劇場版 きのう何食べた?

ジ、ジルベール!?
美少年を期待したら、そうでもなかった(^Q^)。中身のことだった。

今年観た映画の中で一番笑ったような気がする。愛する人が死ぬかもしれないと思って死ぬほど心配したり、取り越し苦労とわかってほっとしたり、悲喜こもごもがマンガチックなオーバーアクトもピタリとはまり、笑い9分に泣き1分の楽しさだった。

主軸はシロさん(西島秀俊)の両親(梶芽衣子、田山涼成)が、シロさんのパートナーであるケンジ(内野聖陽)に来てほしくない問題。頭ではわかっていても生理的に症状が出てしまう母親。ケンジにとってもシロさんにとってもかなりキツい状況だ。それでも今のところ、理想に向かってよいステップを踏み出した格好になっていると思う。シロさんは年始はケンジと過ごすことにするし、両親と不仲になるわけではない。ケンジも実家に行ってあげてねと言ってくれる。
登場人物が脇役まで皆、クセはあってもいい人ばかりなので、理想的な世界に思えてきた。
(2021/12/22 TOHOシネマズ高知1)

ラスト・ナイト・イン・ソーホー

久々に健全な娯楽映画を観たような気がする。とてもよかった。ベリーグー(^o^)。
ホラーと聞いていたが、恐いところは少しで、慣れると笑えるくらいなもので私には丁度よかった。
それにしても古今東西、若い女性が搾取され続けている現実にむかついているから、ヒモも客も殺されてめでたい(^o^)。
殺した人には天罰(?)が下るし。主人公は死なない(^o^)。

そして、娯楽映画のなかに「助けを求めてください」というメッセージがあるのが嬉しい。
エロイーズ(トーマシン・マッケンジー)がデザイナーになる希望を胸にロンドンに出てきて、重たい荷物に手こずっているのを手伝おうかと言ってきた青年を警戒して断る。田舎の祖母はエロイーズを心配して「困ったら助けを求めるのよ」と電話で諭す。なかなかSOSを出せない彼女だったが、追い詰められたとき遂に助けを求めて、めでたしめでたし(^o^)。
若い女性には若草プロジェクトっていうのがあるらしいし、若草じゃなくても人生ピンチのときは諦めずに助けを求め続けてほしい。諦めなければ何とかなる。
(2021/12/15 TOHOシネマズ高知4)

あのこは貴族

貴族も平民も女子は生きにくいですなぁ。男子も生きにくいかもしれないけれど、この映画では女子が主役なもので。
華子(門脇麦)は、結婚するまでは特に息苦しくはなさそうだった。結婚してから日々虚しく過ごすうち、家系に縛られていることに気づいたのかもしれない。それで夫と関係のあった美紀(水原希子)の部屋を訪れて、別な生き方があることを知ったということだろうか。
美紀はお金がないゆえの金縛り人生。仕事はあっても女性の賃金は安いので、先行きがやっぱり不安なのだ。

華子と幸一郎(高良健吾)との結婚を機に、幸一郎と別れた美紀。その後、虚ろな結婚生活に終止符を打った華子。
二人とも男性に依存しない道を選んで生きていく結末。イイ時代になったものじゃ。女性に依存しない男性を主人公にした映画ができたら猶よい。

華子の友だちのバイオリン弾きの女性が言っていた「女性同士が敵対するのはおしまいにしたい」というような意味のことは作り手の気持ちだろうと思った。
美紀とその幼なじみが、いっしょに故郷で事業を興すことに決め、自転車の二人乗りをするシーンは、『キッズ・リターン』のラストのようで、「ここで終わりか?終わってもいい」と思ったが主役は貴族であった。自立した華子に幸一郎が目をとめるのがラスト。そりゃあ、まぶしく見えるでしょうとも。でも、よりを戻すことになったらガッカリだ。
(2021/12/03 あたご劇場)

アメリカン・ユートピア

ワイヤレス、\(^_^)/、バンザイ。
ディヴィッド・バーンズと言われても「昔バンドやってたの?」と思いながら観ていた。音楽のお師匠様はトーキングヘッズを教えてくれなかったからなぁ。よう声も出るし、歌の内容も脳から始まって家にこもる完全インドア派みたいで面白い。バックボーカルの人たちの踊りが楽しい。そして、何よりリズムセクションの充実ぶり。やはり古今東西、鉦や太鼓は晴れの日には欠かせない。それにしても、スパイク・リーはこのライブをナゼ映画にしたのか????と思っていたら。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!。
「プロテストソングは鎮魂歌でもあります。」バーンズさんの言葉が、そのあとの歌が(ToT)。
「自分を変えろ大地震で」、そうです。心あるアーティストはライブで言ってきたのです(沢田研二も言っているらしい)。どう変えるかは本人次第。他人を変えるより自分を変える方がまだ簡単。世の中もより良く変えたいと思いませんか。より良いどころか(逆さ)ユートピアなんだから、もう変えるしかないでしょう。今よりましな(逆さ)ユートピアにしなくっちゃ。今のままでいい人は投票しなくていいけれど、今のままでイイということは、これだけ黒人が殺されてもイイということですよ。「投票」に行くしかないでしょう。
あああ、なんと日本にも当てはまることでしょう。

観客は中高年多し。ご本尊とともに年を取る。
作品としては作り手(スパイク・リー)のセンスを感じる。ファーストショットの緩くも楽しい絵は緞帳(のようなもの)だったことが最後にわかる。何より他人を拒むかのような歌が、同じ歌詞なのに子どもが合唱すると他人と繋がろうとする歌になる、その歌で映画の最後を締めくくる(中程でちゃんと伏線を張っているのがイイ)。投票だけではダメで人と繋がることの必要性をスマートに表現して爽快だった。
(2021/11/24 あたご劇場)