JUNK HEAD

日本語にすると「ガラクタ頭」かな?もっと短時間にまとめてほしかったが面白かった。続きを見てもいいかな。上映されたらの話だけど。
SFと言うよりファンタジーっぽいと思った。ほとんど一人で作ったというストップモーション・アニメーション。
長寿と引き換えに生殖機能を失った地上の人間界から、主人公が単身で地下のマリガン(人工だけど独自に進化して増えている生物)を調査に行き、滅亡しかけの人間を増やすヒントを得たいというお話は、そんなに面白いと思えなかった。でも、登場するマリガンのキャラクターに魅力があるし、いつも飢えている様々な地下生物のいつかどこかで見たような造形も手が込んでいて見飽きない。もちろん、地下世界の構造物やなにやらかにやらの悪夢のような暗さ汚さも可愛らしさがあって引き込まれる。
しかし、もっとも魅力的な三バカ兄弟がいない続編は寂しい予感。
(2021/05/10 TOHOシネマズ高知9)

82年生まれ、キム・ジヨン

世界中の女性から共感を得られる作品ではないだろうか。また、男性にも面白く観られるようにキム・ジヨン(チョン・ユミ)の夫デヒョン(大沢たかおユン・ユ)や父、弟が塩梅よろしく配置されている。これでジヨンが実父母と義父母の介護をしていたら女の一生フルコース(?)だったかもしれない。ジヨンの母(キム・ミギョン)が娘のところに駆けつけたシーンは泣けたし、ジヨンの同僚にしろママ友にしろ女性が集まって話をする場面は笑えた。社会問題を織り込んだエンタメ感動作を連発する韓国映画のパワーを感じる。

ジヨンは母になり、ジヨン自身の母になり、デヒョンの母になり、母の母になる。どの母も我が子を案じていた。皆が母になったら世の中、円く住みよくなるのではないだろうか。独身の人も男性も性別を問わず、ジヨンの姉(コン・ミンジョン)が弟(キム・ソンチョル)を気が利く男性に育てたように誰かの母になってみたらどうだろう。母の日も近いことだし。万年筆にネームを入れてプレゼントするなんて思い遣りがある。父(イ・オル)がジヨンの好物をあんパンだと思い込んでいたのは許してあげませう(^o^)。
(2021/05/01 あたご劇場)

大コメ騒動

面白かった。
男性は「女性は偉い」と言う。その男性たちは下駄を履かせてもらったうえに人の足を踏みつけていることに気づかずに言っているのだと思う。そして、男性は武士は食わねど高楊枝的に武士であることを強要されている不自由さにも気づいていないのではないか。例えば、女性は感情的だというのは、そういう感情表現を許されていない男性の不自由さと表裏一体だろう。更に、多くの女性もそれらのことに気づいていないのではないか。・・・・と長い間思っていた。現在も女性の置かれている立場は米騒動のあった百年前とあまり変わらないけれど、近年、女性自身が変わってきて「やっとここまで来たか」と感じている者としては、この映画も喜ばしいものである。登場人物のセリフに肯けるところが多く「わかってるね!」という感じだったので、脚本とかに女性が絡んでいるんじゃないかなと思ったらプロデューサーと脚本などが女性のようだ。
も一つよかったことは、社会的に何かを変えようと思ったら一人では困難であり、仲間と繋がらなくてはいけないということと、繋がろうとすると仲間割れをするように仕向けられるということが描かれていたことだ。仲間割れを脱するには話し合い(腹を割ること)が必要なことも描かれていた。なにやらタイムリーな映画のような気がする。
(2021/04/24 あたご劇場)