ちょっと期待外れ。全体的に音が耳障りで苦痛だった。チラシによると作り手の実体験が元になっているらしいが、それにしては現実ではないような感じ。特に国境の警備兵のパートが非現実的。宿舎がコンテナみたいで、それが傾いて沼に沈んでいく(?)なんてことが本当にあるのだろうか?不衛生で食糧も不十分そうだし。検問する人たちも夜会服と国境の寂れた感が掛け離れた感じで夢でも見ているようだ。こんなんだからラクダに衝突して亡くなっても驚きませんわ。(それよりイスラエルが舞台の作品のようだと気がついて驚いた。てっきりヨーロッパか南米の作品だと思い込んでいた。)
結局、私にとっては、この作品を韓国映画の『息もできない』と同じカテゴリーに入れるとことで、見てよかったと思えた。『息もできない』の主人公の男の子は、父親がベトナム戦争の帰還兵で暴力的な環境で育っていた。『息もできない』は、一見平和な社会における戦争状態の部分(背景に戦争の影響があること)を描いた作品だったと言える。『運命は踊る』でも成功した建築設計士の男性が、兵役を務めた時分に怖い目に遭ったらしく、復員してからも突然切れることが妻のセリフと息子の絵で示されていた。平和に見える社会や人に戦争の影響がある状態。平和が脅かされていると言えるのではないだろうか。
(2019/02/10 あたご劇場)