絶望を描いて成功しているため、重い重い(^_^;。
いろいろ演出が目に見えるところが、力作感を強める。
ロッド・スタイガー、役者!
ホロコーストで妻子を亡くし、一人だけ生還したソル(R・スタイガー)の傷は深い。同様の経験をしてきた女性とベッドをともにすることはあっても愛は育めず。孤独な者同士なかよくしましょうと近づいてきた女性を拒絶し、後にソル自ら助けを求めて彼女に会いに行っても、次元の異なる淵に落ちたソルを救いたくても救うすべなし。
だけど、そんなソルにも生きる力があるっていうのが作品の凄みだ。質屋の従業員ヘススが撃たれて死んだ。生きる屍状態のソルに亡骸を抱えて泣く力があった。その日は、妻子の命日なので、ヘススの死が妻子に重なる。いずれの死に際してもソルのなすすべなし。毎年、この日周辺は死にそうに生きていくのだろうなあ。
ホロコーストを初めて描いたアメリカ映画とのことだけれど、孤独というか・・・・、心の傷を癒すものが何もない絶望状態を描いた作品として心に残った。
「質屋」シドニー・ルメット ←ヒデヨシ映画日記さんへリンク
監督:シドニー・ルメット/1964年
(2015/10/04 小夏の映画会 龍馬の生まれたまち記念館)