レッド・ライト

惜しい。

ロバート・デ・ニーロはカリスマ超能力者にピッタリだし、物理学者マーガレット・マシスン(シガニー・ウィーヴァー)とその助手トム・バックリー(キリアン・マーフィ)の信頼関係もちゃんと感じられたし、お話の骨格も悪くないのにイマイチの出来なのはどうしてか。
それは、エピソードが有機的につながってないし(伏線を張りまくっただけ、人物をむやみと出しただけ)、こけおどしの音付き演出がすべりまくっているし、何よりシルバー(デ・ニーロ)が人体に手を突っ込んで悪い部分を取りだしたりするから、そんなもん似非超能力者だとすぐにわかってしまって面白くなりようがない。
ただし、トムが長年、マーガレットの助手に甘んじ、似非超能力者の割り出しに傾注してきた動機が明らかになって、本当にスッキリしたし、話としても面白かった。

RED LIGHTS
監督:ロドリゴ・コルテス
(2013/02/16 TOHOシネマズ高知3)

ミッドナイト・イン・パリ

う~ん、ウディ・アレンとは相性がよろしくないなぁ。1920年代のパリにタイムスリップして、ピカソやダリやブニュエルに会えるなんて、ちょー面白いし、全編に漂う音楽も好きだし、演出もしゃれているし、ところどころ笑えて楽しかったけれど、ギル(オーウェン・ウィルソン)が嫌い。出ずっぱりなのでキツかった(きゅー)。

イネズ(レイチェル・マクアダムス)/アドリアナ(マリオン・コティヤール)

MIDNIGHT IN PARIS
監督:ウディ・アレン
(2013/02/16 あたご劇場)

だれもがクジラを愛してる。

この邦題はよいと思う。
クジラを捕って食べる人もクジラを愛しているんだよということで、原題よりいいなぁ。
ただ、本当に「だれも」が愛しているかというと、皆、それぞれの思惑があってクジラを逃がそうとしているわけであって、愛だけで「大きな奇跡」が起こせたわけではないという点からすると、原題は皮肉が効いていてイイかもしれない。

レイチェル(ドリュー・バリモア)/アダム(ジョン・クラシンスキー)

BIG MIRACLE
監督:ケン・クワピス
(高知市民映画会 2013/02/07 かるぽーと)

桃(タオ)さんのしあわせ

よかった~。うれし泣き。
本当にやさしい穏やかな感じがして感動した。

気が合う二人、桃さん(ディニー・イップ)とロジャー(アンディ・ラウ)の親子のような恋人のような遣り取りが忘れられない。
ロジャーの「ぼくが病気のときは桃さんが、桃さんのときはぼくが看病できてよかった」というセリフも良かった。
ロジャーの友だちが次々と電話口に出て老人ホームの桃さんと話すところも良かった。
ロジャーは優しい。「ガサガサしないで」と言う母の小言をすぐに聞き入れるし、そればかりか飲み物まで持っていってあげる。
桃さんは「いちがい」な人。主従の関係があるからロジャーの母が差し入れを持って老人ホームに来てくれたときは、えらい気の遣いようだったけれど、食べ物に関しては元雇い主の差し入れと言えども「まずい」とハッキリ言う(笑)。
身寄りがない桃さんは福祉制度を利用することができたけれど利用せず、老人ホームの費用などをロジャーに任せた。誰かの好意に甘えたり、ひとかたならぬ世話になったりは、心苦しくなったりするものだけど、桃さんにはそんな様子がなくてよかった。ロジャーに世話にならないということは縁が切れるということだからかもしれない。血縁でもあれば制度を利用したかも。
唯一悲しかったシーン。桃さんが二度目の発作で意思疎通できなくなり、ロジャーがそれを(桃さんに見えないところで)噛みしめるところ。
香港の介護事情がそれとなくわかるところもよかった。『海洋天堂』といい、香港映画の潮流か?
桃さんの入った老人ホームとロジャーの家、桃さんのために用意したアパートなどの地理的な位置関係がわかりにくいのが残念だった。

桃姐
A SIMPLE LIFE
監督:アン・ホイ
(こうちコミュニティシネマ 2013/01/28 高知県立美術館ホール)