桃(タオ)さんのしあわせ

よかった~。うれし泣き。
本当にやさしい穏やかな感じがして感動した。

気が合う二人、桃さん(ディニー・イップ)とロジャー(アンディ・ラウ)の親子のような恋人のような遣り取りが忘れられない。
ロジャーの「ぼくが病気のときは桃さんが、桃さんのときはぼくが看病できてよかった」というセリフも良かった。
ロジャーの友だちが次々と電話口に出て老人ホームの桃さんと話すところも良かった。
ロジャーは優しい。「ガサガサしないで」と言う母の小言をすぐに聞き入れるし、そればかりか飲み物まで持っていってあげる。
桃さんは「いちがい」な人。主従の関係があるからロジャーの母が差し入れを持って老人ホームに来てくれたときは、えらい気の遣いようだったけれど、食べ物に関しては元雇い主の差し入れと言えども「まずい」とハッキリ言う(笑)。
身寄りがない桃さんは福祉制度を利用することができたけれど利用せず、老人ホームの費用などをロジャーに任せた。誰かの好意に甘えたり、ひとかたならぬ世話になったりは、心苦しくなったりするものだけど、桃さんにはそんな様子がなくてよかった。ロジャーに世話にならないということは縁が切れるということだからかもしれない。血縁でもあれば制度を利用したかも。
唯一悲しかったシーン。桃さんが二度目の発作で意思疎通できなくなり、ロジャーがそれを(桃さんに見えないところで)噛みしめるところ。
香港の介護事情がそれとなくわかるところもよかった。『海洋天堂』といい、香港映画の潮流か?
桃さんの入った老人ホームとロジャーの家、桃さんのために用意したアパートなどの地理的な位置関係がわかりにくいのが残念だった。

桃姐
A SIMPLE LIFE
監督:アン・ホイ
(こうちコミュニティシネマ 2013/01/28 高知県立美術館ホール)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です