カルメン故郷に帰る

浅間山麓の景色が気持ちいい!
高峰秀子がキレイ!本当に役者だなぁ。『二十四の瞳』のおなご先生とは別人。

ストリップ・ダンサーは芸術家であると自認し、明るく楽しく芸に励むのはいいし(親は泣いているが)、芸術家とおだてて踊らせ金儲けに走ろうとするのは時代の流れと諦めても、借金の形とはいえ、人のたった一つの楽しみであるオルガンを取り上げるのは許せない、しかも、なぜ、その人のたった一つの楽しみとなったかと言えば、出兵して失明したからなんだぞというお話が、シューベルトなどをBGMに軽快に綴られていく。
金儲け主義の円十が悪者と言えば悪者だけど、儲けに走るのもまた人間というふうに描かれていて喜劇として真っ当で楽しかった。

リリィ・カルメン:おきんちゃん(高峰秀子)/マヤ朱美(小林トシ子)/校長先生(笠智衆)

監督:木下恵介
(2013/02/11 あたご劇場)

ゼロ・ダーク・サーティ

嫌な映画だ。拷問に始まり虚しい涙で終わる。
人殺しを目的に、ターゲットの居場所を突きとめるため買収その他で情報を得ようとするが、身内に犠牲者が出たりなんだり、「なんだ、CIAの苦労話か」と気がつけば誠につまらない。苦労話なんて色々脚色があってこそ面白く聴けるものだ。ただし、目的を果たしたとき、そこにターゲット以外の人間が多数いたことなど想像もしてなかったので驚いた。ますますもって嫌な作戦である。

なぜ、お金を払って嫌な思いをしなければならないのか!?
そこで、少しはイイ思いもしようと頭を切り換える。
まず、やはりビグロー監督の演出力は大したものだと思う。ちょっと眠ったけど、それはご飯の後だったからであって、演出の冴えをおとしめるものではない。10年近い苦労話を3時間にまとめたのも偉いではないか。2時間にまとめたら、もっと偉かったというか、ありがたかったが。

それに主人公は、18才でリクルートされてCIAの分析官となり、この仕事に携わってメキメキと腕を上げ、支局長をビビらせ長官に一目置かれる存在になったのだ。成長物語としての面白さがある。実に嫌な成長ぶりではあるけれど。
また、彼女の物語として観ると、任務に加味された復讐の度合いはどれくらいだったかなど見所はあると思う。感情を抑制したり露わにしたり、血も涙もあるには違いなく、最後には涙をこぼす。仕事を完遂した安堵の涙にも見えるけれど、彼女に対する「ヒコーキ、貸し切りだから大物なんだね」「行き先はどこ?」というセリフからして、作り手は安堵の涙としては描いていないと思った。

マヤ(ジェシカ・チャステイン)/ジェシカ(ジェニファー・イーリー)/長官(ジェームズ・ガンドルフィーニ)/支局長(カイル・チャンドラー)

ZERO DARK THIRTY
監督:キャスリン・ビグロー
(2013/02/16 TOHOシネマズ高知2)

レッド・ライト

惜しい。

ロバート・デ・ニーロはカリスマ超能力者にピッタリだし、物理学者マーガレット・マシスン(シガニー・ウィーヴァー)とその助手トム・バックリー(キリアン・マーフィ)の信頼関係もちゃんと感じられたし、お話の骨格も悪くないのにイマイチの出来なのはどうしてか。
それは、エピソードが有機的につながってないし(伏線を張りまくっただけ、人物をむやみと出しただけ)、こけおどしの音付き演出がすべりまくっているし、何よりシルバー(デ・ニーロ)が人体に手を突っ込んで悪い部分を取りだしたりするから、そんなもん似非超能力者だとすぐにわかってしまって面白くなりようがない。
ただし、トムが長年、マーガレットの助手に甘んじ、似非超能力者の割り出しに傾注してきた動機が明らかになって、本当にスッキリしたし、話としても面白かった。

RED LIGHTS
監督:ロドリゴ・コルテス
(2013/02/16 TOHOシネマズ高知3)

ミッドナイト・イン・パリ

う~ん、ウディ・アレンとは相性がよろしくないなぁ。1920年代のパリにタイムスリップして、ピカソやダリやブニュエルに会えるなんて、ちょー面白いし、全編に漂う音楽も好きだし、演出もしゃれているし、ところどころ笑えて楽しかったけれど、ギル(オーウェン・ウィルソン)が嫌い。出ずっぱりなのでキツかった(きゅー)。

イネズ(レイチェル・マクアダムス)/アドリアナ(マリオン・コティヤール)

MIDNIGHT IN PARIS
監督:ウディ・アレン
(2013/02/16 あたご劇場)