面白かった。
「大判カメラの『アオリ』と呼ばれるレンズ操法を用いて、都市の姿をジオラマのように撮影する独特の表現で知られる写真家」とのことで、スリンカチュが好きだったくらいだから俄然興味があった。ピンホールカメラだったか、昔々ミニチュアのように撮るのが流行ってた(?)こともあったよね?とにかく興味津々だった。
で、そのミニチュアみたいに撮られた写真は大画面だった。そして、水平な帯状にピントが合っていた。ドローン?ヘリコプター?どうやって撮ったのか気になった。こうは大きくないはずの写真集「small planet」でも人の様子がわかるんだろうか?とにかく大画面すべてにピントが合っているとかえって何を見たらよいかわからないが、この方法だとピントが合っている部分に集中できるからありがたい。とまあ、そんなことを考えながら見ていて、特に感慨はなかった。むしろ、第二会場に展示されていたラスベガスの居住域とか都市部とかの写真を見て、生活でも生業でも人の営みがあるのが不思議なくらい砂漠だと感じた。その後に当地の山間部とかの写真があって緑と水がいっぱいで、これが自分が住んでいるところかと思うと(ラスベガスと比較したうえで)俯瞰して見ることに意義を感じた。それでもミニチュアみたいに見えることには特に感慨はなく慣れてしまって飽きてしまっていた。ところが、美術館を出て車を運転して帰りながら見る街がミニチュアみたいに見えて驚いた。
この展覧会のよかったところは、木村伊兵衛写真賞を受賞した「small planet」シリーズやその方法で撮影した新たな写真だけじゃなかったことだ。宝塚の舞台を撮影した「treasure box」は、そうそう!二階席とか上の方の席からはこんなに見える!見えるとおりに写せるのはさすがプロ!と思ったり、「daily photos」はポラロイドで昔撮ったとのことだけど対象や切り取り方が私好みでこれを写真集にしてほしいと思った(メモパッドになっていた)。それと、映画のセットにも見える夜の街「light house」は暗幕のコーナーに展示されていて、本当に夜の街にいて見ているようだった。たまたま訪れたところにロケ地やセットとして「ここイイぜ」と思うところがあって(あるいは「daily photos」みたいなモノとの出会い)、それを写真に撮っていたらよかったな~、でも、カメラとか重いものを持つのが嫌だったのよね~とか思っていた。見せるモノ、見せ方にも趣向が凝らされていてとてもよかった。「tokyo」と「kyoto」では断然「tokyo」ですな。それに東京タワーはいいなぁ!スカイツリーより東京タワー派。
残念なのは人がいたので見るのを後回しにしていた「tohoku 311」と第二会場のおしまいの方(工場とか海水浴とかスキーとか)は、(先に見た友だちのブログを読んで警戒してたんだけど案の定)頭痛がしてきて走り走り見た。ダイソーなんかも30分いるとダメなんである。
(2021/06/22 高知県立美術館)