感動した。登場人物の「心情」にリアリティがあり、話の運びの「あれれ」な点を凌駕していたと思う。また、結末は(作り手が意図していたかどうかはわからないけれど)、今の日本が抱える問題がほの見えるような気がした。
言い出したら聴かない頑固者、この先世話のかかりそうなおじいちゃんが死んでくれて、めでたしめでたし。これで孫は自分の道を歩めるだろう。私はハッピーエンディングだと思った。
だけど、その感じ方は少し悲しいような気もした。孫と祖父の二人暮らし。十九の孫が働きながら(現在失業中)、身体の不自由な祖父の面倒を見る。そういうシチュエーションに苦労の二文字がまず浮かぶ、日本の社会が悲しいねぇ。同居にしろ別居にしろ、家族の絆はそのままに、それぞれの人生をまっとうできる。そんな社会を夢見るのは私が欲張りなせいなのか。それとも『潜水服は蝶の夢を見る』の金持ちフランス人父子を観てしまったせいなのか。
老人ホームは満員で、兄弟姉妹はそれぞれの生活で精一杯。今日日の日本がしっかり描かれていて、役者がいいから登場人物の気持ちに入り込めたのだと思う。
中井忠男(仲代達矢)・・・・自分のことしか考えられない、自分に甘い、大甘ちゃん。
春(徳永えり)・・・・無垢なマザー・テレサ。思春期の難しいお年頃に色々あった苦労人。ただ一度の爆発をそれ以上の爆発で返した祖父に負けた(のか勝ったのか)。大物。
金本重男(大滝秀治)・・・・妻の手を握る姿が枯れてない。
金本恵子(菅井きん)・・・・婿養子の夫によく従い。
元漁師(小林薫)・・・・ううう、顔が見えないじゃん。
清水愛子(田中裕子)・・・・言いたいことを飲み込んで、食堂のおばちゃんが板につき。
市山茂子(淡島千景)・・・・自分に厳しく、他人にも厳しい。言ってることはごもっとも。だけど、年齢を考えれば、今更弟が改まるわけもなし、老人には酷な台詞だと思った。姉と弟の性分を足して割ったらちょうどいいかも。
中井道男(柄本明)・・・・弱った兄貴は観たくねぇ!(涙)
道男の妻(美保純)・・・・ヒョウ柄をきてなかったかもしれないけれど、ヒョウ柄がよく似合う。
津田伸子(戸田菜穂)・・・・この映画で最も嘘くさい台詞「いっしょに暮らしませんか」に、忠男と一体となって泣かされた。
津田真一(香川照之)・・・・元妻を許せなかった塊のような存在感。春には決して母の悪口を言わない賢さと優しさ。
監督:小林政広
(佐川町立桜座 2011/05/01 桜座)
お茶屋さん、こんにちは。
昨日付の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借したので、報告とお礼に参上しました。登場人物の個々に言及したコメントがイイですね。なかでも道男の妻へのコメント、ウケました(笑)。でも、いちばんイイのは、ハルの父親へのコメントかな。
どうもありがとうございました。
ヤマちゃん、受けてくれましたか(^o^)。
ありがとうございますぅ。
読み返してみたら、私もちょっと受けました(笑)。
なかなか役者がそろっていましたよね。
どうもありがとうございました。