篠山紀信展 写真力

篠山紀信展 写真力
大きいことはイイコトだ(^_^)。
部屋の中央で一回転すると全部の作品を見渡せるのはいいなぁ。しかも、写っているのは著名人。車いすの母も堪能できた。
都庁をバックに天気占いをする座頭市(勝新太郎)とか、建設中のスカイツリーを背景にした中村勘九郎とか合わせ技の面白さもあるし、黒柳徹子のヌードっていうのもある種の衝撃だし。時代と人を切り取る写真の面白さを感じた。また、拡大することにより揚巻(坂東玉三郎)の衣装の豪華さだけでなく重さが伝わってくるし、ディズニーランドや東日本大震災後の東北の空気感も伝わってきて、お祭り気分になったり厳粛な感じになったり。時代と人を切り取ることにどれだけ普遍性があるかしらと思いながら見て行った。

母に一番印象に残ったのはどれかたずねると、「筋肉(裸で踊るマラーホフ)」とのこと。二番目は「花魁(揚巻姿の玉三郎)」だった。
宮沢りえを見ては、「乳首がない。」←ある!
外国人が見たらどれが印象に残るだろうかとたずねたら、「人ぞれぞれやろうねぇ。」←いかにも。
めでたし、めでたし。
高知県立美術館ホールと中庭

(2015/11/15 高知県立美術館)

プライベート・ユートピア ここだけの場所

ブリティッシュ・カウンシル・コレクションによる英国美術の現在

いやいやいや~(^_^;、面白すぎる;;;。
1時間もあれば、ひょいひょいと見て回れるだろうと思っていたら、映像作品が思ったより多くて椅子を構えてくれているほど。映画を観に行きたかったので1時間半で切り上げたんだけど、あと30分くらいほしかった。
うえの写真で同じ物体が2枚あるのは、「なんじゃこりゃ~」度が最も高かったためだ。肌色のストッキングに詰め物をしているコヤツが生々しくて強烈だった。この一角はサラ・ルーカスの作品。攻撃的であまり好きじゃないけれども。
ピーター・ドイグという人のエッチングは欲しいな~。一つ一つ全部好きだった。なんじゃこりゃ度が低いためか、絵はがきがなかったのは残念。
緑と青のライトに照らされたシアン系、綺麗だった。
椅子になる紐、面白かった!
ほとんどの作品が印象に残る。
(剥製の小犬が「I’m dead」というプラカードを持って立っているのは、ブラックで可笑しくて英国らしいと思って写真に撮ったけれど、なんだかここに載せる勇気がなかった。)

artは技術という意味もあることを知って、職人さんが作る工芸品など正しく「技=芸術」だもんね~と言葉の意味に納得がいったものだったけれど、現代美術を見ていると技術というより「閃き」「アイディア」の印象が強い。一発のお笑いで終わってもいいし、研きをかけていくのもイイかな。

プライベート・ユートピア ここだけの場所 ─ ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在
British Council Visual Arts

おしまいの写真は、展覧会とは無関係の植物。

スリンカチュ

こびとの住む街2
ツイッターでお気に入りのアート作品があったので検索したら、スリンカチュ(slinkachu)の作品だとわかった。スリンカチュは1979年生まれUK在住の男性で、左の画像のように写真集が翻訳されており、カタカナで検索してもヒットする。やっぴさんのブログ、カクレマショウの「スリンカチュ!」のページにどんなアーティストか簡潔に書かれていてとても参考になった。やっぴさんは写真家と書かれているけれど、本人は写真家でもミニチュア・アーティストでもないと言っており(?)、もっとストリート・アートをやっていきたいみたいだ。

その他の情報としては、こびとさんたちの制作は2006年から始めたそうな。電車のプラモデルを塗ったり削ったりしていたことが始まりで、こびとさんたちはストリートに置いて写真に収めて、そのまま残していくとのこと。公式サイトのバイオを読むと、色々と制作意図があるみたい。
小さい人プロジェクトの他にかたつむりプロジェクト(生きたかたつむりに無毒の絵の具でペイントし、ストリートにおいて写真を撮る)もやっていて、そのブログもある。
スリンカチュという不思議な名前の由来は。髪の毛がくねくね(スリンキー)なところからスリンキーと呼ばれていたので、友だちにわかるようにブログ名をスリンカチュにしたら自分までスリンカチュになったとのこと。

ネット上の画像を見ていると、繊細でユーモアがあって(ブラックなのもある)いじらしさのようなものも感じて、やっぴさんのおっしゃるように引きの絵を見たときの面白さも含めてすっかり気に入ってしまい、e-honのボタンをクリック。洋書だといくらか安いんだけど、キャプションのような短い英語でも「めんどくさ~」なので、お高い翻訳本の方を衝動買いだ。

The Little People Project←公式タンブラー
slinkachu←公式サイト
THE Q&A: SLINKACHU, ARTIST, MINIATURIST←インタビュー
Slinkachu: 20 Years of War Child exhibition←youtube、制作風景
‘This Photo Is Great’←「この写真がすごい2 70 photographs」(朝日出版社)に載ったときの本人のツイート。「初期のエッチな1枚!」

さかつうギャラリーのプライザー頁←ミニチュアって楽しい。
マン盆栽パラダイス←マン盆栽って面白そう~。

もう一人のお気に入り、スカイ・アートのトマ・ラマディエ(Thomas Lamadieu)。フランス人。検索してもフランス語の情報がよくわからなかった(残念)。
LAMADIEU THOMAS / ROOTS ART

熊谷守一展


今年は一目惚れした熊谷守一のカレンダーをパソコンのデスクトップと部屋の壁で楽しんでいるところなんだけど、ひろしま美術館で展覧会を開催していると知り、喜び勇んで行ってきた。期待しすぎて、それほどでもなかったらどうしようと思っていたけれど、ますます好きになった。守一は、庭の植物や生き物を日がな一日見つめてもちっとも飽きず、アリは左の二番目の足から歩き始めることを発見したらしいが、私も守一の絵をながめて全く飽きることがなかった。そして、守一の絵の特徴である輪郭線は、輪郭線として描かれたものではなく、外側と内側を塗ることによって輪郭線に見えているのだとわかって驚いた。サインも漢字だったりカタカナだったり、フルネームだったり名前だけだったり。気分だねぇ(笑)。また、カレンダーを見たときからユーモアを感じていたし、今回見た「線裸」(1927年)と名付けられた絵は裸婦なのか紐なのか、本当に笑ってしまった。ほとんどが4、50センチメートルの小さい絵で、茶の間にも飾っておけそうな感じで、そんなところも大好きだ。初期の油絵から日本画、書、焼き物、彫刻、画材、道具箱、キセル、パイプ、守一の言葉など、どれもこれも見ていて楽しいものばかりだった。あまり欲のない人は、ちょっとしたことで満足できるので幸せだと思うけど、熊谷守一は幸せだっただろうなぁ。
図録を見たら、ひろしま美術館では4月20日まで開催され、その後、松山のミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館)へ巡回するそうだ。4月27日から6月15日までは同じ四国にいるんだね~。

ひろしま美術館は、大大大好きなゴッホの「ドービニーの庭」とアンリ・ルソーの「要塞の眺め」があって、ずっと前に「要塞の眺め」を見たときは、「私にも描ける」だったか「私の絵に似ている」だったか、そんなことを思った。改めて見てみると、どうしてそんな大それたことを思ったのか不思議だ。あの異次元のような静けさは、誰にも真似できない。
「ドービニーの庭」は、2008年に解剖されていて黒猫の謎が解けていた。下の画像の「T」の字の下に赤っぽい(ネットでは茶色っぽい)ところがあるのは、ゴッホが描いた黒猫をとある人(名前を忘れてしまった)が修正してしまったのだそうな。

検索したらありました。黒猫の謎解き→ひろしま美術館に、ゴッホの「ドービニーの庭」がありますね。 色々噂があります…

ひろしま美術館
ドービニーの庭

(2014/03/29 ひろしま美術館)