リスボンに誘われて

しみじみとした余韻のある(しかも前向きな)作品だった。
偶然手にした本に日頃自分が思っていることがそっくり書かれていたら、いったいどんな人が書いたのか知りたくなる。ライムント・グレゴリウス(ジェレミー・アイアンズ)は、著作者アマデウ・デ・プラド(ジャック・ヒューストン)に会いに行く。故人とわかってからは、いろんな人に聴いて回るんだけど、それが凄い豪華キャスト。妹(シャーロット・ランプリング)、親友(アウグスト・ディール/ブルーノ・ガンツ)、レジスタンス仲間(トム・コートネイ)、恋人(メラニー・ロラン/レナ・オリン)。

アマデウの半生が解き明かされるというミステリー映画なんだけど、その過程で三角関係の恋愛映画になったり、レジスタンスのサスペンス映画になったり(ふむふむ、歴史~みたいなところもあり)1本で3本分くらいの面白さがある。しかもリスボンの路面電車は高知を走っているあの電車だから、電車と絵になる町並みを見ているだけでも面白い。それに、しがない中年男ライムントのくすんだ人生が、アマデウの人生を辿ることで輝いてくるので青春映画の変化球でもあると思う。
残念なのは、右脳人間のお茶屋はアマデウの著した本を読まれても(日本語の字幕でも)ちんぷんかんぷんだったことだ。だから、本作の半分も理解できてないだろうな~。そんな私にアマデウの本の一節を

<若い時は皆、不死であるかのように生きる/死の自覚は紙のリボンのように我々の周りを付かず離れず踊るだけだ/それが変わるのは人生のどの時点でだろう?/そのリボンが我々の首を締め始めるのはいつだろう?>

と書いてくれてある次のページは、とても勉強になった!

リスボンに誘われて|観ているうちが花なのよやめたらそれまでよ

監督:ビレ・アウグスト
(2014/11/24 あたご劇場)

美女と野獣

レア・セドゥとヴァンサン・カッセル、いいねぇ(^_^)。
しかーし、もっとSでMであってほしかった。
コントラストの強い映像もイマイチ美しいとは言い難かったし。
よかったのは、なぜ、野獣になったのかを描いた部分と、ラストのめでたしめでたしの部分だ。
特にラストは、(子どもたちに語って聴かせているところは)てっきりお城の中と思っていたので、そうではなく庶民の暮らしをしているのがよかったし、主役以外も皆息災で、これが本当のしあわせだよねーと思った。

監督:クリストフ・ガンズ
(2014/11/24 TOHOシネマズ高知4)

プライベート・ユートピア ここだけの場所

ブリティッシュ・カウンシル・コレクションによる英国美術の現在

いやいやいや~(^_^;、面白すぎる;;;。
1時間もあれば、ひょいひょいと見て回れるだろうと思っていたら、映像作品が思ったより多くて椅子を構えてくれているほど。映画を観に行きたかったので1時間半で切り上げたんだけど、あと30分くらいほしかった。
うえの写真で同じ物体が2枚あるのは、「なんじゃこりゃ~」度が最も高かったためだ。肌色のストッキングに詰め物をしているコヤツが生々しくて強烈だった。この一角はサラ・ルーカスの作品。攻撃的であまり好きじゃないけれども。
ピーター・ドイグという人のエッチングは欲しいな~。一つ一つ全部好きだった。なんじゃこりゃ度が低いためか、絵はがきがなかったのは残念。
緑と青のライトに照らされたシアン系、綺麗だった。
椅子になる紐、面白かった!
ほとんどの作品が印象に残る。
(剥製の小犬が「I’m dead」というプラカードを持って立っているのは、ブラックで可笑しくて英国らしいと思って写真に撮ったけれど、なんだかここに載せる勇気がなかった。)

artは技術という意味もあることを知って、職人さんが作る工芸品など正しく「技=芸術」だもんね~と言葉の意味に納得がいったものだったけれど、現代美術を見ていると技術というより「閃き」「アイディア」の印象が強い。一発のお笑いで終わってもいいし、研きをかけていくのもイイかな。

プライベート・ユートピア ここだけの場所 ─ ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在
British Council Visual Arts

おしまいの写真は、展覧会とは無関係の植物。

牧野はイイね!


久々の牧野植物園~。他にもたくさん珍しい植物があって、気がつけば100枚以上撮っていた。

薬草皿鉢は、薬用養命酒だけでなく、葛根湯などの皿鉢もあった。それぞれの生薬が瓶詰めされていて匂いが嗅げた。桂皮なんか本当にイイ匂い~。葛根もイイ匂い。芍薬は薬臭いけど、やっぱり好き~。この匂い、どっかで嗅いだと思っても思い出せないのが、もどかしいけど懐かしい・・・・みたいなのもあった。この薬草シリーズは、瓶詰めだけでも常設にしてほしいなぁ。たくさんあって嗅ぎきれなかったし~。行くたびに嗅ぎたい(笑)。

冬薔薇(ふゆそうび、ふゆばら)、寒薔薇(かんそうび)は冬の季語とのこと。大石蕗も山茶花も咲いていた。芙蓉は秋の季語だけど咲いていたし、蕾をたくさんつけていた。芙蓉って8月、9月の感じなので、今頃咲いているのは驚きだった。

ゆるキャラ菊人形は、「緑の菊ですだち君」がポイントだろうか。「緑、菊」で検索すると、けっこう緑色の菊ってあるのだなぁとわかるけれど。

解説の札で気根というものを知った。池のそばの大きな木の気根(呼吸根)が何メートルも離れたところにひょっこり顔を出していた。札のないところにも見つけたのが嬉しい。布団からちょっと足先を出したくなるときがあるけど、植物もそういう感じなのかな?

植物園の隣の竹林寺の秘仏文殊菩薩は50年に一度の開帳期だそうで、けっこうな人出だった。昨日は、「見仏記」でおなじみのみうらじゅんさんといとうせいこうさんがお越しだったそうな。私は今回はパス。50年後に会いましょう!

牧野植物園
五台山竹林寺 四国霊場第三十一番札所