七月大歌舞伎>松竹座

菊之助主演の『怪談』、おもしろかったです。
ざっと感想を書いていますので、よろしかったらご覧くださいまし。
『怪談』の感想
んで、先月21、22日と大阪松竹座で観てきた舞台の感想を書かなくちゃと。
●昼の部
「鳴神」
「橋弁慶」
「義経千本桜 渡海屋・大物浦」
●夜の部
「鳥辺山心中」
「身替座禅」
「女殺油地獄」
仁左衛門が座主の公演だそうだが演目が渋い。回り舞台もすっぽんも使用なし、早変わりも大技もなし。しかも、昼の部、夜の部とも最後の出し物が悲劇的。悲劇的であっても大泣きに泣かせてくれるとか浄化作用があるといいのだが、胸に塊ができてしまうような幕切れで後味が悪いのである。
演目については、もうちと選びようもあったろうにとは思うが、それでも満足だった。
「女殺油地獄」などは、芝居が上手ければ上手いほど後味が悪くなる。何の罪もない善良な主婦が、見栄坊の若気の至りで殺されてしまうのだ。
壮絶な殺しの場面より、殺した後、あちらこちらから聞こえる遠吠えに怯え、震えながら花道を逃げていく与兵衛(仁左衛門)を包む暗くて冷たい空気が恐ろしかった。この幕切れが傑出しているため、嫌~な話だという思いが強くなる。
与兵衛のような若者は今もいる。友達の前では格好を付け、しっかり脛をかじりながら親には逆らい、思いどおりにならないと家庭内暴力をふるう。そのくせ、それ程心が捻じ曲がっているわけでもなく、せつな的で弱い人間。
また、その継父の徳兵衛(歌六)や実母のおさわ(竹三郎)の親としての心遣いは今にも通じる。
他人にまで世話を焼くお吉(孝太郎)のような人物は少なくなったような気がするが、よき妻、よき母、として家族を世話し、よき働き手としても家庭を維持している女性はたくさんいるだろう。
このように登場人物が現代に通じる話なので、このお芝居をワイドショーのように感じたりもした。しかし、ワイドショーよりも人物の掘り下げに徹しているのは言うまでもない。
休演の海老蔵の代役として与兵衛を演じた仁左衛門だったが、若く色気がある。息子の孝太郎が演じたお吉より年下に見えた。孝太郎の方も雲の絶間姫とは別人のお吉をよく演じていると思った。(あれ?本当は雲の絶間姫の方を後で見たんだけど;;;。)

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