暗いし、カメラがぐらぐら動いて見にくいし、息が詰まりそうだった。息が詰まりそうだったのは、アグニェシュカ・ホランド監督の演出力なんだろう。
観ながら赤瀬川源平の「ルーブル美術館の楽しみ方」だったか、西洋絵画は肉食の人たちが描いただけあってうんぬんかんぬんと言っていたのを思い出していた。ゲットーから地下水道へ逃げるとき、整然と移動し、整然と隠れた方が身のためのように思えるのに、各人の自己主張が激しいのに観ていて疲れた。また、ゲットーでも地下水道でもお盛んだったので生命力があるなーと思い、日本人も同じ状況でこれだけ生命力があるだろうかと考えて、今村昌平監督だったらあるかもしれないと思った。(今平監督、肉好きだったに違いない(・_・)。)
お話は、お金目当てから人助けへと、ソハ(ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ)の行動の動機が変わっていったり、それが危険をともなうものであったりと、定石どおりの流れでそんなに目新しい作品とは思わなかったけれど、14ヶ月地下水道に隠れ生きのびたユダヤ人がいたことは知らなかったし、エピソードもふんだんで疲れることはあっても飽きることはなかった。
それより私のお気に入りは、ソハの妻ヴァンダ(キンガ・プレイス)だ。「ユダヤ人も私たちとそう変わらない。だって、イエス様もユダヤ人だし。」とユダヤ人差別とは無縁の彼女だったが、ソハが彼らを助けているとなると別。ユダヤ人に恨みはないが、助けていることがバレルとこちらの身も危ういのでカンカンになる。ころりと変わるところが健全だ(笑)。
ソハが娘の聖体拝受式を途中で抜け出したことに堪忍袋の緒が切れて、一旦は家を出て行くが、「バカね、戻ってきちゃった。」と笑う。明るくて善良で、見るたびホッとさせてくれて、(他の登場人物が悪人というわけではないが、あまりにも状況が暗いので)地獄に仏のようなキャラクターだった。
IN DARKNESS
監督:アグニェシュカ・ホランド
(シネマ・サンライズ 2013/03/15 高知県立美術館ホール)
あの妻が良かったですよね~(^o^)
彼女と一緒に居るときに感じられる
ソハの善良さも、なんだか微笑ましくて・・・
それと、「路上で育った」というソハが、自分でお金を立て替えて
「他の者には言うな。ただで(ユダヤ人を)助けるようなヤツだと思われたくない。」
と言ったのも、妙に印象に残っています。
そうそう、妻と一緒にいるとソハが可愛くみえる(笑)。
お金を立て替えるときのセリフは、私も印象に残っています。
収容所の人と数日入れ替わる手助けをしている人が無報酬だと言ったのを、ソハはどんな気持ちで聴いていたのでしょうね?
ファーストシーンで泥棒してたので、いろいろ考えちゃいますね。
お茶屋さん、こんにちは。
昨日付の拙サイトの更新で、こちらの頁をいつもの直リンクに拝借したので、
報告とお礼に参上しました。
僕のお気に入りもソハの妻ヴァンダです。
史実によるのか作り手による造形なのか、を考えると、
普通に名もなき人々だけに後者であることが偲ばれ、作り手への敬服を覚えました。
どうもありがとうございました。
ヴァンダ、人気ですね!
ユダヤ人たちが開放されたとき、ソハといっしょに歓待していましたよね。「おれのユダヤ人だ!」と繰り返すソハの嬉しそうな顔と食べ物を配るヴァンタを思い出すと、暗くて重くてしんどかった映画がまぶしくなってきます。
名もなき人々、ばんざーい!
こちらこそ、ありがとうございました。