暑中お見舞い2021

朝と夕方は賑やかな蝉も日中は休憩するようで、今の木陰なら静で、いい風が吹いているかも。と言いつつ、冷房の効いた部屋で脳みそが茹であがるのを防いでいます。
皆さま、馴染んできた新型コロナと50年ぶりのトーキョー五輪の夏をいかがお過ごしでしょうか。どうぞ御身をお大事にされて、秋の衆議院議員選挙には投票率のアップに貢献されますようお願い申し上げます。前回の投票率は53%くらいなので、せめて80%くらいにならないと、不完全とは言え民主制度にまでたどり着いた先人の血と汗と涙に申し訳が立ちません。周りの人にも今から一声かけて80%を突破できるようファイティンでございます。

書道

今年の4月から月三回、書道教室に通っております。
楽し~い(^o^)。
上手になるには何年もかかるので早く始めた方がいいんだけど、子どもの頃はお金が、大人になってからは時間がなくて、始まりが今になりました。長生きするぞー!園芸といい、歳月がかかるものばかりや(笑)。
始めてから本やyoutubeも参考にして、色々面白いです。
書道って日本では教育書道と芸術書道に分けることが出来るそうな。教育書道の方は筆の腹を使っているのかな平面的な感じ、芸術書道は穂先のバネを使っているのかな立体的な感じに思えます。
五書体は、篆書→隷書→草書→行書→楷書の順に完成していったというのもビックリでした。隷書の後は楷書→行書→草書と思うじゃないですか。篆書も秦の始皇帝が小篆に統一したとのこと。楷書の完成は唐の時代です。高校では美術を選択していたから、ぜんぜん、知らなかった~。

제17회 탄허대종사선서함양전국휘호대회 명제 #2 궁체흘림(youtube)
Ran TV 란티비さんのチャンネル。ハングルの書もとても美しい!

爱好书法的古稀老者,笔酣墨饱,中华文化之美尽收眼底!(youtube)
常老说书法さんのチャンネル。中国又は台湾の方でしょうか、筆が魔法の杖のよう!

多木洋一さんの「書を楽しむ法」「補筆について」が凄く面白かったので、一読をお勧めします。

歴史こぼればなし的なことは、松韻さんが立て板に水で説明がめっちゃ上手。
工藤松韻【書道チャンネル】(youtube)

絵画

上記をご覧のとおり、遅ればせながらyoutubeに嵌まっております。
山田五郎 オトナの教養講座は、チャンネル登録数約25万人ですから、ご存じの方も多いかも。めっさ面白いですよね。これでアンリ・ルソーがますます好きになりました。ドガのオタクぶりには驚きました。セザンヌを下手と言い切っているのも(^o^)。
ピカソは著作権使用料が必要で、閲覧している方々のカンパで二作品のパネルで説明してくれて、ありがたや。1年分の使用料らしいので、まだご覧になってない方はお早めに。
しかし、著作権って25年くらいで充分じゃないですか?死後50年とか70年とか長過ぎ。でもまあ、50年が妥当かな。どんなにパロってもご遺族も許してくれるんじゃないかな。

植物

朝、庭が日陰のうちに水遣りするほかは、なにもしていません。肥料は重荷、植物も水しかほしくないのです。
ゼラニウム、サイコー。氷点下のダメージから立ち直るのに半年かかったけれど、虫もつかず、夏でも咲いてくれます。多少、水遣りが抜かっても大丈夫。
蜘蛛の巣城の我が家は、ダンゴムシ天国でバッタ繁殖地。ジャバザハットも胡蝶蘭の葉っぱに穴を開けています。去年はバッタの殺戮に血眼でしたが、今年は悟りの境地です。冬になれば出てこない。というか、何匹やっつけても、また現れる。胡蝶蘭はあまりにも食害がひどいので、ジャバザハットに薬をプレゼントしています。もっと環境のよいところに置いてあげたいけど、う~ん、来年に向けて考え中。

プロミシング・ヤング・ウーマン

面白かった!!!
今年は『茜色に焼かれる』『82年生まれ、キム・ジヨン』『大コメ騒動』など女性パワーが炸裂しているなぁ(やんややんや)。
キャシー(キャリー・マリガン)、もっとやったれい!という気持ちと、彼女が可哀想で可哀想で何とか彼女の傷を癒やすことはできないものかという気持ちが交錯。作り手の狙いだろうか、娯楽と本気の混交が何とも落ち着かない気持ちにさせられる独特の作品だった。

考え抜いて作られていると思う。「相手の同意のないセックスはダメ、絶対。」と言いたいことが明確で、レイプの二次被害についてもしっかり描いている。レイプされたニーナを自業自得と無視した友人や、加害者の処罰を避けた医大の学長(医学部長?)を女性にしたのは見識だと思う。ブラックなコメディ仕立てにはしているが、二次的なものも含めて性加害に対する作り手の怒りを感じる。
キャシーが素面で強く出ると男性が引きまくるというのも、弱者蔑視の構造を端的に表現している。男女間に限らず、自分より弱い存在であるとみなすと強く出る人は、相手に意思があるとは思っていない。そして、自分より強い存在であるとみなした相手には、自分の意思を引っ込めるのだ。野生動物っぽい。ってことは、本能?

一番感動した場面は、キャシーが加害者側の弁護士を訪ねたところ。始め弁護士の様子が尋常ではないので怖かった。ところがそれは、自身の弁護によって被害者に与えたダメージに思い至って良心の呵責に耐えかねていたのだった。現実にはめったにないであろう「許し」のシーンは、キャシーの再生の第一歩でもあった。

しかし、よく出来てるなぁ。キャシーはお仕置きした人数をノートに書き付けている。4本の縦線を1本の斜線で串刺しにして5人というふうに(日本だと「正」の字で数えるけど)。画面に大きく「Ⅰ」「Ⅱ」という風に表示されていたのは、起承転結という意味で最後の斜線はエピローグかと思っていたけれど、考えたらお仕置きした人の数かな?だよねー。
デリバリーなんちゃらに化けたキャシーの言いなりになって、バチュラーナイトに集まった新郎の仲間が膝を突いて口を開けて並んでいる顔をスローモーションにしたところ、冒頭のバーで踊る男性たちの腰をスローモーションにしたのと呼応している。
場面ごとの場所の作り込みがとてもいいし!
細かいところまで、もう一度観たくなる。

(追記)
1)ニーナとキャシーは幼いときから仲のよい友だち同士で、一つのレイプ事件が二人の命を奪ったと言える。仮にキャシーが生きていたとしても彼女自身の人生を生きていないという意味で、やはり生きる屍状態だったと思う。
文学的には「ニーナ=キャシー」であって、キャシーを魂の殺人とも言われるレイプの被害者として見てもよいと思う。それぞれのネーム入りのペンダントは、「ニーナ=キャシー」を表現したものだと思う。ただし、実際の被害者は自責の念が強く、サポートする人はまず「あなたは悪くない」ということを言うそうだから仕置き人になれるはずもなく、仕置き人のようなキャシーの行為は作り手の気持ちの表れだと思う。「ニーナ=キャシー≒作り手」ということかな。

2)「キャシー」は愛称で、本名は「カサンドラ」という暗号にピンときて、確かギリシャ神話に出てくる人だったはず……と「カサンドラ」を検索したら、予言を信じてもらえなかった人とのこと。あれれ、キャシーは「予言」なんてしてたっけと考えが及ばなかったワタクシにマイミクさんがその感想文で教えてくださった(感謝)。被害を訴えても「信じてもらえなかった」、そこ!
(2021/07/21 TOHOシネマズ高知1)

声優夫婦の甘くない生活

面白かった!
世界中に散らばったユダヤ人が、神から授かった「約束の地」としてイスラエルを目指すのだろうが、ソ連崩壊後のロシアからけっこうな数の人が移住していたとは全く知らなかった。ロシア語吹き替えの闇ビデオ店に行列が出来たり、ロシア語テレホンセックスワークに需要があったり。
イラクから毒ガス爆弾が飛来するのに備えてガスマスクが必需品だったり、警報が鳴って皆が装着して避難行動を取っている姿に驚いた。やっぱり、近隣とは仲良くしておいた方がいいよね(^_^;。
シェルター販売のチラシを貼ったり、どこまでが映画の作り事なのかわからないが、1990年代が舞台とはいえイスラエルの人の暮らしを少し覗けて面白かった。

「甘くない生活」はフェリーニの「甘い生活」から来ているのだろう。原題の「GOLDEN VOICES」も夫婦それぞれのエピソードが思い出されていいけれど、邦題は映画愛を感じるし、なにより面白そうだ。
ヴィクトル(ヴラディミール・フリードマン)が言うことに、ソ連時代に見たい映画を見れなかったことや、敬愛する映画監督と夫婦のスリーショット写真が自慢なこと、『ホーム・アローン』より『ボイス・オブ・ムーン』の吹き替えをしたいことなど、映画愛・文化愛の溢れる作品でもある。闇ビデオ店のオーナーがフェリーニを知らないことや、私もフェリーニ作品をほとんど観てないことが寂しい。

ラヤ(マリア・ベルキン)はマルゲリータという源氏名でテレホンセックスの接客をしていて、お客さんセルジュからのデートの誘いはもちろん断ったが、それでも待っているという相手をお忍びで観察していた。このとき、セルジュは花束を手にしていた。ロシアではデートの待ち合わせに男性から花束を贈るそうで、移住先でもちゃんと風習がつづいているのだなぁ。
移住生活の始まりは職探しからして大変で、中高年ならなおさら。大変だからこそ結束する夫婦もあれば、ほころびを広げてしまうこともあるのだろう。声優夫婦の関係については、キス一つで万事解決。夫婦げんかは犬も食わないと改めて思った。
(2021/07/17 あたご劇場)