素手で虫をさわる日

ペチュニアはナス科の多年草だ。寒さに弱く一年草扱いだが、親戚のカリブラコアは難なく冬越し出来ているからペチュニアも多分大丈夫。通販で千円近くもしたブランド品「ソフィアの宝石」は本当に世話いらずでよく咲いてくれたのですっかり気に入り、ペチュニアのニチャニチャした手ざわりが苦手にもかかわらず、冬越しをさせて3月に植え替えて(ナス科は同じ土だと連作障害があるのだ)毎年楽しもうと思っていた。

しかし、成人の日の週に氷点下が続いたため、あわてて軒下から玄関に入れたのだが、冬越しのため地際で刈っているので生きているのか死んでいるのかわからない。生きていたら水を遣らないといけない。玄関で見ると土の表面は乾いている。鉢植えの水遣りは、土の表面が乾いたら底から水が染み出るくらいたっぷりが基本ではあるが、寒いときの水のやり過ぎは鉢の中が冷えすぎて(もし生きていたら)致命傷となりかねない。もっと明るい陽の下でよく見ようと外に出して土の表面をさなぐってみたら、やはり濡れていた。しばらく水遣りをしていないのに、これだけ濡れているということは、ぜんぜん水がいらなかったということで、死んでいるのかもね。ちょっと根を見てみようと少しだけ土を掘ってみた。目当ては白。植物は根が命。健康な根は白い。

残念ながら白い根は見当たらなかった。そのかわり別の白に当たった。土にまみれていても幼虫は白いものだ。今は無き「カール」というお菓子にソックリな生き物だ。私の指先が当たったかどうかはわからない。幼虫と指の間には、ある程度の容積の土が存在したはずだ。ギョッとはなったが割合冷静で、庭に常備している雨ざらしの割り箸を取りに行き、幼虫を取り出した。一個だけだろうか。白い根を見られなかったものの墓場でよみがえった植物もあることだし、もしペチュニアがまだ生きていて幼虫がいたとしたら葉っぱを食べられてしまう。割り箸でまさぐると出た。全部で四個。匹というべきだろうか、微妙に動いている。カナブンだろうか。昆虫図鑑に幼虫まで載っているだろうか。この四個をどうするか。

割り箸で二個ずつ挟んで塀の上に載せた。鳥が食べてくれないかなぁ。

そして、午後に塀を見てみると、なくなっていた。ありがとう、鳥さん。

ある日、事故で(というのは大袈裟か、)虫を素手でさわってしまう。意外にどうってことないと気づく。そうして素手で虫に触れる日が来るのだろうか。

「素手で虫をさわる日」への2件のフィードバック

  1. お茶屋さんの園芸日記を読んでると
    植物も生き物なんやなあ…ってシミジミします。
    (生死を推理する?とこなんてシャーロックみたい)

    「素手で虫を触る日」は案外近いかも…なんて
    勝手に思ってしまいました。(私は全然ダメですが(^^;)
    鳥さんと提携するのもウィンウィンの関係。
    思いついたお茶屋さん、えらい!

  2. う~ん、素手で虫をさわるのは、まだまだ先だと思います(^_^;。
    やっぱり何をするにも手袋をしなくちゃと改めて思ったりしているので。
    植物や虫や鳥など生き物を相手にしていると刺激がありますよね。
    鳥さんには本当に感謝です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です