王になった男

イ・ビョンホンのカッコよさと可愛らしさを活かした二役で楽しかった。
光海君(イ・ビョンホン)は、もとは臣民のことを思うよい王だったようだが、いつのまにか暗殺に脅え疑心暗鬼に汲々とする暴君になってしまった。面白いのは影武者のハソン(イ・ビョンホン)を指南するホ・ギュン補佐官(リュ・スンリョン)や宦官のチョ内官(チャン・グァン)だ。元々は臣民のための政をするつもりの(?)王に仕えていただけあって、傀儡に徹することという指南を飛び越え本当に臣民のための政を行いだしたハソンの姿に感じるものがあったのだろう(ハソンの魅力もあったかもしれないが)、ハソンを好ましく思い始めるところが良かった。ホ・ギュン補佐官なんか光海君と差し違える覚悟で(?)現状を報告しに行くのだ。光海君もバカじゃなくて良かった。ホ・ギュン補佐官を処刑したことにして反対勢力の譲歩を引き出し、地主に課税する法律をとおす。ホ・ギュンは逃げ延びたハソンといっしょになって、今度は小さな国作りから始めるのかな?

涙を搾らされたのは卜部将(キム・イングォン)だ。ハソンを逃すため犠牲となって果てる。「王を守るのが自分の役目、あなたは私の王だから守ります。」と言うのだ。もちろん、ハソンが偽物とわかったうえでのセリフだ。作り手は、ハソンのように民を知り、民のための政治を行う人が王であり、国のリーダーであってほしいと願っているのだろうなと思いながら見ていた(というか寝ていた)。

MASQUERADE
監督:チュ・チャンミン
(2013/04/13 TOHOシネマズ高知3)

桜、ふたたびの加奈子

いや~、ジャニーさんとこには、いいこがいますねぇ!
高田翔くんに初めて気づいた(遅い)。やっぱり、テレビを見ないといけないかなぁ。
内省的な高校生役で主に受けの演技だったんだけど、セリフなしでもモノを言うその瞳。心のひだを表現できるのね~。また楽しみができて嬉しいなぁ。

桐原容子(広末涼子)と信樹(稲垣吾郎)の子ども加奈子が亡くなって生まれかわるというお話。まわりではシュンシュンと泣いている人が複数。私も少しうるっときたけど、輪廻転生をこんなに真面目にやられてもねぇ。まあ、ちょー変な作品だと思う。脚本、誰だ?
知恵の輪、金環日食、輪っか型モビール、土管、トンネルなど、やたらと円環のイメージを散りばめて生と死がつながっていることを印象づける。また、いい音楽を使っているんだけど過剰。作り手は、程よいさじ加減がわからないらしい。ただし、桜は本当に綺麗だった。でも、同じ年の同じ日の桜を撮影したように見える。何年にも渡る話なのだから、それはちょっと不味いかもしれない。

野口先輩(福田麻由子)/東山直也(高田翔)/先生(吉岡麻由子)

監督:栗村実
(2013/04/13 TOHOシネマズ高知3)

世界にひとつのプレイブック

私にとってはジェニファー・ローレンスとデ・ニーロで元が取れた映画だった。
ジェニファー・ローレンス、体形から何から色っぽい。
デ・ニーロ、老けても色っぽい。

Every cloud has a silver lining.
どの雲にも銀の裏地がついている
(英和辞典・和英辞典 – Weblio辞書 英和和英より)

パット(ブラッド・クーパー)もティファニー(ジェニファー・ローレンス)もどん底だったので、お互いが希望の光(銀の裏地)ということなのか(納得)。二人の立ち直り作戦だったわけだけど、クレイジーなのは二人だけじゃない、皆少しずつ狂ったところがあるじゃんと言っているのが、そうだよねぇという感じだった。かなり笑えて楽しかった。

父(ロバート・デ・ニーロ)/母ドロレス(ジャッキー・ウィーヴァー)/ロニー(ジョン・オーティス)/ダニー(クリス・タッカー)/パテル医師(アダム・ヌーカー)

SILVER LININGS PLAYBOOK
監督:デヴィッド・O・ラッセル
(2013/04/10 TOHOシネマズ高知2)

レーピン展

観に行った当時は、リヒテンシュタイン展のクララ・ルーベンスちゃんや、その他のお宝お宝したキラキラ感が頭に残っていて、レーピン展の見始めの数点は暗くて寂しくて姫路まで来たのに~と思った。でも、すぐに慣れて、結局ほとんどの絵が気に入った。レーピンは、対象をよく観察し、冷静に描いている感じ。絵の中の人物は、その人の個性を発揮しているが、描き手は常にクールで動きのある絵もドラマチックな絵も静か。映画監督で言うとクリント・イーストウッドみたいな感じだ。

気に入った絵をスキャンしようと思ったら全部ってことにもなりかねないので、特に好きな3点と言いたいことがある3点をアップしてみる。1枚で物語ができてしまうくらいドラマチックな絵も数点あったので、それもスキャンしたらよかったかな。「ゴーゴリの『自殺』」なんか図録はゴーゴリのまわりの調度品が鮮明に印刷されているけれど、実物は暗がりに暖炉の火の赤と画面の奥の蝋燭の他は黒ーって感じで随分印象が異なる。実物の方は、じーっと目をこらさないと部屋の様子はわからない。映画の一場面を見ているようで、原稿を抱え天を仰いだゴーゴリの表情が本当にドラマチックだった。

(2013/02/28 姫路市立美術館)