月の下まで

高知県黒潮町を舞台に、漁師の明神勝雄(那波隆史)が、知的障害のある息子雄介(松澤匠)を抱えた心の葛藤を描いた佳作。この葛藤にリアリティがあった。もっともリアルだったのは溺れかけた雄輔を見る勝雄の表情。何を思っているのかハッキリわかったし、こういう感情は現実にあるので怖かった。

主演の二人を初めて知ったが、日本には良い俳優がたくさんいるのだなぁ。那波さん、カッコイイ・・・・。地味だけど。松澤さん、演技とは思えなかった。他の俳優も地味さ加減を含めて地元の人に見えた。

奥村監督の初監督作品で当地に縁もあるので、よくわかってない私の恥をさらすことになるかもしれないけど;;;、「?」と思ったところを記しておこう。監督の目に触れて今後の参考になればいいな。
ファーストカット、水平線が斜めで船に乗っている感じがよかった。漁師さんの唄をバックに島に近づいていくところ、出演者の名前が始め左、その後右に表示されるのはバランスもよくて、映画の出だしとしてつかみはオッケーと思った。ただし、鳥居前でのお参りがどう話につながっているのか今一不明。勝雄が船を新造したと言っていたので、そのお祝いだったのかな?
大漁で打ち上げたあと、港で夕焼け(朝焼け?)のきれいなシーンがあって、帰宅したら母がご飯を食べているシーン。夕焼け港→打ち上げ→帰宅の順番だったかな?その順番ならイイかもしれないけど、打ち上げが夜かと思ったので、その後夕焼けで帰宅したら深夜?そんな感じで時間の流れがよくわからなくなった。←集中力を欠いていたのかも;;;。
ご近所さんに暴力を振るって入れられた留置場で夢を見て、泣きながら目をさまし、漁師仲間(←この人もよかった)の迎えで家まで送ってもらい、雄介を目にするという流れがとてもよかった。この流れで感動できた。
恵理(富田理生)を両親が見送るシーン。父親は勝雄に殴られてボコボコのはずなのに・・・と思ってしまった。よく考えたら、お祭りから半年くらい経っているのかな?時間の経過がよくわからなかった。
それと笑えるシーンが二つ三つあれば、一つの作品としてほぼ完璧と思った。『スイート・シックスティーン』だったと思うけど、ケン・ローチ監督が16才の少年の生活をリアルに描こうと思ったら笑えるシーンが必要、現実に笑っているからと言っていたように思う。その他の作品でも必ずユーモアがあって笑える。観客の気持ちもほぐれるし、よりリアルになるし、笑いは一石二鳥だ。「勝雄(まさお)=かつお」というのには、ちょっと受けたよ。

監督:奥村盛人
配給:シネフォリア/配給協力:ユーロスペース
(2013/06/22 TOHOシネマズ高知5)

「月の下まで」への2件のフィードバック

  1. お茶屋さん、こんにちは。
    今日付けの拙サイトの更新で、いつもの直リンクにこちらの頁を拝借したので、報告とお礼に参上しました。
    お書きのように、あまり知られていない良き役者さんたちがたくさん出ている作品でした。
    投げかけておいでの箇所は、いずれも編集に係る部分ですね。
    時間芸術とも言うべき映画において、時間の流れって、とても大事ですよね。
    ところで、最後の汽笛は、どのようにお聞きになりましたか?
    どうもありがとうございました。

  2. ヤマちゃん、どうも。
    リンクとコメント、いつもありがとうございます。
    本当に俳優さんが皆さんよかったですね。
    それとやはり真面目に作られているので応援したくなるというか、老婆心というか、上から目線というか、つい、色々書いてしまいました(笑)。

    汽笛?
    すみません、忘れてしまいました。
    もう一回、ヤマちゃんの日誌を読んでみますね。(今日はもう寝るけど。)

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