という雑誌を購入。
これいいわ〜〜(笑)。
光源氏が亡くなるまでの物語は、これでバッチリわかります。
広告なんかもあって、「今年の夏は、白い扇であなたもステキな恋を見つけませんか 扇屋 夕顔堂」とか「慎み深い本場の味 入道印のタコヤキ 明石タコ」とか、笑える〜。
まじめに書かれた本で、初版が1998年。
「あなたはどのタイプ?源氏物語版性格チャート」でイエス、ノーをたどって行ったら、私は末摘花になりましたー!ひえ〜、このチャート、あなどれんかも(笑)。
ぼくは怖くない(他3本)
『ぼくは怖くない』『父、帰る』『ジェリー』『ヴァン・ヘルシング』について、ちゃんと感想を書きたいと思っていましたが、その気が薄れてきましたので、要点だけ書くことにしました。(もしかして、これを「かるかん」に丸写しするかもしれません。)
まずは、『ぼくは怖くない』は、こどもの魅力をあますところなく描いているのがよかったです。こどもって可愛いだけじゃなく、親の目の届かないところで危険な遊びをしていたり、残酷でエッチで、大人のすることをよく見ていて、自然に最も近い人種です。その自然に最も近いところを、青い空と黄色い麦畑だけじゃなく、蜘蛛や蛙や蛇やその他様々な生き物を、まるで仲間と言わんばかりに低い位置から撮っているのがよかったです。
それと、子どもって怖いものがたくさんあるので、おまじないを唱えながら怖いものに向って行くというのは、誰でもやったことがあるんじゃないかな?
お父さんがくじ運に弱いという伏線バッチリ!イタリアの貧富差のような社会性もちょびっとあって、どなたにもオススメできるよい映画だと思いました。
■父、帰る(ネタバレ)
キネ旬で4人の批評家全員が☆4つの満点だったので見てみました。
青緑色の映像が大変美しく、スクリーンの肌触りといいますか、絵画で言うとマチエール(?)、こういう絵肌の油絵を見たことがあります。
ただ、☆4つか〜?って感じ。それほど面白くはなかったですね、私には。
突然帰ってきた父親、KGBか?刑務所帰りか?父が掘り出した箱には何が入っているのか?
父と二人の息子の間に漂う緊張感は、そのまま映画のサスペンスとなって最後の最後まで私は引きつけられました。
しかーし、あのラスト、あれは唐突です。弟が、塔に駆け登るのは。
いくらプッツン来たとは言え、わざわざ何で塔まで駆けていかにゃならんわけ?しかも、高所恐怖症なのに。もう、父親を○○○させるための無理な展開としか思えず、あれで一気に覚めてしまいました。
それと謎を謎のまま置いておかれて、私は少なからず肩透かしを感じました。う〜ん、これもハリウッド映画を見すぎた弊害か(笑)。
あと、もうひとつ。父親は1日にしてならずですね。同じようにスパルタで育てるにしても、もし、幼い頃からスキンシップしていたら父子の信頼関係はもっと堅牢であったろうと思います。う〜ん、それとも、やっぱり同じように嫌がられたかな?
■ジェリー
これはもう、ガス・ヴァン・サント監督の映画〜って感じ。
音楽、景色、気持ちいいー。ほんと、催眠映画(笑)。
結末のつけ方には無理があるし、登場人物の心の動きとか、う〜ん、そんなもんかねえ(甘いというか、もうガス好み貫いてます(笑))。
■ヴァン・ヘルシング
楽しかったですーーー。見る前は、19世紀末のお話のはずなのに、現代風なのがイヤでした。グラナダテレビのシャーロック・ホームズシリーズとか、私はああいうのが好きなのよ。
でも、見てみたら、フランケンシュタイン(モンスター)の頭ピカピカがとっても気に入りました。他にも楽しいところ盛りだくさん。始めはハルクが出て来たかと思ったよ(笑)。
聞くところによると、『ハムナプトラ』の監督作品だそうで、これからはこの監督さん、要チェックですね。
ケン・ラッセルの『サロメ』
DVDで見たんですけど、思ったほどにはおもしろくなかったです。
だって、だいたいオスカー・ワイルドの戯曲どおり劇中劇は進んでいくんだもの。
白塗りのヨハネに、でっぷりとしたヘロデ王、金粉まぶした美少年とか出てきてもね〜、悪趣味度はそれほど高くないんじゃないかしら。
興味深かったのは、「ヨハネをボウジーがやるのはミスキャスト、ボウジーがサロメで、ヨハネは私(ワイルド)だ」というセリフです。ああ、「サロメ」ってそういう戯曲だったのか〜と納得しました。
海老蔵と菊之助
名古屋の御園座で十一代目市川海老蔵の襲名披露公演を見て来ました。
いや〜、海老ちゃん、いいですね。「源氏物語」(三幕)では、花道に登場しての声のトーンを聴くなり、これで役作りは決まり!と思いました。色気、高貴な身分、秘めた恋ゆえの憂い、情熱が声に現れています。気だるげな又はそっけない調子の物言いには、ときに笑いを誘われましたが、六条の御息所に対してなどは残酷に聞こえました。また、容貌の美しさは言うに及ばず、伏し目がちな表情や演技が自然で、7月の与三郎を見たときは役作りが透けて見えたものですが、この光源氏について言えば、正にはまり役だと思います。
「源氏物語」での菊ちゃんは、朧月夜。藤壺への想いがつのり悶々とする光の君に突然襲われて恐れおののくものの、相手が光の君とわかって一目ぼれ。その後は、自分の心に正直に「会いたかった」と胸にもたれたり、都落ちする光の君を追いかけたりと主体的な女性です。菊ちゃんは、品よく可愛く美しく演じており、最後の別れのシーンなどは、海老ちゃんとの芝居が実に息が合って思わず涙を誘われるほどでした。
今回の「源氏物語」では、藤壺との不義の一夜から六条の御息所、葵上、朧月夜ときて須磨へと都落ちするまでのお話ですが、海老ちゃんファンのWEBサイトの掲示板などで言われているとおり、暗転過多の細切れ芝居であって、役者の魅力で持っているというのは、そのとおりだと思いました。
皆よい俳優で、私は澤村田之助さんが演じた弘徽殿の女御が特に気に入りました。実に憎々しげながらも、「十三で帝に嫁してから幸せだったことは一度もない」という本来なら哀しい身の上を、嘆きよりもその強烈な個性で生き抜いてきた逞しさ。憎しみに費やした時間の長さを感じさせる風貌。感情を隠さないために子供っぽく見えて、どこか憎めない人物であります。物語を読む限りにおいては、(私の読み取り不足でしょうが)単なる悪役に過ぎないと思っていた弘徽殿の女御を生身の人間として実感させてくれたのは収穫でした。「源氏物語」は、本当にあらゆる女性が描かれているんですねえ。
俳優で多少の不満があるのは、頭の中将を演じた尾上松緑さん。私は頭の中将には思い入れがあるので、松緑さんにはちと酷かもしれませんが、あれは頭の中将じゃなーい!と思いました。少なくとも、頭の中将が悪代官に袖の下を渡す町人のような表情をするのはいかがなものかと思います。「助六」の白酒屋は、まだまだ精進の余地はあるものの、頭の中将よりずーーっとよかったので、お若いことですし、今後に期待したいと思います。
また、桐壺帝の中村雁治郎さん。雁治郎さんの解釈では、桐壺帝は藤壺と光の君の密通を感づいていたのでしょうか?私はお芝居をより面白くするために、桐壺帝は感づいていたが、藤壺と光の君を愛するがゆえに二人ともを許し、二人に対しては知らぬ振りをしていると解釈して演じる方がよいと思います。そうすると、帝の二人への愛の深さと心の広さが表現されることとなります。ところが、雁治郎さんは、帝は知らなかったとして演じているように見えます。だから、妻と息子の不義に気づかない無垢な帝が、精一杯妻を愛しているというふうに、人はいいけれど少し小粒な人間に見えてしまいました。
雁治郎さんは、「源氏物語」では言葉尻を長く伸ばしたりで芝居が型に嵌りすぎていたので、型がものいう(?)昔からの芝居「熊谷陣屋」の直実に期待しておりました。(浄瑠璃ものだしぃ。私は浄瑠璃が好きなのよ。)ところが、セリフのとおりがあまりよろしくないせいでしょうか、おやつを頂いたばかりだったせいでしょうか、うとうとしてしまいました〜。がーん!鳴門太夫さんの浄瑠璃は、すばらしかったのにぃ(悔)。
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さて、「助六」は、すばらしく面白いです。抱腹絶倒、愉快痛快。
海老ちゃんは、かっこいいー!かわいいー!これ地じゃないっすかぁ〜(笑)?
花道で一節踊ってくれるんだけど、絵のようなとはこのことだと思いました。うつくしー!
早口のセリフが聴き取りづらいところがあったのが残念ですけど。
それにしても、あれだけ股を開く所作が多いのに、ピンッとなった裾が、ずーっとピンとなったままっでくずれないのが面白いですねー(笑)。
菊ちゃんの揚巻は、色っぽい、かわいい〜!これでもう少し、キリリとしたところがあれば、言うことないですね〜。もっと、ツッコミどころがあってほしいぞ(笑)。
衣裳、すごかったですねえ!
7月にお富と与三郎を見て思ったことですが、海老ちゃんはクレヨンで枠からはみ出さんばかりに塗ったぬり絵、菊ちゃんは色鉛筆で枠からわはみ出すことなく均一に塗ったぬり絵。海老ちゃんは太陽、菊ちゃんは月。
海老ちゃんの思考錯誤ぶりが目に見える与三郎、おもしろかったなー。切られた後の与三郎のため息、色っぽかった〜。(あそうそう、光の君のため息、何種類もため息があるんですが、どれもよかったです。私は海老ちゃんの「ため息」のファン(笑)。)
なんか、海老ちゃんのことばかり書いていますが、私は菊ちゃんが好きなのよ。木目細かい演技が快感なのよ。見る度にいいよね〜と思うものね〜。もっともっと上手に、深みが増していくように精進してください。とりあえず、ぬり絵の枠の取れるのはいつの日か。一皮むけたところを見るのが今から楽しみです。
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観劇日:9月25日、26日
演目昼の部:「源氏物語」(三幕)
夜の部:「熊谷陣屋」、「口上」、「助六由縁江戸桜」