永遠の0

とてもよかった。
『パール・ハーバー』(マイケル・ベイ監督)と比較しても遜色がない特撮(というか私はこちらの方がよいと思う)もいいけれど、まず、話が面白い。孫が祖父(夏八木勲)とは別に血縁の祖父がいたことを知り、特攻で亡くなったその祖父について調べていくと戦友だったはずの人たちから「臆病者」「卑怯者」だったと言われる。特攻で亡くなっているのに臆病者とはこれ如何に。更に聴き取り調査をつづけて臆病者と言われた訳(死にたくない訳)はわかったが、それなら、なぜ、特攻を志願したのか。謎が謎を呼ぶ推理もの仕立てだ。
締めくくりは、戦争体験者にはそれぞれの物語があり、それを直接聴けるのは今のうちだからよく聴いておこうというもので、語れる人がどんどん少なくなっている今の時代にふさわしい作品だと思った。また、ここで語られた戦争末期の話が今に通じる話として私には響いてきた。

宮部久蔵(岡田准一)の考えは、「自分が死んでも兵隊の補充は利くが、妻(井上真央)や子の人生は大きく変わってしまう。そう思うと死ねない、死にたくない。」というものだ。私の考えも似ていて、「優先順位をつけておくと悩まないですむ。まず、自分が第一、その次が家族、三番目に趣味と言えればよいが、やはり仕事か。雇われ人は機械の部品にすぎず換えが利くが、家族にとってはオンリーワン。壊れてから休むより壊れないように休もう。」というものだ。
戦闘時に戦わず待避していたという宮部は、本当なら脱走兵扱い、軍法会議ものではないだろうか。現代に生きる私は軍法会議に掛けられる心配はなく、有給休暇を取る権利があるので(同僚が忙しくしているのに悪いなという若干の後ろめたさをクリアすれば)宮部のように「卑怯者」と言われることなく仕事から待避できる。ただし、メンタルなどで休職者が増えてきたりして職場にますます余裕がなくなると、管理職や人事畑へ向けるべき矛先が別の向けやすい方に向くのではという心配はある。もう何十年も前に「企業戦士」という言葉や「24時間、戦えますか。ビジネスマン、ビジネスマ~ン!」というCMがあったけれど、今、ブラック企業で働かされるのは「特攻」と言いたくなるような状況だ。

宮部久蔵が特攻に志願したのは、心の健康を損なったことと、家族と教え子の間に優先順位をつけられなかったことが原因だと思う。いい人過ぎるのも考えものだ。景浦(新井浩文)みたいに常軌を逸しているくらいの人が、過酷な状況でも平静でいられるのかも。でも、景浦の真似はようしないので、もしものときは「どんなことがあっても生き残る努力をしろ」という宮部の言葉のお陰で生き残った井崎(濱田岳)を目指したいものだ。

監督:山崎貴
(2013/12/21 TOHOシネマズ高知7)

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