空白

登場人物のほぼ全員のキャラクターが極端すぎると思うが、面白く観た。
タイトルの空白が何を指しているのか意味がわからないが、父と子がそれぞれに描いた青い空に白い雲の絵が「空に白で空白?」と思ったりした。

一貫して伝えることの難しさ、伝わることの意外さを描いていると思う。あまりにも皆独りよがりで相手の反応など伺わないものだから、登場人物同士の意思疎通ができた瞬間、ものすごく(?)感動する。たとえば、港にマスコミが押しかけてきたとき添田(古田新太)を守ろうとして雇われ人の若者がマスコミを蹴散らすが、添田は彼の後ろ姿を見て自分のために盾になっているとわかる。人の気持ちを慮ることがなかった添田に伝わるのか(へぇ~)。または、元妻(田畑智子)が怒って去ろうとすると本心を伝えて謝る。元妻の方にも添田の気持ちは伝わって何やら感動の場面になる。添田とスーパーアオヤギの店長(松坂桃李)、あるいは店長と従業員(寺島しのぶ)、従業員とボランティア仲間など、いずれも気持ちは伝わらない。添田の娘を最初に撥ねた女性とその母親(片岡礼子)の謝罪の気持ちも添田には伝わらない。添田が受けとめないと言った方がイイか。要するに発信する方も受信する方も皆自分勝手なのだ。マスコミの視聴者(読者)への伝え方が恣意的なのは、不適正で最も罪深いことは言うまでもない。受信する方はよっぽど気をつけなければならない。

意思疎通というのは相手があってのことで、添田のように娘を亡くしたら、もう、自分(の中の娘)と対話するしかなくなる。生きているときも娘との意思疎通はできてなかったし、これからもそうだ。ずーっと空白が続く。添田の本当の喪の仕事が始まったところで映画は終わる。
(2021/12/27 あたご劇場)

少年の君

シャオベイ(イー・ヤンチェンシー)が高橋大輔に見えてしかたなかった(^_^;が、たいへんドラマチックなラブストーリーで感動した。
ニェン(チョウ・ドンユイ)とシャオベイの境遇は、「傷だらけの青春」という言葉がうすっぺらく思えるほど、あまりにも現実味を帯びていて胸が痛んだ。孤立無援の状況は二人の結束を強めるものだから恋愛映画の定石と思えばよかったのかもしれないが、現実世界のいじめや子どもの貧困がちらついて、益々胸が痛むのだった。
それでもドラマの運びは確かなもので、ニェンをいじめ抜いていた女子が死にシャオベイが殺人の容疑で逮捕されると、火曜サスペンス風味も出てきて物語にぐいぐい引き込まれるのであった。

誰かを愛しく思ったり、慕ったり、堅い信頼で結ばれる。それは美しいものだ。
ニェンとシャオベイの取調室を交互に映して二人の結びつきの強さを表現したところは『アタラント号』を思い出したりした。

偉いな~と思ったのは、若手の刑事さん。ニェンの重荷になる嘘を上手い嘘で下ろさせた。真相を話した後、シャオベイと対面し、二人、涙をにじませながらの笑顔がまぶしい。心の中の言葉が聞こえてくるようだった。ここまでくると珠玉のラブストーリーと言うにふさわしい。

中国の大学入試共通テストの様子が描かれていて面白かった。貧富の差やいじめの構造など、どこまでグローバルなんだろう。
(2021/12/24 あたご劇場)

謹賀新年2022

トラの絵

新型コロナはオミクロンまで変異して普通の風邪っぽくなってきたような気がしますが、我が家には普通の風邪でも重症化しそうな高齢者がおわしますので、帰宅時には玄関で両手をアルコール消毒しています。
湯水が沁みるので虫歯かと思って歯医者に行けば歯周病とのことで一月に1回くらい通っています。左目も角膜炎のあとのぶどう膜炎が再発して10月から薬を差し続け、よくなっても薬を忘れまいゾと気を引き締めているつもりですが、家族に差したか尋ねられて「あっ」ということも1、2回はあったかな。ステロイド薬は急にやめると再発することがあるというのは本当だったと身をもって知りましたので、皆さまもどうぞお気を付けください。

映画の感想をあと2本分書いてからマイベストを選ぶつもりです。感想を書いてから次を観るペースだったのが、12月は観たいのが多くてあれよあれよという間に年を越してしまいました。年越しと言えば、収集日を勘違いしてゴミといっしょの年越しでもありました。書いてないと言えば、奥谷博展とワン・シーチー(王希奇)の「1946」の感想も。

あたご劇場の館主様が亡くなって悲しかったですね。切符売り場にお姿がないのは、まこと寂しいことです。高知新聞が募集している県民が選ぶ映画ベストテンにあたご劇場で上映された『ブータン 山の教室』が第5位に入っていて嬉しい驚きでした。映画人口が減るにともないコアな映画ファンの割合が増えてきた結果かもしれませんが。
ともあれ、年末年始に『空白』かよ(゚Д゚)と驚かされたあたご劇場ですが、観てみたら年末年始でもOK作品やったのでほっとしました。それに、お正月第2弾が『サマー・オブ・85』で第3弾が『アナザーラウンド』です。予告編でマッツ・ミケルセンが踊っている姿に狂喜しました。

『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』をやっと観れてよかったのですが、ケンちゃんの『ナイル殺人事件』はどうなったのでしょうか?なんか忘れられている感じ?『ハウス・オブ・グッチ』はあるし、『クライ・マッチョ』もあるし、マトリックスとスパイダーマンも観る気になってきたし、書道にもはまっているし、健康のため運動もしなけりゃならないのに、なんかせわしない感じがしてきました。こういうときは動く瞑想-ヨガ-で一息入れるとイイかも。自宅でできるプチヨガを先生に教えて頂いて隙間時間にやっています。
そんなこんなで、元気加減がわかって頂けたかと思います。
皆さまも健康で楽しみの多い年でありますように(-人-)。

劇場版 きのう何食べた?

ジ、ジルベール!?
美少年を期待したら、そうでもなかった(^Q^)。中身のことだった。

今年観た映画の中で一番笑ったような気がする。愛する人が死ぬかもしれないと思って死ぬほど心配したり、取り越し苦労とわかってほっとしたり、悲喜こもごもがマンガチックなオーバーアクトもピタリとはまり、笑い9分に泣き1分の楽しさだった。

主軸はシロさん(西島秀俊)の両親(梶芽衣子、田山涼成)が、シロさんのパートナーであるケンジ(内野聖陽)に来てほしくない問題。頭ではわかっていても生理的に症状が出てしまう母親。ケンジにとってもシロさんにとってもかなりキツい状況だ。それでも今のところ、理想に向かってよいステップを踏み出した格好になっていると思う。シロさんは年始はケンジと過ごすことにするし、両親と不仲になるわけではない。ケンジも実家に行ってあげてねと言ってくれる。
登場人物が脇役まで皆、クセはあってもいい人ばかりなので、理想的な世界に思えてきた。
(2021/12/22 TOHOシネマズ高知1)