私のちいさなお葬式

母は息子のためを思い、付き合っていた彼女とは別れさせ、飲んだくれと年寄りばかりの田舎から都会の学校へと進学させた。
息子は老いた母のためを思い、老人保護施設に入れようとした。
二人は都会と田舎に別れて暮らし、特に息子は仕事が多忙でなかなか意思疎通ができなかったが、ふるさとの湖の鯉のお陰でゆっくりできて、息子は母といっしょに暮らすことにした。めでたし、めでたし。
成功しても「忙しい」=心を亡くすことの哀しさを、ふるさとで自然に囲まれ人と繋がることの豊かさを、寓話的に描いた心温まる作品だ。

ロシアは社会主義をやめたんだね。資本主義がより進んで規制をとっぱらった新自由主義の国で暮らす私たちと、ほとんど同じ暮らしぶり。成功した息子はドイツ車に乗っているし、若者はインスタ映えする写真を撮りたがるし、メル・ギブソンがおばちゃんのアイドルだし、ホームレスも存在するし、他にもあったかも。

一番おどろいたのは、生前葬と思っていたら本当に死ぬつもりでお葬式の準備をしていたこと。息子が帰ってきたから、もうこれで寂しくない。息子のためと思って本心を言わなかったのだと思う。いっしょに暮らせるなら死ぬこともないでしょう。

ロシアは意外と木造住宅なんだなぁ。シベリヤなんか大きい木があったのだろう、築百年を超える3階建て以上の集合住宅もあるようだ。
帰宅途上では「恋のバカンス」のハミング。
(2020/07/31 あたご劇場)

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