帰還兵が10人くらいずつ数組に分かれて公聴会を行っていた。公聴前の楽屋(?)では、みんな、あまり詳しいことは語らない。何度も話したいような内容ではないから、本番で詳しく話そうということだろう。かといって、本番で意気込んで語るわけではなく、皆、わりあい淡々と語っている。体験をある程度対象化しないことには、話せないのだろう。そのへんは、元日本人兵が体験を語ったドキュメンタリー『日本鬼子(リーベンクイズ)』との共通点だ。
帰還兵たちの話(モノクローム)の合間に、話の内容をフォローするような形でヴェトナムでの実写(カラー)が差し挟まれている。また、公聴会後の帰還兵へのインタビューと聴衆の一人との人種差別についてのやりとり、特定の帰還兵に絞ったインタビューもあり、ワシントンDCでの反戦集会をしめくくりとしていた。帰還兵の話を中心とした単純な構成のドキュメンタリーで、それだけ話の内容にインパクトがあったということだろう。食材が新鮮だと茹でただけで美味しいみたいな(?)。
胸が悪くなるような話にもあまり驚きはしなかった(ちと居眠りしたところもあったし)。これまで観てきた映画やニュース(報道)のおかげかな。
WINTER SOLDIER
(2011年ピースウェイブ実行委員会、第28回高知平和映画祭実行委員会、四国文映社 2011/07/08 自由民権記念館)