ミナリ

う~ん、なんだか物足りなかった。おばあちゃん(ユン・ヨジョン)はサイコーなんだけど。
移民の苦労話でもあり家族の物語でもあり、禍福はあざなえる縄のごとしでもあり。納屋が燃えるところ、なんかどっかで見たことがあるような気がする。
ジェイコブ(スティーヴン・ユァン)が農作業のために雇った神懸かりの人(ウィル・パットン)、あの人が何を意味しているのかわからない。神そのものだろうか。十字架を背負っていたのでイエス・キリスト、その人かしらん。どうもこの人の言うことは聞いておいた方がよいぞという作りになっている(ような気がする)。
デイヴィッドの病を祖母が引き受けた奇跡のようにもみえるし、神懸かりの人がお祓いをして祖母の加減がよくなったという受けとめ方もできそうだ。
農地の水源を求めてダウンジングの拒否に始まり、自分たちで掘り当てた水源は枯れ、結局はダウンジング頼みに終わる。何か「信じる者は救われん」的な匂いがする。妻(ハン・イェリ)は信心深いし。
レーガン大統領というと1980年代のアメリカが舞台だから(韓国の80年代は民主化を阻んだ大統領?それで移民?)、映画の定石としては息子デイヴィッド(アラン・キム)が大きくなった現在に繋げて作品を「おしまい」にしそうなものだが、父と子がおばあちゃんが種を播いたミナリ(セリ)の収穫をするところで終わる。
セリ、パセリ、セロリ、パクチー、三葉。セリ科の野菜は大好きだ(^_^)。でも、タイトルに込められた思いはわからない。
適材適所かなぁ。おばあちゃんの知恵。開拓精神も大事かもしれないけれど、環境にあったものを育てるのがよろし。ダウンジング失敗、ミナリで成功したのでは???
(2021/03/22 TOHOシネマズ高知2)

<<追記>>
よくわかってなくて物足りなく感じた作品でしたが、次のお二人の解説により「ミナリ」の意味がわかってきました。お二人の解説に共通しているのは、「朝鮮戦争の罪滅ぼし」、「男は(も)つらいよ」、「おばあちゃんは神(女神)」(キリスト教の神と女神の違いはありますが)、「雨降って地固まる夫婦仲」など。

ケイケイさん
『ミナリ』mixi
ケイケイの映画日記『ミナリ』←mixi会員でない方も読めます。
韓国の文化の視点から。
異なる文化圏に住んでもルーツの文化は受け継がれていくのだと思いました。強くたくましく根を張っていくミナリ。

町山智浩さん
映画ムダ話199 『ミナリ』(2020年)
宗教的な視点から。
リー・アイザック・チョン監督の父は韓国教会の牧師になったそうです。種を播いた次の世代が収穫するミナリ。

<<追記2>>
ヤマさん
間借り人の映画日誌『ミナリ』
孫持ちの視点から。
家族をつなぐミナリ。

空に住む

イマイチ生きている感に乏しい自己の存在についての、これでいいのかしらんという霞のような悩みを、喪の仕事と後輩の出産と遣り甲斐のある仕事を通して抜け出すお話だと思う。
・・・・バブル期の若者になら何割か共感してもらえそうな感じの作品だと思うけれど、就職氷河期を経て非正規雇用が増えていく中、新型コロナまで加わった今、高級マンションで花を飾り赤ワインを飲み、屈折した売れっ子タレントと関係を持ち、小さいといいながら5人以上働いている出版社に勤めている主人公小早川直実(多部未華子)に共感できる若者はどれくらいいるだろう。直実がマンション地下のゴミ分別所で管理人(柄本明)と話すところは、彼女がそこまでふわふわしている訳じゃないってことだろうと思うけど。

とても映画的というか、マンションと出版社など人物も含めて映るものの対比が効いていたり、退屈はしなかった(編集長、おっしゃれ~)。特に涙が素晴らしい。両親の事故死にも涙できなかった直実が夜の浜辺で見せる涙はアップじゃないのだ。それなのに涙がキラキラ、美しいのだ。少し逆光気味に撮っているのか、物語と映像がピタリと嵌まって狙いどおりだと思う。
あと、多部未華子ちゃんのサービスショット!ストレッチしている後ろ姿から顔のアップになって、前髪からおでこが少し覗いている。可愛い~!未華子ちゃんのおでこ、サイコー!わかってるね!>青山真治監督
(2021/03/29 あたご劇場)

すみれ?コレクション

↑左端のスミレの約半月後が、真ん中と右端。

↑おしまいの2枚はスミレじゃないと思う。もしかしたら、6枚ともスミレじゃないかも?スミレはタンポポと仲良し。

↑あたご劇場前のコイン駐車場。

↑陰を選んだり、作ったりしてパチリ。

↑3枚目と5枚目はブロック塀の端。撮影した日はほとんど花が終わっていた。塀沿いにズラ~ッと咲いているのを撮りたかったけど、そのときはスマホを持ってなかった。

水路の擁壁の苔に生えているものが。