端がほつれないようにとか、綺麗に綺麗に作ろうとするけれど、安部さんの作品はそういうのとは違って、その分やはりパワーがあると思う。

TAISUKE ABE official site

グロリア物語

高知県立美術館通信2013年7・8・9月号に登場したコレクション「グロリア」。うえの写真をご覧のとおり、美術館ホールのホワイエを飾る巨大画だ。行った人はわかると思うけど、まるであつらえたように雰囲気も大きさもホールにピッタリの絵なんだけど、実は・・・というのが今号の美術館通信で明かされている(私は別ルートで聞いてたけど)。
実は、あんまり大きいので収蔵庫に入らなかったんだって。記事を書いた奥野さんの文章も面白い。

「グロリア」を最初に見たのは、パリ郊外のとある倉庫であった。それはとてつもなく巨大な平面作品で、サイズ的に当館が収蔵することはありえなかったのだが、その10ヶ月後、あろうことか「グロリア」は、収蔵品だけで構成した開館記念展に出品されていたのである。
(高知県立美術館通信NO.81より 太字はお茶屋)

苦肉の策でホールに掲げることになったらしいが、正に怪我の功名だ。こういう楽しい逸話つきのコレクションは、県民としても愛着がわくものである。

(2013/08/03 高知県立美術館)

塩田千春展 ありがとうの手紙

塩田千春展 ありがとうの手紙
第一会場の一部屋がまるごと一つの作品と化していた。水族館で左右と上方の魚をながめながら歩くチューブ上の通路を思い浮かべてもらったらいいかな?水族館でのガラスの向こうに当たる部分は、この作品では黒い糸が張り巡らされている。通路は回廊になっていて、中央部分には色んな人が誰かに宛てた「ありがとうの手紙」がホチキスで留められている。近くの手紙は読めるので、いくつか読んでみる。書いた人の年齢層は幅広いみたいだ。張り巡らされた糸は、あやとりのよう。一定の法則があるのか、トンネル状のカーブなど美しく見える。こんなことをよく思いつくな~。制作と撤収過程をちょっと覗いてみたい。

第二会場も奥の方に黒糸を張り巡らした作品があった。一つは家のような骨組みに糸を張り巡らしたもの。もう一つは、婚礼衣装の紋付き袴と打ち掛けを対にしたもの。婚礼衣装の方は、家の方より糸が細く、密度が高い。横から見ると衣装の前面に空間を作ってあった。そのため、糸の向こうに衣装が綺麗に見える。
奥の間には、赤い絵の具をつけた手で描いたものも三作品あった。これはあまり新規な面白さはないと思ったが、ご本人の手によるものだろうから、太陽丘とか月丘の盛り上がりが芸術家っぽいな~などと手相を見ていた。
手前の間は、指揮者台に向かって譜面台が並べられており、譜面台には透明なチューブが張り巡らせられていて、その中を赤い液体が流れている。しばらく献血に行ってないな~と思った。
何を表現しているのか考える気も起こらなかったが、とにかく、よくこんなことを思いつくな~と感心した。そして、やっぱり、制作と撤収に思いを馳せた。

Chiharu Shiota(公式)
(2013/08/03 高知県立美術館)

最終目的地

丸く収まって、めでたしめでたし。とても面白かった。
神が人間に与えると約束した土地ではなくても、自分に合った土地で暮らすのがいいよねということだと思った。同時に自分に合った土地でくらすのもいいけど、それよりも相性の良いパートナーといっしょにいるのが(周囲の者も含めて)幸せというものだと思った。

登場人物のキャラクターが立っていた。オマー・ラザギ(オマー・メトワリー)、可愛い~(^_^)。ディアドレ(アレクサンドラ・マリア・ララ)、傑作~(^Q^)。

オマーがウルグアイにやってくるまで、アダム(作家ユルス・グントの兄:アンソニー・ホプキンス)やキャロライン(作家の妻:ローラ・リニー)、アーデン(作家の愛人:シャルロット・ゲンズブール)、ピート(アダムのパートナー:真田広之)はいったいどんな生活を送っていたのか。平穏で均衡がとれた生活だったろうけど、退屈していたみたい。そこへユルスの伝記を書かせてほしいとアメリカからオマーがやってきて均衡がくずれた。パズルのピースが一つ増えて、うまく収まらないな~というところへ、オマーの恋人ディアドレもやってきて、ひっちゃかめっちゃか(笑)。

3年後、ニューヨーク(?)のオペラ劇場でディアドレとキャロラインが再会して、その会話からウルグアイ組もうまくいっていることがわかる。キャロラインもディアドレもパートナーに恵まれて幸せそうだ。パズルが完成した。いや~、めでたい。

それにしても、ウルグアイにオマーがやってきたとき、オマーとアーデンの仲をやっかんでいたかに見えたキャロラインが、実は欺されやすいアーデンを心配していたのだとわかって、ちょー面白かった。ユルスが書いた自伝的小説をキャロラインだけが読んでいる。その内容からすると、ユルスは妻と愛人の壮絶なバトルを期待していたみたいだ。だけど、現実には妻と愛人の力に差がありすぎて嫉妬心など生まれようがなかったようだ。あるいは妻が夫に不足を感じていたのか。妻には圧倒され、愛人では物足りない、ユルスの立場はーーー(笑)。妻への当てつけに自死したってこともありえはしないだろうか。
キャロラインが原稿を焼こうとしたのはなぜか。また、焼きかけた原稿を炎の中から取りだしたのはなぜか。そういうところも面白かった。

THE CITY OF YOUR FINAL DESTINATION
監督:ジェームズ・アイヴォリー
(シネマ・サンライズ 2013/07/26 高知県立美術館ホール)