ホラーだった。
認知症の疑似体験ができた。
見終わって何度か行ったことがある新棟2階へ行こうとしたら、行けるはずの通路を通っても行けない!このキツネにつままれた感!!!リアルでプチ「ファーザー」体験だった。
(2021/05/25 TOHOシネマズ高知3)
カテゴリー: 映画の感想
茜色に焼かれる
とてもよかった!
茜色の堤防を母子が自転車で行く。支えは互いに対する想いしかない、この先を考えると途方に暮れる。茜色の美しい空、暮れていく空が、本当のラストシーンだと思う。その後はおまけで、作り手がお客さんに明るい気持ちで劇場を後にしてもらおうとしているのだと思う。
息子純平(和田庵)が13歳というのが微妙な線で、まだまだ子どもらしい今は「母ちゃん好き」と言ってくれるけれど、その後はどうかわからない。もう少ししたら母ちゃんに酷いことを言うかもよ。もし、作り手が純平の立場だったとしたら、この映画は母ちゃんに対する「ありがとう」と「ごめん」なのかもしれない。すごく立派な感謝と罪滅ぼしになったと思う。それだけ母ちゃん田中良子(尾野真千子)のキャラクターが立っていた。人としての筋を通し、息子命で健気で面白く、ド迫力のある人を嫌う人はいないでしょう。ケイ(片山友希)との居酒屋の場面は出色。また、純平の愛の証しの跳び蹴りも。即行で新型コロナ禍の状況を織り込んで作っていることにも感心した。冒頭に出てくる字幕「田中良子は芝居がうまい」が本当かどうか、実生活でも演じているのかどうか、最後の最後まで効いているのも面白かった。
サブタイトルで家賃や飲食代の金額が出てくるのは、お金に縛られる「心の不自由」を表していると思う。お金がなければ寝る間もない。心の不自由な人が溢れている。心の不自由を自覚している人はどれだけいるのか。
純平のアゴのほくろは父ちゃんゆずり。父ちゃん役のオダギリジョーのアゴにほくろがあったと思うから。(検索したら庵くんのアゴにもほくろがあった!)
(監督・脚本:石井裕也 2021/05/24 TOHOシネマズ高知1)
JUNK HEAD
日本語にすると「ガラクタ頭」かな?もっと短時間にまとめてほしかったが面白かった。続きを見てもいいかな。上映されたらの話だけど。
SFと言うよりファンタジーっぽいと思った。ほとんど一人で作ったというストップモーション・アニメーション。
長寿と引き換えに生殖機能を失った地上の人間界から、主人公が単身で地下のマリガン(人工だけど独自に進化して増えている生物)を調査に行き、滅亡しかけの人間を増やすヒントを得たいというお話は、そんなに面白いと思えなかった。でも、登場するマリガンのキャラクターに魅力があるし、いつも飢えている様々な地下生物のいつかどこかで見たような造形も手が込んでいて見飽きない。もちろん、地下世界の構造物やなにやらかにやらの悪夢のような暗さ汚さも可愛らしさがあって引き込まれる。
しかし、もっとも魅力的な三バカ兄弟がいない続編は寂しい予感。
(2021/05/10 TOHOシネマズ高知9)
82年生まれ、キム・ジヨン
世界中の女性から共感を得られる作品ではないだろうか。また、男性にも面白く観られるようにキム・ジヨン(チョン・ユミ)の夫デヒョン(大沢たかおユン・ユ)や父、弟が塩梅よろしく配置されている。これでジヨンが実父母と義父母の介護をしていたら女の一生フルコース(?)だったかもしれない。ジヨンの母(キム・ミギョン)が娘のところに駆けつけたシーンは泣けたし、ジヨンの同僚にしろママ友にしろ女性が集まって話をする場面は笑えた。社会問題を織り込んだエンタメ感動作を連発する韓国映画のパワーを感じる。
ジヨンは母になり、ジヨン自身の母になり、デヒョンの母になり、母の母になる。どの母も我が子を案じていた。皆が母になったら世の中、円く住みよくなるのではないだろうか。独身の人も男性も性別を問わず、ジヨンの姉(コン・ミンジョン)が弟(キム・ソンチョル)を気が利く男性に育てたように誰かの母になってみたらどうだろう。母の日も近いことだし。万年筆にネームを入れてプレゼントするなんて思い遣りがある。父(イ・オル)がジヨンの好物をあんパンだと思い込んでいたのは許してあげませう(^o^)。
(2021/05/01 あたご劇場)