ソフィア・コッポラ監督らしいコメディだ。面白さは中くらいな感じだったが、やっぱりセンスを感じる。この調子で等身大の随筆風作品を作り続けてほしい。
父の放蕩と浮気で苦しんでいる母を見ていた娘としては、父を嫌いな時期もあったが、二児の母となり四十路を前に大人の付き合いができるようになっている。(というか、父の言うことをちゃんと聴いてやって娘の方が大人らしい。夫の浮気疑惑を父に相談したのが間違い。)娘が夫婦円満で家内安全なら父親孝行ができるよというお話。どうしても監督自身の話のように感じてしまう(笑)。
ローラ(ラシダ・ジョーンズ)とその父フェリックス(ビル・マーレイ)が何かのパーティーに行ったとき、ローラに話しかけた女性が離れたところにいる人を指して「彼女は柔らかい岩を作っている」みたいなことを言わなかったっけ?on the rocks は座礁の意味があって、ローラが夫ディーン(マーロン・ウェイアンズ)の浮気を疑って結婚生活が暗礁に乗り上げたことを言うらしいんだけど。そんなこと言ってないかもしれないのに、「柔らかい岩」って何か関係があるのだろうかと考えてしまった。(このパーティーから抜け出すときに、親子であとずさりして行ったのが一番受けた(^Q^)。)
父といっしょに偵察しておきながら、浮気でなかったとわかり、おまけに夫と行き違いになったと知ったとき、父を(過去を含めて)大いに責めたローラ。そこまで父親のせいにすることが可笑しくもあり、フェリックスが気の毒でもあり(笑)。
ローラが、父からもらった時計を外して夫からの誕生日プレゼントを腕にはめて、めでたしめでたし。フェリックスの話によるとローラが父のモノから夫のモノになったってことになるけど、その考えがもう笑える感じ。父を捨てて夫を取ったと見えるもの。ラストは捨てたわけじゃないよというおまけ。
(2020/11/20 あたご劇場)