海炭市叙景

エアコンの壊れた真夏の劇場で観たとしても、底冷えがするだろう。海炭市は冬、産業も商売も、人生も冬。風景も人々の営みもやるせない。雪が溶けた春先で終わるけれど、この映画は冬景色の冷たさがいいのだ。
劇場にこのような空気を作れる映画は滅多にない。すべての登場人物の気持ちにシンクロできたし。いい映画だった。(人物同士の関係に普遍性があり、今の時代の一地方でなくとも充分成り立つ景色だと思うけれど、金の切れ目が命の切れ目につながってしまう日本の今が映されていたような気がした。)

「海炭市叙景」への2件のフィードバック

  1. >金の切れ目が命の切れ目につながってしまう日本の今・・・
    そう、まさに「日本の今」が描かれてる気がしました。
    私も登場人物たちにシンクロ(いい表現ですね~)しながら観ていたので、時間の長さを感じなかったんですが・・・
    お茶屋さんの感想を読んで、なんだか自分の歳を感じてしまいました。こういう寒さ、寂しさが、すごーく身にコタエル感じがするんですよね。あの妹(谷村美月)は、あの後どうなったのかなあ・・・とか。(最後に電車の中にいなかったような気がして。)
    こういう(色々な意味での)「寒さ」「さびしさ」を感じさせる映画観るのが好きだったのに、観る体力が不足してる気がしてしまいました(苦笑)。
    うーん、これじゃダメだわ。体力つけて、どんな映画でもOK!にするぞ~[E:snow][E:snow][E:snow]
    あ、谷村美月の名前「谷口」と間違えて検索したら、「谷口美月」の一番上に「谷村美月」の情報が出てました~。間違えるの私だけじゃないのね(笑)。(でもアンケートにも谷口って書いた気が・・・)

  2. 若い頃は冬が好きだったんですが、近頃は梅から薫風までの季節がいいなあと(笑)。
    ムーマさんと同じく『海炭市叙景』は身に堪えました。寒すぎです。ただ、一方で客観的に観てもいて、一人暮らしのおばあさんの居心地よさそうな部屋と、絶望夫婦(南果歩、小林薫)の荒れ果てた部屋、あるいは新築(増築?)された目黒家の空虚な感じなど、その他のロケーションも含めてよく作られていると思っていました。
    あの妹のその後も気になるけど、生きていくしかないもんなぁ。(私はアキラ君が可哀想で可哀想で(TOT)。)
    それにしても、あの電車は何なんでしょうね。初日の出を見に来た人たちが乗っている電車だから、歩きの兄妹は乗ってないとしても、絶望夫婦が乗っているから、ある種「願望電車」という気がしています。
    >谷村美月の名前「谷口」と間違えて検索したら、
    間違い検索はよくやります。間違っても「もしかして○○○」と間違いを見越してくれるのがありがたいですね。
    谷村美月については、高良健吾と兄妹をやった『おにいちゃんのハナビ』、観たいですね。

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