前二作ともあまり好きでなく、ゴードン(ゲイリー・オールドマン)以外は(ジョーカー(ヒース・レジャー)でさえも)ほとんど忘れ、まるで観る気が起こらなかった本作だったけれど(冒頭のハイジャックシーンのバイオレンスぶりにやっぱりよせばよかったと思ったことを除けば)、すごく面白かった!
私にとっての前半のハイライトは、涙をためたアルフレッドの青い瞳だ。マイケル・ケイン渾身の演技に引き込まれ、思わずもらい泣き(笑)。
そんなアルフレッドの制止もむなしく、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)がバットマンとなってゴッサムシティに再登場したとき、フォーリー市警副本部長(マシュー・モディン)の勘違いは甚だしく、バットマンを追いかけだしたときは「わ~、ばかばかばか」とかつての青春スタアをバカ呼ばわり(笑)。
それに、バットマンが乗っていたバイクみたいな乗り物が、突然、タイヤの回転軸を換えて方向転換したのには、「さすが、マンガやーーー!!!」と大受けだった(笑)。
中盤で面白かったのは、やはりベイン(トム・ハーディ)だ。目的がさっぱりわからなかったので、破壊のための破壊に見えて、これぞ究極の悪といった感じだった。「ウォール街を占拠せよ」と比較するのもおぞましい証券取引所の乗っ取り、スーパーボウルの競技場爆破。楽しいから壊すというわけでもない。世間への恨みを晴らすといったふうでもない。そして、破壊の先には何もない。やっていることは派手なのに、この虚しさといったらなかった。(娯楽映画のはずなのに、まじめくさっているったらなかった(笑)。)
終盤、ミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)の正体がわかり(子役の容姿は重要だと改めて思った)、ベインの破壊の動機もわかり(虚しさが吹き飛び微笑ましくなった)、ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の本名もわかり(なんかピッタリ~(^o^))、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)の末路に灯がともり、娯楽映画としてとても気持ちのよい幕切れで満足した。
ただし、鉄腕アトムみたいなバットマン決死の運搬は、もっともっと遠くでないとゴッサム市民はのちのち苦しむことになるのではないだろうか。
THE DARK KNIGHT RISES
監督:クリストファー・ノーラン
(2012/08/20 TOHOシネマズ高知1 吹替版)