僕達急行 A列車で行こう

僕達急行は、ゆっくりと動く。ゆっくり加減が気持ちいい。
微かな音や微妙な表情でクスクスと笑える。クスクス笑いで、くつろげる。

高校一年のとき、担任のN先生が、働き出すとなかなか友だちはできない、青春時代の友だちは一生ものと言っていたことを思い出す。
昔の職場の上司が、命を懸けられるのが友だちで、懸けられなかったら友だちとは言わないと言ったことも思い出す。
そのどちらでもない友だちが、スクリーンの中で微笑み合っている。

残念なのは、森田監督の新作はもう観られないことだ。なんのかんの言って、リアルタイムで30年以上も観続けた。『家族ゲーム』がテレビで放送されたとき、最も重要なシーンがカットされていて、「あ、監督本人がカットしたな」と思ったらそのとおりだったのが嬉しかった。とんがりが取れて、作品もまるくなってきて、これからもいっしょに老いていくつもりだったので訃報には驚いた。せちがらい世の中に、あったかい作品を遺していってくれたと思いながら映画館をあとにした。

小町圭(松山ケンイチ)
小玉健太(瑛太)

監督:森田芳光
(2012/03/24 TOHOシネマズ高知1)

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