真夏の方程式

おお~、泣かせるねぇ。面白かった。
どちらの殺人も唐突に見えてしまうけど、よく考えて殺すってことは、あまりないだろうから、こんなものなのかな。
ネタバレになってしまうけど『あの日、欲望の大地で』とかを見ても罪は法律に基づいて償う方が真犯人の精神衛生上はよいと思う。『麒麟の翼~劇場版・新参者~』でも真犯人を見逃してロクなことはなかった。『真夏の方程式』でもある人物の人生がねじ曲がってしまうのが可哀想だ。そうすると真実を求め、自分の気持ちに正直に生きている湯川博士(福山雅治)なんかは、罪悪感などあまり感じることなく幸せに生きられるのかも。
俳優はみんなよかたけど、特に杏ちゃんがよかった!(君は夏目雅子か!と思った。いやいや、夏目雅子抜きで本当にとてもよかった!)

[追記]
湯川博士が良いことを言っていた。
川畑成美(杏)は、美しい玻璃ヶ浦を守りたいので海底資源の調査に反対していた。湯川博士は、賛成するにせよ反対するにせよ正しい情報をすべて知ったうえでの選択が大切だと言う。また、ある人物の人生がねじ曲がってしまうことが懸念されるが、湯川博士はその人物にすべてを話せと言う。本当のことを知ったればこそ人生が選べると。「知らぬが仏」ですめばよいが、「一知半解」で判断を誤るな。これは東日本大震災と福島第一原発の事故が影響を及ぼした作品だと思った。

川畑節子(風吹ジュン)/川畑重治(前田吟)/仙波(白龍)/恭平(山﨑光)/塚原(塩見三省)

監督:西谷弘
(2013/06/30 TOHOシネマズ高知7)

塀の中のジュリアス・シーザー

お見事!
人物の顔の表情や身体全体を使った表現が力強く迫ってくる。刑務所内の様々な場所で工夫されて撮影されている。「戯曲『ジュリアス・シーザー』を演じる囚人」を演じる囚人というふうに見えるのが刺激的。16世紀にイングランドで書かれた紀元前のローマを舞台にした戯曲が、今を生きる囚人たちの体験してきたこととかぶるとは、人間の営みの普遍性を感じる。いろんな意味で人間を感じさせてくれる作品だった。また、『グッドモーニング・バビロン!』でイタリアの兄弟職人がハリウッドで巨大セットや装飾品を作りながら、「俺たちはミケランジェロやダ・ヴィンチの子孫だ」と言っていたのを思い出した。

ブルータス(サルヴァトーレ・ストリアーノ)/シーザー(ジョヴァンニ・アルクーリ)/カシアス(コジーモ・レーガ)/ファビオ(ファビオ・カヴァッリ)

CESARE DEVE MORIRE
CAESAR MUST DIE
監督:パオロ・タヴィアーニ、ヴィットリオ・タヴィアーニ
(とさりゅう・ピクチャーズ 2013/06/27 高知県立美術館ホール)

エンド・オブ・ザ・ワールド

あれれ?コメディではなかったのか(ガク)。
あと3週間で地球が木っ端微塵、人類滅亡。そんなとき、残りの時間をどうするか。まあ、余命1ヶ月を宣告されたとき、どうするかといった方が現実的ではあるけれど。
せっかく、人類滅亡なんだから、ドッジ(スティーヴ・カレル)やペニー(キーラ・ナイトレイ)のように愛する人といっしょに最期のときを迎えるパターンだけでなく、いろいろ見せてくれたらよかったのに。たとえば、ドッジの家のハウスキーパーさんとか(わいわいラテンの乗りで家族と最期)、ドッジの父(マーティン・シーン)(孤独にライフルをみがきながら最期)、ペニーの元恋人の黒人青年(仲間とゲームをしながら最期)。

余命3週間となると、やりたかったこと、やりたくなかったことがハッキリしてイイね。私の場合は、即辞職。やりたいことはほとんどやっているので、お家でゆっくりDVDでも見ながら最期にしましょうかねぇ。あ、停電になるのかな。だったら、マリリン・モンローの写真集とか眺めながら。

SEEKING A FRIEND FOR THE END OF THE WORLD
監督:ローリーン・スカファリア
(2013/06/27 あたご劇場)

東ベルリンから来た女

う~ん、なんか私にはイマイチだった。よくわからない。居眠りしたからかも(^_^;。期待していたのでとても残念。
登場人物は多くを語らないが、筋立てはシンプルでわかりやすい。バルバラ(ニーナ・ホス)は、西側に恋人がいるから亡命しようとしていたけれど、1回失敗しているからベルリンから鄙びた町へ左遷され、シュタージの監視下にあって息がつまるような生活を強いられている。そうするとなおさら、東側にいることが耐えられないだろう。それでも医師として仕事は全うしたいと思っている。上司(?)のアンドレ(ロナルト・ツェアフェルト)は、彼女の様子をシュタージに報告しているだろうな、彼女もそのことはわかっているだろうな~。アンドレの送る秋波(?)にちょっと揺らいだかもしれないけど、彼は彼女のタイプじゃないしね~。
作業所を何度も逃亡したステラ(ヤスナ・フリッツィ・バウアー)になぜ、あれほど肩入れするか。バルバラも作業所出身かと思ってみた。そうでなくても、ステラを逃がしたことには違和感を感じなかった。ステラを救うにはそれしかないし、バルバラは医師だ。ステラを逃がしたカドで逮捕されるだろうけど、バルバラならステラを逃がすことに迷いはなかっただろう。

ほとんと感慨もなく見終わったのはアンドレがいたからかもしれない。医療ミスをした過去があり昇進は望めず望まず、監視社会の一員として嫌なこともあるし、自由に絵画も観に行けないが、医師の仕事を全うし、患者から感謝されることもあり、庭付きの家に住み、自ら調理する。侘びしいけれど、それはそれでいいんじゃないと。私にはバルバラの恋人よりアンドレの方が魅力的だったので、こっちにしとけば~と思っていたのだった。

BARBARA
監督:クリスティアン・ペツォールト
(シネマ・サンライズ 2013/06/25 高知県立美術館ホール)