うへぇ~。みなぎる緊張感、重厚な音楽、閉塞した武家屋敷。凄まじいパワーを持つ作品ゆえに、観終わった後(昼時だというのに)、まったく食欲がなかった。三池監督印のグロ描写はほとんどないが、緊迫感が持続するため、胃液がグルグルになるのである。だけど、おじけず多くの人に観てほしい。深いとか滋味豊かとは言い難いが、丁寧な作りでスッキリした映像がバーンと迫ってくるし、津雲半四郎(市川海老蔵)と斎藤勘解由(役所広司)の睨み合いだけでも入場料の元が取れると思う。(海老蔵はオーバーアクト気味だが、眼力、放射熱、風格はこの人だけのもので、かなりの求心力がある。)
それにしても武士とは誠につまらないものだ。
髷を取られた頭が裸同然であるなら、蟄居するもの無理はないと思っても、それが死に値する辱めとは理解しがたい。髷を取られたということは勝負に負けて一遍死んだということだが、一時、恥をさらしたとしても髪ならまた伸びるし、人の噂も七十五日と言うではないか。武士の世界では一遍死んだのだから生き恥をさらすなということだろうか。こういう人たちだから、狂言切腹を許せないのだろう。一遍切腹すると言ったのだから、「せよ」というわけだ。
そんなわけで、千々岩求女(瑛太)に対して最も厳しかった沢潟彦九郎(青木崇高)が、自分にも厳しく処した(二重基準を用いなかった)点は立派だと思う。私は沢潟が求女の身になってないから厳しいのだと思っていたが、若さゆえの過剰な厳しさだったのかもしれない。川辺右馬助(波岡一喜)も求女に厳しい目を向けていたので、自らの意志で切腹したのではないだろうか。そこまでやらなくてもという風情で求女の切腹について消極的だった松崎隼人正(新井浩文)は、髷くらいで死にたくなかっただろう。彼の切腹の場面がなかったので、命により切腹させられたものと想像する。命じた者も皆、命の絶ちどころを誤っている。
半四郎との遣り取りで斉藤勘解由の気持ちに変化はあっただろうか。戦国時代を生き抜き、求女の竹光の脇差しを見て自らのものを差し出そうとし、介錯も施した人物だ。求女を哀れと思う気持ちにはなれなくても、甲冑磨きを誉められる虚しさは味わえるのではないだろうか。
監督:三池崇史
(2011/10/16 TOHOシネマズ高知6)
お茶屋さん、こんにちは。
>皆、命の絶ちどころを誤っている
ホントですねぇ、皆が皆そうですよね。
「武士とは誠につまらないもの」であります(快哉)。
>求女の竹光の脇差しを見て自らのものを
>差し出そうとし、介錯も施した
勘解由像は『切腹』にはなかった場面ですよね。
『切腹』では介錯してもらえぬ辛さに、
舌を噛んで絶命する屈辱を味わわされる求女で、
何とも壮絶な場面でしたから。
その凄まじさを捨てて造形された今回の勘解由の人物像は
僕には少々中途半端に感じられましたが、
生々しい生死の場面を知らない「若さゆえの過剰な厳しさ」と
「戦国時代を生き抜」いた年輩者との対比だったんでしょうね。
川辺の切腹については、僕は彦九郎との対照を見てますが、
隼人正については、同感でした。
『切腹』の再映画化なんですか? 知らなかった・・・。
『切腹』観られなかった(涙)けど、こっちは観に行こうかなあ。(3Dと聞いてゲンナリ。パスしようかと思ってた)
このところ新作から遠ざかってたんですが、お茶屋さんの感想いろいろ読んでると、私も放ったらかしのフリーパスそろそろ取りたくなってきました。(どれも面白そうなんですもん[E:happy01])
>ヤマちゃん
mixiの日誌に「行間がない」って書いてたでしょ。私も「深いとか滋味豊かとは言い難い」と書いたのは、分かり易過ぎて行間がないと思いながらのことでした。私は時代性より、三池監督の限界かと思ったのでしたが(^_^;。『切腹』は未見なんですが、役所勘解由にも揺らぎがありそうな気はしていましたよ。でも、半四郎に「哀れ?」と問い返すトーンには揺らぎが感じられず、ラストの甲冑磨きを誉められるときの表情で、半四郎との対決を経てこその表情だろうという気がしたんですよね~。
>川辺の切腹については、僕は彦九郎との対照を見てます
私は対象というより武士道についての思いの強弱で見ていました。
彦九郎>川辺>隼人正
>ムーマさん
私は2Dで観ましたよ~。
これから観たいの目白押しだから、フリーパスの交換時だと思います。わたし、11月9日までフリーパスなんですが、まだ6000点残ってるんですよ~(^o^)。
お茶屋さんのオススメどおり、観たい作品山盛り・・・というわけで、フリーパス取って、昨日は『カウボーイ&エイリアン』『一命』を観てきました。(時間の都合とはいえ食い合わせ?みたいな2本ですが、力の入れ方が似ているというか、それほど違和感がなくてよかった。)『一命』は全然知らずに観たので・・・食欲が消失しました[E:catface]
フリーパスはマイルの景品からなくなるのかと思ってましたが、来年以降も続くみたいですね。あと6000点あっても大丈夫~と知って嬉しくなりました。(私も同じ[E:happy01])
フリーパス、来年も続きますか!それは嬉しいです。ムーマさんも貯めてましたねぇ[E:moneybag][E:good]。
>食欲が消失しました[E:catface]
そうでしょうとも[E:noodle][E:riceball][E:cake][E:bread][E:coldsweats01]。
でも、見応えはあったでしょう?
斉藤勘解由の屋敷の閉塞感とか息苦しいくらいで。
『カウボーイ&エイリアン』とのハシゴは、面白い組み合わせでしたね。だけど、『ゴッドファーザーPART2』と『大鹿村騒動記』の組み合わせ以上のものは、まだまだ現れそうにありませんねぇ(^_^)。
お茶屋さん、あけましておめでとうございます。
事情あって越年してしまい、報告とお礼が遅くなりましたが、
昨年最後の拙サイトの更新でこちらのかるかんを
いつもの直リンクに拝借しております。
移転サイトへのリンクの貼り直しはまとめてしようと
旧サイトのままリンクしていましたが、コメントを入れようとして
不適切なことが判明し、今回の分だけ先に置き直しました。
サーバー移転というのは、いろいろ厄介ですね。
今回、お茶屋さんがブログに至るまで全テクストを
遡って移行させていることに大いに感心しました。
…ん?こういうコメントなら、ここより掲示板のほうにすればよかったかな?(笑)
ともあれ、どうもありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。ベスキャラ、楽しみです!(笑)
あけましておめでとうございます。
年末に最後のフリーパス取りました。続くなんてデマ流してスミマセンでした。(やっぱりなくなっちゃったんですね(しくしく)。)
と言いつつ、諸般の事情でまだあんまり観てません。
大体、2011年にどんな映画観たかが既にアヤシイ~~ので、まずは振りかえって思い出さないと(笑)。ベスト・キャラも今からゆっくり考えます。すごーく楽しみです。
というわけで、「今年もどうぞよろしくお願いします。」
>ヤマちゃん
あけましておめでとうございます。
正月気分はすっかり抜けていますが、まだ松の内なんですねぇ。今朝は消防団の出初め式の招集サイレンが鳴っておりました。
サイトを移転したことによるリンクの張り直し、お手数をおかけして申し訳ありません。よろしくお願いします。
旧ブログのテキストを移すのは、どうやったのかは忘れましたが、とっても簡単でした。どんな仕掛けになっているんでしょうねぇ?
ベスト・キャラの募集は既にはじめておりますので、今年もどうぞヨロシクお願いします。
>ムーマさん
あけましておめでとうございます。
今年もいっぱい観ましょうね(^_^)。
といいつつ、初映画は来週になりそうです(とほほ)。
そうそう、2011年に観た映画を振り返って、感想をアウトプットできそうな作品が残されていましたら、また、「眺めのいい部屋」の方にアップしてくださいね(希望)。なんか毎年の楽しみになっちゃいましたよ。
ベスト・キャラクターともども、今年もよろしくお願いします。