Arc アーク

『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』を見るつもりだったのに、アクションよりSFの気分になっていて見てしまった。思ったとおり、あまり面白くなかった。やっぱり、このタイプ(100年以上も歳月が経つ)のSFは予算がいる。リナ(芳根京子)は17歳から139歳までを生きるのだ。不老不死で本人の外見が変わらないからと言って生活環境も今とほとんど変わらないなんて百年経った感じがしない。世界から切り離されたような島にいたとしても。
百年後の世界では一部の人を除いて、ほとんどの人が不老不死を選んでいるのも不思議な感じがした。そんなに不老不死って皆が望むものなんだろうか。そういう予算がなくても描けそうな、心の問題も描けてなかった。
面白かったのは、不老不死の技術が生まれる前に死体にプラスティネーション(防腐)をほどこして、生前のその人らしいポーズを取らせる場面。一番マンガチックで飛んでいて苦笑レベルだったけれど、エジプトのミイラが死後の「生」を信じて作られたのと比べて、プラスティネーションは生きている者の都合で作られていると思うと、とても「今」らしい感じがした。
夫婦を演じた小林薫と風吹ジュンは、さすがだった。
(2021/06/29 TOHOシネマズ高知5)

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