イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

1本の映画にたくさんの要素が詰まっていた。暗号を解く話で英独の情報戦だぞぉと見せかけて・・・・、天才だけど変人?アスペルガー?暗号解読チームのコミュニケーションのお話かと思っていたら・・・・、えー!コンピューターの発明家の伝記かぁ!・・・・あれれれ、ソ連のスパイ?・・・わかった、この人がスパイに違いないっ!・・・・・て、解読しても味方を救えない。大の虫を生かして小の虫を殺す(戦争にはつきもの)、それが後に罪に問われるのかしら・・・って、あらららら~、純愛映画だったのかーーー!!!人工知能構想は愛から生まれたのか。それでA.I.?←違う。

いやもう、ただただ、アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)が可哀想で(ToT)。

「普通じゃなくていい」という言葉のバトンがクリストファーからアランへ、アランからジェーン(キーラ・ナイトレイ)へ、そして、スクリーンから私たちへと渡される。この言葉が救いとなってアランは模造人間も演じられたわけだけど、私が私でいられる時間って必要だと思う。戦後、マンチェスターの自宅で(ひっそりとでいいから)コンピューターの開発を続けさせてあげたかった。
クリストファーの訃報を聞いたとき、思い切り泣かせてあげたかった。

THE IMITATION GAME
監督:モルテン・ティルドゥム
(2015/05/16 TOHOシネマズ高知8)

おみおくりの作法

原題は「静物画」だそうな。どおりで静止映像が印象的だった。加えて、STILLとLIFEのそれぞれの言葉の意味もあり、味わい深い作品だった。
最後はもちろん(ToT)。

あのラストシーンで作り手は、ジョン・メイ(エディ・マーサン)のしてきた非効率な「おみおくり」でいいのだ、世の中は効率が全てではない、もっと大切なことがあると言っていると感じた。

無縁仏、行き倒れのお弔いは、法律に基づいてシステム化される前はどんなだっただろう?四国霊場の遍路道にお地蔵さんが安置されているところがあったりする。昔の巡礼は帰る家もなく行き倒れる人も多かったと聞くので、地元の人たちが弔ったのかな。

ジョン・メイのような人に何かいいことがありますように(-人-)。

次の感想にも感動しました(T^T)。
白木庵さんのブログ:キノ2『おみおくりの作法』
くつしたさんのブログ:映画感想*観ているうちが花なのよやめたらそれまでよ『おみおくりの作法』

STILL LIFE
監督:ウベルト・パゾリーニ
(2015/04/29 あたご劇場)

ジヌよさらば かむろば村へ

あんまり中身はないけど、面白かった。俳優がいいのだと思う。松たか子と阿部サダヲの『夢売るふたり』以来の2回目夫婦とか、ミニスカセーラーの二階堂ふみに「はぁはぁ」する松田龍平とか(笑)。

お金恐怖症の男性が田舎に移住する話は、若者がお金によらない幸せを求めて田舎を指向し始めた昨今の流行だ。テレビ番組でも田舎でビンボー暮らしみたいなのがあるし。大方がそういう気分になる潮流というのがどこかで作られているわけだけど、この作品も時流に乗った小舟の体だ。

「思いどおりにはならねども、どうにかなる」というのは「ケ・セラ・セラ」「レット・イット・ビー」と同様の人生応援詞だけど、それほどの深い意味を持たせず、ひとときのお楽しみに徹した作品だった。

監督:松尾スズキ/ロケ地:福島県
(2015/04/19 TOHOシネマズ高知2)

めぐり逢わせのお弁当

インド映画には珍しく渋い(若しくは演出がつたないのかもしれない)。初老のやもめの侘びしさや、夫に無視される悲しさが、お弁当を介した手紙のやり取りで恋する気持ちに変わっていく。サージャン(イルファン・カーン)が逢瀬に際してるんるん気分で鏡を覗き、自分の老いの匂いに気づいては年甲斐もないと急激に気持ちがしぼんでいく哀しさよ(涙)。彼は隠居生活の地を目指しながら、なぜ、引き返してきたのか(相席になった男性ほどには老いてないぞとでも思ったのだろうか)、心境の変化がわかりにくかったし、イラ(ニムラト・カウル)の方も夫の浮気がわかったとはいえ、サージャンを求めるほどの心の渇きが伝わってこなかった(相手がどんな人がわからないから妄想がふくらんだのだろうか?)。メインの二人の気持ちをわざとぼかしているのか、描き方が舌足らずなのか、どちらかよくわからないが、とにかく二人のめぐりあわせは今一つ釈然としなかった。と言っても詰まらない作品ではなく、脇役の孤児だったというがんばり屋さんの奮闘が微笑ましく応援したくなったし、インドの通勤電車やオフィスの模様、弁当配達、弁当の中身、街角クリケットなど見所満載だった。特に通勤電車は、怖いくらいにほとんど男性(笑)。まな板と包丁を取り出して電車内で調理もできる(^_^;。日本人はビックリだ。

DABBA/THE LUNCHBOX
監督:リテーシュ・バトラ
(2015/04/18 あたご劇場)