グロリア・スコット号

ヴィクター・トレヴァーのブル・テリアがホームズの足首に噛みついて離れなくなったことがきっかけで知り合い、トレヴァー青年がよくお見舞いにきてくれたため二人は親友となったとのことだ。

ホームズ曰く、

彼は活動的で血気さかんな男で、エネルギーと元気に満ちあふれ、ほとんどの点でぼくと正反対だったが、二人ともある共通の関心をもっていることがわかった。彼もまたぼくと同様友人のいない男だとわかって、これが二人を結びつける絆となったわけさ。(東京図書、シャーロック・ホームズ全集第2巻P99)

う~ん、活動的で元気な青年に友だちがいないってことがあるだろうか。もしかして粗暴だから友だちがいないのかしら。でも、そんな人がよくお見舞いに来てくれるものだろうか。荒っぽいけど細やかな気遣いができる人が、いないわけではないけれど。
もしかして、ホームズは友だちが出来たのが嬉しくて、相手も友だちがいないと思いたかったのかも。その思い込みが、流石のホームズの目を曇らせたと(笑)。

ホームズ物語に犬が登場したときの書きぶりを研究したものあり。犬は噛みついたり吠えたり吠えなかったり。あまり好意的に書かれてないので、コナン・ドイルは犬嫌いかもと結論づけられていたように記憶している。

「グロリア・スコット号」はホームズ20歳のときの事件。トレヴァー青年の父親が、ホームズの推理力に驚き、職業にするように勧めた。

ベアリング=グールドのホームズ


四半世紀の間、部屋の片隅でホコリをかぶっていたベアリング=グールドのホームズ全集を引っ張り出した。「詳しい解説/楽しい注/豊富なイラスト」という売り文句に乗って買ったのに、読み始めると「注」ぜめがうるさくなって仕舞い込んでいた。ところが今読むと「注」がめっぽう面白い。

例えば、ホームズが「七週間そこで有機化学の実験に没頭した。」という記述があれば、ベアリング=グールドは、他のシャーロッキアンがホームズはコールタールからの派生物について研究していたと書いたことを引用している。注釈はまだまだ続き、コールタールから作られた最初の染料は紫色で、当時、その新しい染料は大流行したとある。(全集第2巻「グロリア・スコット号」の注22)
そう言えば、BBC「シャーロック」のハドソンさんは紫色の服をよく着ていたと思い当たり、もしかしてビクトリア朝の紫大流行から触発されたの?と深読みができて楽しい。

あるいは、ホームズの大学時代の唯一の友だちヴィクター・トレヴァーの姉だか妹だかがジフテリアで死んだという記述があれば、ベアリング=グールドは
ホームズの恋愛について名だたるシャーロッキアンがどのような想像を巡らせているのかを並べる。(同注12)「ホームズが女性に対してしばしば取る態度から、私はおそらくホームズは若い頃結局は実らなかった恋をしたことがあるのではないかと思うのである。」とか、トレヴァー嬢に惹かれていたが彼女が病死したことによって「希望と情愛が無残にも打ち砕かれてしまった、と考えてはいけないものであろうか?」とか、なんか、シャーロッキアンってロマンチスト~(笑)。

ドイル卿もとい、ホームズの伝記記者ワトソンは、細かいことにこだわらない大らかな性格らしく、推理小説としてはツッコミどころ満載だ。一番有名なのは、妻が彼をジョンではなく「ジェームズ」と呼んだことだと思うが、果たしてシャーロッキアンはどんなツッコミ(辻褄合わせ)をしているのだろう。

文庫りげる

昨日、また行ってきました~。といっても2回目。とても居心地がいいので、午後のひとときを雑貨やインテリアや旅などの本をながめて過ごすとあっという間に閉館時間です。
前回おじゃましたときお借りした英国の陶磁器の本をお返しして、「ゆとりのお茶・至福のお茶」と「職人仕事の日本(3)倉敷意匠分室」の2冊をお借りしてきました。おもしろそ~。また、お返しするのは9ヶ月後になるのでしょうか?もう少し早くお返ししたいのですが、土曜日は映画を優先しているので機会が限られてしまって。いけませんねぇ。読みたい方がいらっしゃるかもしれないのに。でも、他にもたくさん素敵な本があるから勘弁してもらお(自分本位)。

毎月第3土曜日、10時から16時まで、県民文化ホール1階会議室

文庫りげる

定年退職した先輩が、毎月第三土曜日にギャラリー・アートスペース([追記]2012年5月から県民文化ホール1階第9多目的室予備室)で開いている文庫りげるへ行ってきた。そこで出会った59歳の女性(レッチリ、英国、アート好き、ストーンズ命)のお話が楽しく2時間近くが瞬く間だった。その方がおっしゃるに薫的座で18日夜に上演されたお芝居に感動したとのこと。高知でこれほどの劇団があるとはビックリの体験だったという。さっそくググったら
演劇センター’90 公演No.82
『 二人の長い影 』
山田太一作/帆足寿夫演出
と判明。
【二日め】ちょこっと紹介←どうやら出演者さまのブログのよう。薫的座内の写真あり。
『二人の長い影』演劇センター90公演【新薫的座(洞ケ島町 薫的神社内)】 ←どんな話か簡単な紹介。
タルコフスキーとコーエン兄弟作品がお好きで、先週の『ヤコブへの手紙』がよかったとのことなので、『ムカデ人間』はいかがとたずねてみたら、先が短いので観るものは選ぶとのことだった。
英国の話でも盛り上がったし、「バジル氏の優雅な生活」を読書中だったので、文庫では「英国アンティークPART2」(文化出版局)を借りてきた。

59歳氏が作成した看板。