ところどころ笑ったけれど、ラストカットは(ToT)(ToT)(ToT)。
良い夫婦。良い兄妹。良い親子。一人一人も良い人。セブ兄ちゃん(リス・ストーン)は賢いので先が見通せてしまう。絵もうまい。ライザも賢く健全。(夜、子どもだけにするのは、本当にいかんって。)二人ともよい子に育ってくれてよかったね。リッキー父ちゃん(クリス・ヒッチェン)、働き者!アビーママ(デビー・ハニーウッド)、聖人に思える。介護の仕事でお年寄りの世話をするときは、自分の親と思って接するとか頭が下がる。声も話し方も穏やかで優しく、家族も仕事の相手もよく観ているし、ぜんぜん怒らない(自制が効く)。その彼女が怒り心頭に発し、電話でリッキーの上役に物申すところでは、思わず「そうだ!もっと言うちゃれい!」と拍手喝采(高倉健の任侠映画風)だったが、彼女はすぐ反省してしまうのだった。成れるものならアビーのように成ってみたい。
子を思う親の気持ちも、親を思う子の気持ちも余すところなく描かれ、素晴らしいファミリー映画になっていた。特に皆で車に乗って盛りあがるところの一体感(ツボ)。
それがリッキーにしてもアビーにしてもあのような働かされ方で(あれで合法はいかんでしょう?)、私はこれまで長時間労働は諸悪の根源と思ってきたけれど、問題は長時間労働だけではなくなっている。アビーの働き方にお年寄りが驚いていた。日本でもお年寄りの時代は労働条件を良くしてきた時代で、私の世代(50~60歳代)はその恩恵にあずかってきたが、私たちがのほほんとしている間にどんどん非道いことになってきた。投票と署名だけではダメだった、うえの世代のように仲間を作って運動しないと・・・と今の非道い日本に責任を感じていることをこのシーンで思い出した。
この作品は、人やその状況を描くのに徹している。主張があるとしたら、「この状況をどう思いますか?(良いとは思わないでしょう。)」かな。良いとは思ってないことに政治的な主張があると言えばある。いずれにしても、ラストカットは泣きながらも考えることを促される。
やっとこさトイレに来れたと用を足しているところを呼び出されたことのある私も、ペットボトルの尿瓶にはしびんれた。トイレに行けないなら飯抜きは当然のごとく。アビーもリッキーも奴隷(≒)ですわ。奴隷には考える暇もないので、考える余裕のある者が考えて、この働き方が非合法となるように投票しますわ、と考えましたよ。>ケン・ローチ監督
原題が素晴らしい。『Sorry We Missed You』は、てっきりラストシーンのことだと思っていたら、不在票にも同じことが書いてあるとのこと。「以前の父ちゃんでなくなって、寂しい」という家族の思いと、「お会いできず、残念」という不在票の二つの意味を兼ねている!邦題で悩んだんだろうなぁ。
(2020/06/22 あたご劇場)
なるべく前知識入れないようにしてたけど
いつのまにか大まかなストーリーが目に入って…
(映画観るまでに時間が経ち過ぎたというか)
明るい気持ちになれそうにないので
観にいくのやめようかなあ…なんて思いながら…
でも、昨日やっぱり観てきました(長い前置き)
>良い夫婦。良い兄妹。良い親子。一人一人も良い人。
そうなの(もう泣きたい)
別に何も悪いことしてない人たちなのに
ああいう働き方せずには済まなくなる(しかも合法?)
息子に「元のお父さんに戻ってほしいだけ」と言われても
もう戻る道が見当たらない。
(家族同士の繋がりは、それでもちゃんと保たれているのに)
『わたしは、ダニエル・ブレイク』で「もう映画作るのは引退」
なんて言ってた監督が、やっぱり何も言わないわけにいかなかった
その怒りというか切羽詰まった気持ちが
「人やその状況を描くのに徹している」日常風景?の連続から
ひしひしと伝わってきて…
原題を最初に見た瞬間、殴られたような気がした。
Sorry We Missed Youを「ごめんなさい、あなたがたのこと
気がついてなかった」というような意味に受け取ったから。
世の中にはこんな目に遭ってる人が沢山いるのに
私(だけじゃない)の目には全然入ってなかった(知らなかった)…
その申し訳なさに何も言えなくなったというか。
不在票にも同じ言葉があるんだ(これも知らなかった)
邦題にはホント、悩まれただろうと私も思います(^^;
それにしても、娘を乗せて配達して回ったり
家族みんなで乗って、歌って盛り上がったり…
人の生活(人生と言ってもいいかも)には
とても大事なコトなのに「それはルール違反」というのが
今のシステムを象徴しているように感じました。
お茶屋さんの記事は映画の捉え方が社会的(というのかな)で
読んで勉強になりました(本当)
>お茶屋さんの記事は映画の捉え方が社会的(というのかな)で
読んで勉強になりました(本当)
ありがとうございます。
あのラストは、あの家族がその後、どうなるのか否が応でも考えさせられますよねー。やっぱり日頃から感じたり考えたりしていることが、どんな作品の感想にも出てきますね。WEBサイトを始めたときから思っていましたが、感想を書くって壮大なる自己紹介ですわ。自己紹介し続けているって、すごいですねー(笑)。
それにしても、良い家族でしたね(^_^)。
ワーキングプアの問題点を描くのに作品の構造上、良い家族は必須だったんだろうなぁと思います。日本では訪問介護する人が被介護者やその家族からパワハラ、セクハラされることもあると聞いていたので、アビーにそれがなくてよかったー。
引退説や引退宣言は、その人が本物であればあるほど信じてないです。(デヴィッド・ボウイも宮崎駿監督も小夏の映画会の田辺さんも、周囲や本人よりも私の目に狂いはなかった(^o^)。)ただし、ケン・ローチ監督は、70歳を過ぎているので、これが遺作になるかもしれないと思いパンフレットを買いました~~。「なかなか死なんなぁ」と、買い続けることになればいいなぁ。
>原題を最初に見た瞬間、殴られたような気がした。
>Sorry We Missed Youを「ごめんなさい、あなたがたのこと
>気がついてなかった」というような意味に受け取ったから。
そうか!そういう意味もあるかもしれませんね!
ますます、すごいタイトル。
>それにしても、娘を乗せて配達して回ったり
>家族みんなで乗って、歌って盛り上がったり…
>人の生活(人生と言ってもいいかも)には
>とても大事なコトなのに「それはルール違反」というのが
>今のシステムを象徴しているように感じました。
そんなルールは守らなくていいと思いますよ。
日本人、ルール、守りすぎ(考えなさすぎ)。
守りすぎるから守らない人に対して非寛容になっていく。
ルールが何のためにあるのか少し考えて、守るか守らないか適宜判断すれば良いのにね。
お茶屋さん、ムーマさん、こんにちは。
ちょうどお茶屋さんが「あのラストは、あの家族がその後、どうなるのか否が応でも考えさせられますよねー。」と書いておいでの通りでして、そのうえでも、ラストシーンの直後、拙日誌に「セブや妻アビー(デビー・ハニーウッド)の制止を振り切って職場に向かったラストショットのあと、リッキーはどうしたと思うか、観た人それぞれの意見を伺いたい気持ちになった。出掛けに息子のセブに言っていた「今晩話がある」というのは、いったい何を話すつもりだったのだろう。」と記した部分について、どのように受け止めておいでるか、お聞かせ願えませんか。
ぜひ“壮大なる自己紹介”を賜りくださいな(笑)。
拙日誌は、こちら↓です。僕の受け止めは記してません。
http://www7b.biglobe.ne.jp/~magarinin/2020/36.htm
>ヤマちゃん、お久しぶりです。
間借り人の日誌を拝読しました。いや~、むかむか具合が、よっく伝わってきましたよ~。(竹中平蔵が9月入学推進派と知ったあるネット民が、それだけの理由で9月入学は慎重にした方がいいと言っていたのが面白かったですよ(^Q^)。)
それでラストシーンのその後ですが、リッキーは働きに行くのだと思いました。もうこれ以上、借金はできないもんね。セブに話があると言っていたのは、ヤマちゃんに言われるまで忘れていました。それで今、考えたのですが、リッキーは蟻地獄に落ちたことを説明して、マイホームは諦めること、それでもセブには学校を出て労働条件のよいところに就職して欲しいこと、そのためには転職せず蟻地獄で頑張るつもりであることを話して、それでも学校に戻る気がないなら、それもよかろう、お前の人生だ、好きなことをして生きよ(絵描きになるか)、何がしたいんじゃとセブの気持ちを聴いてみる。セブは悲しくも学校に戻り、学業に励む傍ら描いた絵が売れて、貯まったお金でtotoを買ったら大当たり。一家は借金返済、イギリスよりましに見えるニュージーランドへ移住することになりました。ケン・ローチ作品としてはありえない結末です(笑)。
もしかして、私も書いたほうがいいのかな…?
って思って考えてたんですが
お茶屋さんのシナリオの後半が、あんまり面白かったので
自分のはもうどーでもよくなりました(拍手~~(^^))
「セブは悲しくも学校に戻り…」からニュージーランドまで
監督さんも気に入ると思うなあ(ケン・ローチ的ユーモアに通じると思うもん)
でもまあ、せっかくだから自分の思ってた方も書くと
前半はお茶屋さんとほとんど同じ。(蟻地獄って言葉、私も浮かんだ)
ただ… 私は、リッキーは早晩事故ると思いました。
(だから、後半がお茶屋さんと全く違う(^^;)
蟻地獄ってのは、落ちたものは最後は(食いつくされて)死ぬわけで
その方向性は、あの映画のラストの後、物語がどう続こうと
変わらないだろう…って、思い込んでたので。
ま、監督の術中にハマったわけです。(真面目に?考えさせられた一人というか)
でも、ラストでリッキーが涙こぼしながら運転してるの見たとき
「あ、ここで切れる(映画が終わる)」ってはっきり判って
「そうかあ… 私、今までフィクション観てたんだ」って
夢から覚めた?気がしたくらいだったのに
お茶屋さんほど明るい「その後」が浮かばなかったのは
「アタマ硬いなあ→自分」(^^;
もしかしたら、世の中があんまり酷いことになっちゃってるから
ケン・ローチも『エリックを探して』『天使のわけまえ』みたいなわけには
行かなくなったのかなあ… そんなことを考えながら
うちに帰ったの覚えてます。
(ヤマさんのお尋ねの答えにはなってないかも~(^^;)
お茶屋さん、ムーマさん、どうもありがとう。
ある意味、対照的なお二人の「その後」を伺うことができて、ほくそ笑んでます。だからこそ、拙日誌にも「観た人それぞれの意見を伺いたい気持ちになった」と書いたのでした。
先に僕の受け止めを述べると、僕は、シフトに穴をあけるたびに100ポンドの違約金が発生する奴隷契約になっているので、何とかそれを逃れようと職場復帰する哀れな姿を想定していました。その際に退職というか奴隷契約の解除の件を申し出てみると、シフト同様に後釜を構えることなく、事前通告なしの解約をすれば、桁外れの違約金が発生する条項があることを知らされて、タフなリッキーもさすがに絶望感に打ちひしがれる図も浮かんだりしました。
お茶屋さんの言う「ケン・ローチ作品としてはありえない結末」は、もちろん僕には埒外で、大いに意表を突かれましたが、同時に“壮大なる自己紹介”なればこそ、お茶屋さんがそう書きたくなることへの納得感は、凄くあります。僕は、ムーマさんのほうに近い悲観を抱いていましたが、「事故死」までは考えていませんでした。
でも、TAOさんによれば、てっきり誰もがそう感じたと思っていました!とのことです(笑)。もっとも、だからこそ、いろいろな方々の受け止めを訊いてみたくなるんですけどね~。
でも、あの状態での運転は、ヤバいですよね、確かに。過労による睡魔に見舞われて暴走した場面が伏線ということにもなります。
でもって、Sorry We Missed Youどころじゃなく、Sorry We Killed You というわけです。確かに我々は過酷な働き方改革を強いられている人々を見殺しにしていると指摘されても仕方ない状況にいますね。ケン・ローチの付けたタイトルの意味深長がさらに増してくるようにも思えます。
息子にしたかった話というのは、お茶屋さんが書いてることとそう違いませんが、セブに手を出してしまってアビーの猛烈な怒りを買った件と苦境に陥ってセブから「すっかり変わってしまった」と指摘された件について、謝りたかったのだと思います。そのうえで、自分のような働き方をする羽目にだけは陥らないよう諭したかったのだろうと思っています。ただ、お茶屋さんのように、「何がしたいんじゃとセブの気持ちを聴いてみる」との発想はありませんでした。
お伺いしてよかったです。また、ムーマさんに書き込みいただくまで辛抱して、なお良かったです(笑)。
お二人とも、どうもありがとうございました。
>ムーマさん、ヤマちゃん
一応、私も“事故る”とは思いましたよ~。死ぬとまでは考えていませんでしたが、蟻地獄なんでよい方には向かわないと思っていました。でも、それはいやなので、無い知恵を絞りました(笑)。
>セブに手を出してしまってアビーの猛烈な怒りを買った件と苦境に陥ってセブから「すっかり変わってしまった」と指摘された件について、謝りたかったのだと思います。
あ、ラストシーンの後を考えるとき、アビーの怒りもセブの訴えも忘れてたので「謝る」という発想がありませんでした(^_^;。
>ヤマちゃん
この質問への皆さんの回答は、「間借り人の映画日誌」にまとめてくださるのでしょうか?
ありゃ、スミマセン。
>セブの訴えも忘れてたので「謝る」という発想がありませんでした(^_^;。
セブの訴えは覚えてた!リッキーには、その負い目があったので、セブの気持ちを聴く気になったのでした。
>もしかしたら、世の中があんまり酷いことになっちゃってるから
ケン・ローチも『エリックを探して』『天使のわけまえ』みたいなわけには
行かなくなったのかなあ…
そう、それ!チラッと私も思いました。
ヤマさ~ん(^^) 些細なコトですが…
やっぱりお待たせしてたんですね。(ゴメンナサイです)
私は、これはヤマさんとお茶屋さんの会話で
私は書かなくていいと思ってたので。
でも、私は私で、ヤマさんがお茶屋さんに
返事書きに来られないのが不思議で
もしかしたら私も書かないとイケナイのかな…と思い
遅れて書き込んだだけなんです。
何事によらず時間のかかるスローなヤツなんで
こういうコメントのやり取りは超苦手。
今後はどうぞ私を待たないで下さいね(ペコリ)
「読む」のがシアワセなヒトなので(^^;
お茶屋さん、
>私も“事故る”とは思いましたよ~
そうでしたか。僕は、契約解除の意思を強く受け止めたせいか、どうせ考え抜かれた奴隷契約書のことだろうから、それはおいそれと叶えられるはずないよな、という思いに囚われてしまったようね。
>それはいやなので、無い知恵を絞りました
はい。長年のお付き合いでございます、百も承知(笑)。
「“壮大なる自己紹介”なればこそ、お茶屋さんがそう書きたくなることへの納得感は、凄くあります」と記したとおりにね。
>皆さんの回答
男女それぞれ4人の映友に問い掛けてみたんだけど、現時点で、回答を得たのはTAOさんとお茶屋さんとムーマさんという女性3人のみ。高知においでて最近観たはずの方が5人おいでるけど、都会組はもう一年くらい前のことになるから、難しいかも。ま、でも、せっかくだから返ってきた分だけでも、まとめたほうがいいかな?
ムーマさん、
実は、そろそろ観念時かなとレスをつけようと思って開いた時点で「もしかして、…」との記述を目にし、欣喜雀躍した次第。ですから、それがなければ、ずっと返信を保留するつもりではありません。そういうこなので、お気になさらずにね。
間に合わなければ間に合わないで、気が進まなければ気が進まないでスルーしていただいても、お断りを入れていただいても、何ら差支えありませんよ。
ヤマさん、
どうもありがとう。
気が楽になりました~(^^)
>ヤマちゃん
契約解除の意志は私も受けとめましたよ。違約金とか、これ以上借金できないから転職はできないだろうって。それでも日本で働く一部の技能実習生よりマシとも思いました。
まとめについては、そうですねぇ、ヤマちゃんの気分次第ということで(^_^)。
>お茶屋さん、
シューテツさんから返ってきましたよ。
素直に職場に向かったと思ったし、他に何かをしたという疑念は一切思い浮かばなかったそうです。質問を受けて再考して浮かんだのは、失踪か自殺だったそうですが、リッキーの性格から、それはあり得ないとの結論で、それゆえ、職場に向かうことの他に何か考えられる様なその後は、ないように思ったそうです。
それは、息子に伝えたかった話があるとすれば、「家族皆が反対しても仕事をしなければならない理由」以外になかろうと受け止めておいでるシューテツさんゆえに汲んでいるリッキーの覚悟の程が反映されているように感じました。
やはり、“壮大なる自己紹介”をしていただけることは、とてもありがたく、嬉しいことだと改めて思いました。
>ヤマちゃん
ご報告、ありがとうございます。
リッキーの覚悟のほどが重いほど、ますますラストカットはリッキーといっしょに泣けてきます。
シューテツさんも泣いたかも。