ミッドナイトスワン

娯楽映画だから楽しんだ者勝ちなんだけど、「あの汚部屋を短時間に一人でこれだけ綺麗にできる?ウソん。」とか細部にツッコミどころが随分あったことと、屋上からの飛翔や露わになった胸や紙おむつの血など、目覚ましポイントが数々仕掛けられていて(退屈はしなかったけれど)引いてしまった。
また、トランスジェンダーの悲劇になっているのが私には面白くない。もっとも悲劇ではなくて、当初、反目し合っていた凪沙(草彅剛)と一果(服部樹咲)が心を通い合わせ、一果は凪沙の分も強く生きていけそうだから、めでたしめでたしと受けとめることはできると思う。
だけど、バレエコンクールにおいて、踊れず棒立ちの一果をステージに駆け上がった母が抱きしめるのを見た凪沙は、タイへ飛んで女性になる手術をし、一果を実家に迎えに行き「女の身体になったから母親にもなれるのよ」と言って修羅場を演じて願い叶わず、手術も失敗と後でわかるというのが堪えた。あそこまで行くと凪沙が一果依存症になったように思えて怖かった。それに東京での二人は充分親子っぽいと言うか、心が通い合っていたのに急いで手術する必要があるのかと思った。母親でも子どもの毒になる人はいるわけだから、まずは子どものためを思う心の方が大切で凪沙は既に母親だと思うんだけど、それはトランスジェンダーの気持ちがわかってないのかもしれない。要は心身の性別の一致が先決ということだ。
それでもタイへ飛ぶ必要があるのかしらん、性別適合手術は保険が利くようになったはず・・・・と思ってネットを検索したら、ホルモン投与(保険適用外)の履歴がある人は手術も自費(百万超え)という、よくわからないことになっていた。

一果とりん(上野鈴華)の場面で、「一果、変わったね」「変わってないよ」と一果がりんの言う良いことを否定し続けキスに至るところ、面白かった。
(2020/09/29 TOHOシネマズ高知7)

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