デンゼル・ワシントンて本当に役者だなぁ。カッコよくて男前で演技力があるって、鬼に金棒、向かうところ敵なし。
CIAの裏切り者トビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)は人心を自在に操ると恐れられているので、後輩マット・ウェストン(ライアン・レイノルズ)をどれだけ意のままにするのか楽しみにしていたが、そこのところは肩すかしの脚本だった。しかし、これまでいくつものあぶない橋を渡り、凄腕を維持しながらも現状に倦んでいる様子や、若きエージェントにかつての自分を重ね、見所があるヤツとわかると、自分の轍を踏まぬよう期待をしたりする陰影に富んだ人物像が見所となっていた。昔からの仲間(偽造屋)に心を許している場面なども短いが印象に残っている。
一方、若手のマットの方も見所を与えられていた。恋人といっしょのにやけたシーンから始まって、実績をあげてステップアップしたい野心なども垣間見え、隠れ家に重要人物がやってきたときのドキドキ感、そいつを守りながら追っ手を逃れ、初めて人を撃ったり、上司の裏切りを知ったり、ちゃんと頭を働かせて成長著しい。シャープさがまるでなく、普通の兄ちゃんにしか見えないのに・・・・。生き残るのはこういうタイプかもしれない。
カメラを振り回し、嫌というほどカットを割ったアクションシーンだけでは心に残らないが、主役二人の(もちろん比重はトビン・フロストの方が大きいが)人物像がよく描かれていたので面白かった。
SAFE HOUSE
監督:ダニエル・エスピノーサ
(2012/09/24 TOHOシネマズ高知2)