さらりと愉快に作られているうえ、「やはり」というべきか、ケン・ローチ作品らしかった。
一番よかったのは、仲間っていいなと感じさせてくれたところ。仕事仲間というのは、家族の次に時空間を共にする人たちなので、うまくいけばエリック(スティーヴ・エヴェッツ)やミートボール(ジョン・ヘンショウ)たちのような関係を築けるだろうとは思う。だけど、世の中逆方向に進んでいるものだから、ケンちゃん、おとぎ話を作ったなと感じてしまう。それでも、集団違法行為で悪者をぎゃふんと言わせ、「エリックと家族に指一本触れるな」とその目的を告げ、「おれたちゃ、郵便配達員だ。覚えとけ。」と誇らしげな啖呵で締めくくられると、「このスクラムは、オールブラックスでも崩せまい」などとニマニマしてしまう。
それにおとぎ話と言えども、うえの結末に向かうまでの起承転結の「転」の演出はさすがで、エリックの義理の息子が拳銃を持って飛び出して行った後は、どうなることかと身が震えた。このへんの引き締まり具合は、『この自由な世界で』で突然やってきた覆面男に主人公が怖い目に遭わされる場面を思い出した。
「エリックを探して」は、主人公エリックが失った自尊心を探して取り戻すまでの話だと思う。それには、別れた妻リリー(ステファニー・ビショップ)に家出した理由を話せたことが大きかった。話せるようになったのは、外見を整え、体力を付け、リリーに向き合えるだけの下準備が必要だった。
私は自尊心については心配はないが、体力がまるでなく、何をする気も起こらないときが再々ある。だから、ジョギングでも始めたいのだけれど、靴だけ買って一度も走っていない。エリックにとってのカントナ(エリック・カントナ)は、私にとっては誰なのか。・・・・、そんなこと考えるより先に走った方がいいような気がしないでもない・・・・。
LOOKING FOR ERIC
監督:ケン・ローチ
(高知オフシアター・ベストテン上映会実行委員会、朝日新聞高知総局 2012/04/29 高知県立美術館ホール)
お茶屋さん、こんにちは。
昨日付の拙サイトの更新で、
こちらの頁をいつもの直リンクに拝借したので、
報告とお礼に参上しました。
ケンちゃんの御伽噺でしたよね~(笑)。
とっても気持ちのいい作品で、
原点のようなものを感じさせてくれたように思います。
>「このスクラムは、オールブラックスでも崩せまい」などとニマニマ
というのは、とても上手い表現で、さすがのお茶屋調ですな(感心)。
「失った自尊心を探して取り戻す」ことの大切さとカタルシスが
とても鮮やかに込められていましたね。
どうもありがとうございました。
ヤマちゃん、いつもリンクとご報告、ありがとうございます。
『エリックを探して』はユーモアがあると言われて、自分の作品はいつもユーモアがあるよ~と反論してたので、そうだそうだ!と思いました(笑)。
ケンちゃんの新作も評判がよいですね~。
息子の作品もまずまずの評価を受けているようでして、親子鷹2本立て、どっか上映してくれないかな~。
でも、この2本立ては重すぎでしょうかね。