パターソン

夏井いつきさんが芸能人の俳句を添削する「プレバト」という番組がめっぽう面白い。この番組で俳句がいっそう身近になり、日本は詩人であふれるんじゃないかと思っていた。いやいや、俳句はもはや日本だけでなく海外でも愛好されているらしいので、世界が詩人であふれる日は近いゾ、そんな夢想もしていた。
そうしたら、『パターソン』では、素人芸術家があふれる世界が描かれており、世界平和が実現されていた!誰もが芸術家となって人生を美しく豊かに生きようというささやかなエールとパターソン(郷土)愛。ジム・ジャームッシュの作品で一番好きかもしれない。寝不足が続いてぼんやりしていたため、「双子」関連しか気がつかなかったが、もっと集中して色んなことに気づきたかったなぁ。きっと色々な仕掛けが忍ばされていると思う。

パターソン(アダム・ドライヴァー)の詩人の目に感化されて、登場人物が皆芸術家に見えてしまうのである。失恋に溺れる人は正に俳優(笑)。チェスも将棋も囲碁も極めれば芸術でしょう。マスターのところへ怒鳴り込んできた奥さんはラッパー。パターソンの奥さんローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)はマルチな芸術家で、インテリアコーディネーター、歌手、パティシエ。お金を儲けたらすぐ使うところもいい。素敵な使い方だったなぁ。ちょっとシャツを着替えるとかね。秘密のノートを持っている少女とかコインランドリーの青年とか流れる景色とかマーヴィン(ブルドッグ)とか。

永瀬正敏が登場するところは唐突なんだけど、永瀬くんが道士のような役どころを振られるようになったんだなぁと感慨深かった。
(2018/02/24 あたご劇場)

スリー・ビルボード

傑作!フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルの三枚看板が適材適所。特にサム・ロックウェルは、代表作の一つになりそうな成りきりぶりだ。

娘を殺されたミルドレッド(悲劇の母/ハードボイルド)、警察署長のウィロビー(無能/天使)、警官のディクソン(凶暴/素直)とキャラクターが立ちまくり。ミルドレッドの息子(ルーカス・ヘッジズ)とミルドレッドに好意を持っている男性(ピーター・ディンクレイジ)は繊細に描かれているし、ディクソンの母やミルドレッドの元夫、看板屋の若社長なども印象深い。女性、病人、ゲイ、小人、黒人、若輩などなど、各人が人間は多面体であることを遺憾なく発揮している。こりゃあもう、人間賛歌と言ってイイ。
そういう人々が住む「アメリカの田舎町」自体も主役と言っていいほど雰囲気が伝わってきた。ミルドレッドに対する有言・無言の圧力(牧師さんとか歯医者さんとか)を笑えるようにはしているが、皆が知り合いの田舎町では良いことも悪いことも何かと濃縮されるのかな。

ミルドレッドもディクソンもやり過ぎなんである(ある意味、署長もやりすぎ(^_^;)。それには理由があるわけだが、ディクソンの理由は秘密なだけに、段々わかってきたときは『キリクと魔女』を思い出すほどだった。
署長は愛の伝道師。署長がディクソンの性的指向を知っていたのに少し驚いたけれど、ディクソンに遺した手紙は彼の胸の棘を抜き、傷口に愛の膏薬が効いた!(効き過ぎた(笑)。)
そして、ミルドレッドとディクソンが仲良く鬼退治(?)に向かう幕切れは、二人が映画の冒頭から敵対していたことを思えば感慨深い。これが本当の「愛は地球を救う」だとマジで思った。

印象に残ったところ
・ミルドレッドが鹿と遭遇する場面。『スタンド・バイ・ミー』でゴーディが鹿と、『わたしに会うまでの1600キロ』でシェリルが狐と遭遇してたなぁ。
・驚く脚本。看板に火をつけたのはお前か!(なんか笑える(^_^;。)
・事件、事故で子どもを亡くした親の心境。「後悔」。悔やんで自分を責めないでほしい。でも、映画の登場人物もこうして悔やみきれない思いを抱えて生きていくのを見て、少しでも慰めになったらいいけれど。
監督・脚本:マーティン・マクドナー
(2018/02/03 TOHOシネマズ高知5)

光をくれた人

美しい話だった。海鳴りがめっちゃ怖いけど。
トム(マイケル・ファスベンダー)もハナ(レイチェル・ワイズ)も葛藤があった。二人ともその選択に感動した。
イザベル(アリシア・ヴィカンダー)は、ただただ真っ直ぐでまぶしい。困ったちゃんだけど魅力があるなぁ。(お墓を無しにされた子どもは可哀想!!)
イギリスの話とばかり思ったら、オーストラリアだって。その島とはどこなんだろう?
『喜びも悲しみも幾年月』を見なくちゃね。
(2018/01/26 市民映画会 かるぽーと)

パディントン2

もう好き、好き、好き(^o^)♥
絵本の美しさに涙。
ルーシーおばさんにも涙。
伏線を拾いまくりの結果、笑いが収まらない(笑)。
ヒュー・グラント!なんて幸せな俳優なんだろう!英国で世界中で愛されているなあ!
そして、今の世の中にこそパディントンが必要なんだと思った。
(2018/01/20 TOHOシネマズ高知6)