怪談雪女郎

う~ん、約束は守らんといかんねぇ。
与作(石浜朗)が山で遭った雪女(藤村志保)は、彼に一目惚れ。他言無用を約束し、殺されずにすんだ。
約束を守りさえすれば、恋女房と愛息としあわせに暮らせたのに。でも、そうすると別れのときの雪女の慈悲の表情を見ることもなく、受注した観音像の顔のモデルがないということになり、彫りあげることが出来なかったかもしれない。人生、すべてが好カードというのは難しい。

怖い怖い雪女も恋をするといじらしいし、子どもを育てると善き母だ。愛する夫と子どものために能力を隠して大人しく暮らしているのに、魔を察して湯玉を掛ける巫女さまが憎らしい。
大映作品はなぜかエロティックなイメージがあるけど、本作も与作とゆき(実は雪女)の新婚初夜の様子や、ゆきの脱げかけた着物からのぞく白い肩や、いろんな所作がたおやかで官能美が匂う。昔の映画のよさだと思った。
雪女の金色の目や睨みは怖いと言うより綺麗だった。辷るように移動していくが、台車か何かに乗っているのだろうか、それとも能のような足運びをしているのだろうか。

ぜんぜん怖くなくて最後の別れが哀しいくらいの作品だけど、雪は美しいが人の命を奪う恐ろしいものという自然を畏怖する人間が生み出した怪談・悲恋物語として楽しめた。
(2021/08/21 高知県立美術館ホール)

「怪談雪女郎」への2件のフィードバック

  1. これだけは観てみたかった(藤村志保さん~♪)
    あとは怖そうで最初からパスでした(^^;

  2. 藤村志保さん、よかったです(^_^)。
    あの睨みでアマビエをやってほしいな。

    以前、『ウィッカーマン』は見てたけど、怖い記憶がありません。面白かったので、もう一度見たかったのですが、『悪魔のいけにえ』で疲れ果てました(笑)。

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