ミッドナイト・イン・パリ

う~ん、ウディ・アレンとは相性がよろしくないなぁ。1920年代のパリにタイムスリップして、ピカソやダリやブニュエルに会えるなんて、ちょー面白いし、全編に漂う音楽も好きだし、演出もしゃれているし、ところどころ笑えて楽しかったけれど、ギル(オーウェン・ウィルソン)が嫌い。出ずっぱりなのでキツかった(きゅー)。

イネズ(レイチェル・マクアダムス)/アドリアナ(マリオン・コティヤール)

MIDNIGHT IN PARIS
監督:ウディ・アレン
(2013/02/16 あたご劇場)

だれもがクジラを愛してる。

この邦題はよいと思う。
クジラを捕って食べる人もクジラを愛しているんだよということで、原題よりいいなぁ。
ただ、本当に「だれも」が愛しているかというと、皆、それぞれの思惑があってクジラを逃がそうとしているわけであって、愛だけで「大きな奇跡」が起こせたわけではないという点からすると、原題は皮肉が効いていてイイかもしれない。

レイチェル(ドリュー・バリモア)/アダム(ジョン・クラシンスキー)

BIG MIRACLE
監督:ケン・クワピス
(高知市民映画会 2013/02/07 かるぽーと)

桃(タオ)さんのしあわせ

よかった~。うれし泣き。
本当にやさしい穏やかな感じがして感動した。

気が合う二人、桃さん(ディニー・イップ)とロジャー(アンディ・ラウ)の親子のような恋人のような遣り取りが忘れられない。
ロジャーの「ぼくが病気のときは桃さんが、桃さんのときはぼくが看病できてよかった」というセリフも良かった。
ロジャーの友だちが次々と電話口に出て老人ホームの桃さんと話すところも良かった。
ロジャーは優しい。「ガサガサしないで」と言う母の小言をすぐに聞き入れるし、そればかりか飲み物まで持っていってあげる。
桃さんは「いちがい」な人。主従の関係があるからロジャーの母が差し入れを持って老人ホームに来てくれたときは、えらい気の遣いようだったけれど、食べ物に関しては元雇い主の差し入れと言えども「まずい」とハッキリ言う(笑)。
身寄りがない桃さんは福祉制度を利用することができたけれど利用せず、老人ホームの費用などをロジャーに任せた。誰かの好意に甘えたり、ひとかたならぬ世話になったりは、心苦しくなったりするものだけど、桃さんにはそんな様子がなくてよかった。ロジャーに世話にならないということは縁が切れるということだからかもしれない。血縁でもあれば制度を利用したかも。
唯一悲しかったシーン。桃さんが二度目の発作で意思疎通できなくなり、ロジャーがそれを(桃さんに見えないところで)噛みしめるところ。
香港の介護事情がそれとなくわかるところもよかった。『海洋天堂』といい、香港映画の潮流か?
桃さんの入った老人ホームとロジャーの家、桃さんのために用意したアパートなどの地理的な位置関係がわかりにくいのが残念だった。

桃姐
A SIMPLE LIFE
監督:アン・ホイ
(こうちコミュニティシネマ 2013/01/28 高知県立美術館ホール)

さよならドビュッシー

この映画を観る少し前のこと、韓国ドラマに嵌っている友だちに、山口百恵の「赤いシリーズ」みたいな感じかと尋ねて「違う」と言われ、予想を外してガッカリしていた。そこへもってきて、『さよならドビュッシー』だったので「これだよ、これ!」って感じで嬉しくなった。「バレエ・シューズに画鋲」みたいな懐かしきドラマ臭を漂わせながら、ピアニストになりたい真っ直ぐな心の女の子を主人公に、「自分のためなら続かないが、大切な人のためなら続けられる」とか「人を感動させられる演奏は、技術だけではない」などの珠玉のセリフを散りばめて、最後のドビュッシーの「月の光」に心洗われ涙させられる、とまあ、そんな作品だった。ベクトルは善なるもの美しいものを指しているから、前向きで清々しい印象が残る娯楽作だった。

<クレジット-BGM「サンタ・ルチア」ゆっくりと->
莫大な財産を遺していった祖父(ミッキー・カーチス)、祖父と一緒に焼死した従姉のルシア(相楽樹)。そして、火災から奇跡の生還を果たしたものの、やけどの後遺症がありピアニストになる夢はとても叶いそうにない主人公の遥(橋本愛)。彼女を窮地から度々救う素敵な(?)ピアノの先生岬洋介(清塚信也)。
うさんくさい叔父(山本剛史)、頼りにならない父(柳憂怜)、死んじゃう母(相築あきこ)、なんだよ、もう(苦笑)の家政婦みち子(熊谷真実)。コメディ・リリーフの新条医師(吉沢悠)と先生コンビ(戸田恵子、三ツ矢雄二)。

監督:利重剛
(2013/02/02 TOHOシネマズ高知9)