わからなすぎてつまらなかった。動体視力が弱く、情報処理が遅いので、映像の動きや字幕、展開の速さについていけなかった。
時間を遡る人と普通の時間軸にいる人が同じ空間にいる(でも同じ空気は吸えない)というアイデアを映像化していることに感心しても、「変わりターミネーター」に思えてしまうし、萩尾望都の名作「銀の三角」と比較するという不幸な禁じ手にハマってしまう。頭が固いのだろう。
悲しさ漂う『メメント』は好きだったし、『インソムニア』も(世間的にはガッカリな出来だったかもしれないが)好意的に見た。だけど、『バットマン ビギンズ』以降見た作品は、面白いけれど好きになれないものばかりで、クリストファー・ノーラン監督とは馬が合わないと思っていた。だから、私にとっては今作も「わからないから、もう一度見たい」という魅力に乏しい。そうは言っても、『2001年宇宙の旅』クラスの作品だったという評価が定着したら見るかもしれない。
ロシアの武器商人セイター(ケネス・ブラナー)が、余命幾ばくもないため全世界を道連れに自爆しようとするのがいい。よいキャラクターを作ってくれたと思う。体現したケネス・ブラナーが素晴らしい。ロシア語訛りの英語もロシア人ぽい体形も、目の怖さも、その奥の哀しさも、ブラボー!次は、フランス語訛りの探偵が楽しみだ。
(2020/09/22 TOHOシネマズ高知6)