親友の遺骨と旅をする話。思いのほかハードボイルドで面白かった。
ハードボイルドというと、ポーカーフェイスでタフな状況を乗り越えていく感じで主人公はほとんど男性のイメージだが、本作のシイノ(永野芽郁)は思い切り泣くし、叫ぶし笑うし吸うし食う。それでもからりと固ゆで卵な感じ。女性が主役のハードボイルドと言えば『グロリア』とか?あの作品も「映画のハードボイルド革命や~」な感じだったかもしれないけど、本作は間違いなく革命や。なにせ笑えるのだから。ひったくりを追いかけて戻って来たシイノが、頼みもしないのに遺骨の番をしてくれていた男性(窪田正孝)に感謝して名前を尋ねると「名乗るほどの者ではございません」と言って去って行く、その肩に掛けた釣り用のクーラーボックスにデカデカと名前が(^Q^)。久々に声をあげてしまった。だが、この男性もかつては世をはかなんでというか居場所をなくしてというか、自分自身が嫌になってというか何の望みもなくなってというか、自死を試みたことのある人で、後にシイノを見送るとき良いことを言う。
ブロークン・マリコ(奈緒)は、本当にブロークンだった。シイノは頑張ったけれど、彼女一人の手には負えないレベルだと思う。いっしょに専門家に相談するとかくらいは出来たかもしれない。放り出したくなったときもあったと正直な気持ちを独白していて、そういう嫌になるマリコも含めて覚えていたいのに思い出すのは可哀想なマリコ、可愛いマリコ。客観的に観てシイノができることはしていたと思うが(それがシイノ自身のためでもあった)、死なれると何もしてやれなかったという思いになるのか。
マリコに頼られることでシイノも辛うじて生きてきた。一言もなく去って行ったマリコに、私はあんたの何だったのかと怒り悲しみ、焼け(自暴自棄)死に(発作死に?)しようともした。だけど、陽はまた昇る。腹も減る。マリコを思い出すためには生きていなくては。
一番おどろいたこと。マリコの暴力親父を演じていたのが尾美としのりだったこと。尾美くん~、ビックリだわよ~。
(2022/10/05 TOHOシネマズ高知4)
どうしようかなあ…なんてノンキに構えてたら
あっという間に行けない時間帯に(^^;
(スペンサーも同様)
窪田正孝、なんとなく好きだし
機会があったら家で観ます。
ハードボイルドと聞くと俄然興味が湧く~(^^)
>あっという間に行けない時間帯に(^^;
そうなんですよ。だから、なるだけ公開第一週に行くようにしています。
本作品をハードボイルドと感じるのは、日本で5人くらいかもしれませんが、機会があればぜひご覧ください。私はかなり好きな作品です。