バスカヴィル家の犬

やはり面白い!
なにせ日本シャーロック・ホームズ・クラブの人気投票のたびに第1位になっている(と思う)。
ベアリング=グールドも文献学的覚書で「この物語は、ホームズが物語を支配している、というよりは物語がホームズを支配している唯一のホームズ物語であるとよく言われる。いずれにせよ批評家も一般的に、ホームズ物語の四つの長編のうち、最大傑作であるとしている。」と書いている。
おそらく、もっとも推理小説らしいのだと思う。殺人事件であり、犯人の動機と手法がハッキリしているし、怪しい人物も数人いる。手がかりが散りばめられているので、読者もホームズ張りの推理をして楽しめるのではないだろうか。おまけにダートムーアの湿気やバスカヴィル家の魔犬伝説が、不気味な雰囲気をかもし出している。そして、他の事件で忙しいホームズに代わってダートムーアに派遣されたワトソンが大活躍なのだ。

ムーアで思い出すのは「嵐が丘」。ダートムーアはイングランド南西部のデボン州で、「嵐が丘」のムーアは北部のヨークシャー州だそうな。どちらもヒースが咲くみたい。(荒れ野はヒースに任せなさい?)
ヒースと言えば、「嵐が丘」のヒースクリフか、ヒース・レジャーか、吉田秋生の「カリフォルニア物語」の主人公ヒースというところだけど、検索したら他のヒースがヒットしてビックリ。

  • ヒースクリフ・セイバーヘーゲン(ゲームのキャラクター?)
  • SAOのヒースクリフ(「ソードアート・オンライン」というライトノベルの登場人物)

いろいろググってみたら・・・・。

  • ムーア(地形)=荒地、湿原
  • ヒース(地形、植物)=荒地、ジャノメエリカ、ヘザー

wikiによると「ヒース(heath)は、本来はイギリス北部、アイルランドなどにおける荒地のことで、独特の背の低い植物が群生する。」とあったので、『P.S.アイラヴユー』で主人公(ヒラリー・スワンク)が、後の夫(ジェラルド・バトラー)に出会ったアイルランドで咲いていた紫の花はヒースだったのかもしれない。

バスカヴィルからこんなとこまで来たか(笑)。

ボーン・レガシー

ジェレミー・レナーがイイ(^o^)。
予告編でいいなぁと楽しみにしていて、期待以上によかったので満足だ。

エドワード・ノートン、スコット・グレン(TAOさんのおかげで干物にしか見えなくなった(笑)。スコット様、ゴメン。)、デヴィッド・ストラザーンなど、もったいない使われ方をされている。追っかけシーンなんか、カメラぐりぐり、カットぱぱぱぱの何が何だかで詰まらない。お話もCIAの極秘作戦がどうのこうのと大きく出た割に、結局、アーロン・クロス(ジェレミー・レナー)とマルタ・シェアリング(レイチェル・ワイズ)が、いかに追っ手を逃れて注射するかというだけのことだった。
2時間を退屈せずに済んだのは、ジェレミー・レナーに見とれていたからと言うほかない。

驚いたのは彼の顔だ。
予告編で傷のある顔が映っていて、これはてっきりジェレミー君とは別の俳優だと思っていた。手術か薬でジェレミー君の顔にして秘密工作員として働き始めるのだと思っていた。それが本編を見ると、傷のある顔はジェレミー君本人だった!(私だけの驚き?)
それと、額のシワ。
この複雑な(?)シワが、離れた目と、困ったような眉とあいまって見飽きない。童顔の部類に入る(特に横顔)と思うけれど、皮膚の凸凹が風雪を感じさせる。
それに動ける。
するするヒョイヒョイ登れるし、なかなかのバイク乗りじゃん。(もしかしてスタント?)
う~ん、今後、どんな役をやってもらおうかしらねぇ。考え中(^_^)。

THE BOURNE LEGACY
監督:トニー・ギルロイ
(2012/09/29 TOHOシネマズ高知6)

白雪姫と鏡の女王

爆睡。何も言う資格はないm(_’_)m。
しかし、言いたい!
美しい映像を期待して行ったのに綺麗ではなかった。衣装や鏡や、いろんな物の造形は面白いのに、映像そのもののヌケがよくないと思った。
王子が犬になったところとエンドクレジットのボリウッド風ミュージカルシーンは目が覚めていてよかった!

白雪姫(リリー・コリンズ)/女王(ジュリア・ロバーツ)/王子(アーミー・ハマー)/王(ショーン・ビーン)

MIRROR MIRROR
監督:ターセム・シン・ダンドワール
(2012/09/29 TOHOシネマズ高知1)

デンジャラス・ラン

デンゼル・ワシントンて本当に役者だなぁ。カッコよくて男前で演技力があるって、鬼に金棒、向かうところ敵なし。

CIAの裏切り者トビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)は人心を自在に操ると恐れられているので、後輩マット・ウェストン(ライアン・レイノルズ)をどれだけ意のままにするのか楽しみにしていたが、そこのところは肩すかしの脚本だった。しかし、これまでいくつものあぶない橋を渡り、凄腕を維持しながらも現状に倦んでいる様子や、若きエージェントにかつての自分を重ね、見所があるヤツとわかると、自分の轍を踏まぬよう期待をしたりする陰影に富んだ人物像が見所となっていた。昔からの仲間(偽造屋)に心を許している場面なども短いが印象に残っている。

一方、若手のマットの方も見所を与えられていた。恋人といっしょのにやけたシーンから始まって、実績をあげてステップアップしたい野心なども垣間見え、隠れ家に重要人物がやってきたときのドキドキ感、そいつを守りながら追っ手を逃れ、初めて人を撃ったり、上司の裏切りを知ったり、ちゃんと頭を働かせて成長著しい。シャープさがまるでなく、普通の兄ちゃんにしか見えないのに・・・・。生き残るのはこういうタイプかもしれない。

カメラを振り回し、嫌というほどカットを割ったアクションシーンだけでは心に残らないが、主役二人の(もちろん比重はトビン・フロストの方が大きいが)人物像がよく描かれていたので面白かった。

SAFE HOUSE
監督:ダニエル・エスピノーサ
(2012/09/24 TOHOシネマズ高知2)