主人公が光にこだわった画家だけあって、映像もめちゃめちゃ光にこだわっていた。デル・モンテ枢機卿から与えられたアトリエや、豪華天井の宮殿の明るさやあばら屋や石牢などの暗い建築物の天から差す光、そして、カラヴァッジョの絵画そのものを照らす光。コントラストが効いていて赤色もカラヴァッジョのイメージを損なうものではない。暗いところで、よくこんなに撮影できるなぁと思った。でも、残念なことに私には猫に小判であった。ひょえ~、美しい~とは思えなかったんだもの(涙)。
それよりカラヴァッジョの絵を次々と連想ゲームのようにつなげていったタイトルバックに興奮した。美しくスピーディなつなぎが小気味よく、もう4、5回は続けて観たい。
この映画を観ていると、皆、才能があるからというだけでカラヴァッジョを救おうとしたのではないと思う。彼にはそれなりに可愛いところがあるのだ。たとえば、子どもの頃、もらった剣を後生大切に持っているなんて、あげた者からしたら嬉しいぞ。だから、主役の俳優(アレッシオ・ボーニ)がもっと魅力的だとよかったのに。
こう書いてくるとつまらなそうに思われるかもしれない。そういうわけではなく、面白かったんだけどなぁ。
Caravaggio 監督:アンジェロ・ロンゴーニ
(高知県立美術館 2011/05/15 高知県立美術館ホール)