フライト

なんか変な感じがつきまとう映画だった。旅客機背面飛行の娯楽映画なのか、アルコール依存症絡みの人生ドラマなのか。変なバランスだと思いながら観ていたが、終わってみるとヒーローものとして、なかなか面白かった!

ウィップ・ウィトカー(デンゼル・ワシントン)は妻子に去られ自暴自棄となっているが、飲酒のうえ航空機を操縦したことを査問委員会でごまかすため、酒を抜いて生活態度を改めなければならない。自暴自棄から見せかけの品行方正へ軌道修正するのはアルコール依存症ゆえ難しく、査問委員会の直前に旅客機背面飛行よりびっくり仰天の一発があったりして、ダメダメなのにキメキメでうまくごまかせそうなので、これは汚れた英雄(ダーティ・ヒーローもの)だと思った。査問委員会を無事やり過ごしたら、超絶操縦で多くの人を救ったこのパイロットを、マスコミは正真正銘の英雄と囃したてるだろう。だが、その内実は汚れたちっぽけな人間なのだ。そうか、そういう映画だったのか、なかなか面白い。

ところが、なんとウィトカーは、最後の最後で自ら飲酒したと語ってしまう。あ~れ~!そうきたかぁ!うっかりしゃべったのではない。亡くなって反論できない同僚に飲酒の罪をなすりつけることができず、迷ったあげく真実を語ったのだ。ひえ~。これぞ、本当の英雄、ヒーローだ!汚れた英雄で終わっていても面白かったが、この結末でスッキリと娯楽映画らしくなった。
因果応報。善因善果。ウィトカーに幸あれ。

ニコール(ケリー・ライリー)・・・・オーバードーズ。
弁護士(ドン・チードル)・・・・敏腕。
チャーリー(ブルース・グリーンウッド)・・・・パイロット仲間。
ハーリン(ジョン・グッドマン)・・・・ディーラー。
エレン・ブロック(メリッサ・レオ)・・・・査問委員。

FLIGHT
監督:ロバート・ゼメキス
(2013/03/03 TOHOシネマズ高知7)

すーちゃん まいちゃん さわ子さん

ぬるいタイトルが気に入らなかったけど、御法川修監督は『人生、いろどり』がよかったので、そこそこは面白いだろーと思って観た。
そしたら、私にはぬるくて~、かゆくて~(^_^;。←やっぱりぃ?(笑)
エピローグでついに爆発。
まいちゃん(真木よう子)はバリバリのキャリアウーマンだったのが寿退職、妊娠中。そのまま出産したら今までと違う自分になっちゃう気がして、それまでの自分が消えてしまうのが寂しいみたいなことを言う。それに対してすーちゃん(柴咲コウ)は、それまでのまいちゃんを忘れないよと、なぐさめのような励ましのような優しい言葉を贈る・・・・。「かーっ、めんどくせぇ!」と思わず、つぶやいてしまった。←いや~、申し訳ない。人生の岐路に立ち(岐路じゃなかったとしても人生という路上で)、不安と悲哀に包まれて、ささやかに懸命に生きている人たちに対して、なんたる言いぐさか。だけど、共感できなかったものは仕様がない。人生イロイロ、女性もイロイロなんだなぁ。

さわ子さん(寺島しのぶ)/千葉くん(染谷将太)/オーナー(木野花)/中田さん(井浦新)

監督:御法川修
(2013/03/10 TOHOシネマズ高知2)

ダイ・ハード ラスト・デイ

「不死身日和」という原題にふさわしく、ど派手に不死身で荒唐無稽。ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)も息子のジャック(ジェイ・コートニー)もスーパーマンと化していたのであった。オリジナルとは遠く離れたところへ来てしまった(笑)。
また、前作は、サイバー戦争の前哨戦みたいな感じのタイムリーさというか同時代性が面白かったが、今作は、なぜ今チェルノブイリ?という感じだった。米ロ親子対決はアメリカの勝ち~みたいな終わり方だし、その他諸々、この映画をロシアに売る気はないのかな(笑)。
不肖の息子をぼやくくらいじゃジョン爺のよさが発揮されないので、もうね、孫を出すしかないよ。定年退職後、子守をしてたら事件がどこからともなく降ってきた。ジョン・マクレーン、「子守おおかみ」と化す。スーパーマンと化すよりは、「ダイ・ハード」らしいのではないだろうか。

A GOOD DAY TO DIE HARD
監督:ジョン・ムーア
(2013/02/23 TOHOシネマズ高知7)

カルメン故郷に帰る

浅間山麓の景色が気持ちいい!
高峰秀子がキレイ!本当に役者だなぁ。『二十四の瞳』のおなご先生とは別人。

ストリップ・ダンサーは芸術家であると自認し、明るく楽しく芸に励むのはいいし(親は泣いているが)、芸術家とおだてて踊らせ金儲けに走ろうとするのは時代の流れと諦めても、借金の形とはいえ、人のたった一つの楽しみであるオルガンを取り上げるのは許せない、しかも、なぜ、その人のたった一つの楽しみとなったかと言えば、出兵して失明したからなんだぞというお話が、シューベルトなどをBGMに軽快に綴られていく。
金儲け主義の円十が悪者と言えば悪者だけど、儲けに走るのもまた人間というふうに描かれていて喜劇として真っ当で楽しかった。

リリィ・カルメン:おきんちゃん(高峰秀子)/マヤ朱美(小林トシ子)/校長先生(笠智衆)

監督:木下恵介
(2013/02/11 あたご劇場)