エミール・ゾラ原作、ルネ・クレマン監督、マリア・シェル主演の1956年の作品。
恋人の浮気で別れ、二人の子どもを抱え苦労するうち良い人と結婚。開業した洗濯屋も繁盛。しかし、夫が怪我をし酒浸り、前の恋人も同居することになり、家庭はめちゃくちゃ、洗濯屋も寂れ、別に好きな人がいたけれど成就せず、落ちぶれて自身も居酒屋で飲んだくれる(多分、這い上がれずホームレス状態で死んで行く。小さな娘はどうなるのだろう?)。19世紀末くらいのフランスが舞台なので、どんなに働き者でも女性の仕事は限られていたと思う。現代の状況とは異なり、今からするとどうしても古く感じられたが、主人公の誕生日の会食シーンはもの凄かった!
上映に際して講演してくださった小説家の方(お名前失念;;)によると、ゾラ原作の映画は『嘆きのテレーズ』を始めたくさんあり、『居酒屋』の最後で物乞いしていた少女ナナが主人公の物語や、ナナの叔父に当たる人物の物語「獣人」も映画化されているとのこと。また、当時はいい結婚が出来るか否かが女性の幸せに直結していたという説明や、ゾラが足の不自由な野良犬を拾い最期まで面倒をみたという温かいエピソードにふれ、暴力的な陰惨な話を書いてもやさしい人だとわかってほしいという話なども面白かった。
(小夏の映画会 2016/02/28 龍馬の生まれたまち記念館)
面白かった。→SYUGO.COMの「居酒屋」書評ページ、同じくルーゴン・マッカール双書