生誕150年 ジョルジュ・ルオー「ミゼレーレ」展
父親の死がきっかけとなった制作は1922-27年だけど出版は1948年。何度も作り直したり、原画を預けていた人が亡くなったり、その遺族と訴訟になったり、戦争もあったし、というわけで。
第一部は「ミゼレーレ」、第二部は「戦争」からなる58枚の版画は、短辺でも35cm前後で60cm四方に収まる大きさ。当時の機械で刷れる最大の大きさだそうだ。気合い入ってますなぁ!という感じで力のある作品群だ。だから、同調して気が滅入りそうになったりするのだが、きっと良い作品なのだろう、穏やかで温かみがあるしユーモアさえ感じることもあり、疲れなかった。
47枚目の「深き淵より…」は、手前に横たわる人がいて、そのそばの壁にはキリストの顔の絵が掛かっている。壁の途切れた左端はこの家の入り口に向かう通路だろうか、遠景として両手を挙げた人影がうっすらと見える。映画でよくあるゲシュタポに踏み込まれたユダヤ人を連想するが、手前に横たわる人(死んでる?)はキリスト教徒だ。一人の人物の内面を描いた絵が多い中、劇的な一枚だ。
44枚目の「我がうるわしの国、どこにあるのだ?」は、とてもわかりやすい。一目見て戦争でめちゃめちゃになった町に残った建物と死体の山だとわかる。一瞬「うわっ」となったが、屍の向こうの建物の二つの窓に一つの入り口が人の驚いた顔に見えて、それが並んでいるものだから「クスッ」となってしまった。高い建物は窓がいくつもあるが、それも顔に見えてしまった。建物が驚き嘆いていると思うことにした。
聖ヴェロニカの聖骸布のイエスの顔は美しい。キリストの顔が何枚かあるがどれも美しい。いばらの冠から流れる血が生々しいものもある。でも、57枚目の美しさには、キリスト教徒でなくても何かありがたみを感じた。ただし、全身を描いたものは左の胸が乳房に見えてしかたなかった。また、女性は母や尼さんは穏やかで良い人っぽいのだが、それ以外は悪者みたいな感じだ。男性も軍人なんかは悪者みたいな感じ。あと、肩というか腕の付き方が変だなぁと感じたものもあった。もちろん、全体的にはバランスがとれていて問題ない。太ももとか肩とか面白い描き方だなぁ。
目を伏せたり伏せてなくても伏し目がちの人物が多いのだが、瞼が白っぽく描かれているため一度白目を剥いた目(ゾンビ目)に見えてしまうと、どれもこれもゾンビ目に見えてしまい見方の修正に苦労した。
ともあれ、また見たくなる作品が地元の美術館のコレクションなのは嬉しい。尋ねると購入したのは平成11年度(1999年)とのことだった。
2021年度 第1回石元泰博・コレクション展「ヌード」
「ヌード、撮ってたっけ?」と思って行ったら、見たことがある写真もあって、見るたびに「撮ってた撮ってた」と思っているのかもしれない。主役は「女体」ではなく「形(フォルム)」だったり「形と形の響き合い」だから、ヌードと聞いてエロスとイメージする頭では「撮ってたっけ?」になるのだろう。
「六つの作品 三」は、左にあぐらをかいて俯いた女性、背後の壁の右に文字なのかシミなのかよくわからないもの、柱が中央よりやや左にある。壁の文字なのかシミなのかよくわからないものと女性は、形や質感が響き合っていて面白い。
画像は広報ハガキをスキャンしたものだが「六つの作品 一」で、乳房と石のテーブル(?)が響き合っている。石畳の石の丸みや大きさもイイ感じ。
シャガール・コレクション展「ダフニスとクロエ」第1期
ルオーも石元も面白く疲れなかったので苦手なシャガールも観る気になった。誰かシャガールの良さを教えてほしい。
(2021/05/14 高知県立美術館)
ルオーの「ミレセーレ」は
以前金沢に行ったときに見ました。
(まだ元気だった頃の母が勧めてくれて…
出光コレクションの一部じゃなかったかなあ)
お茶屋さんの記事読みながら、ふと
「もう一度見てもいいかなあ」って思いました。
暗くて辛い作品が多かったのに、不思議と
心に残るあたたかみのある銅版画だった
記憶があるからかなあ。
(お茶屋さんもそう書いておられますね)
あらら、「ミセレーレ」と打ったつもりが
ヘンなことになっちゃった。
ゴメンナサイ。
あひゃ~、「ミゼレーレ」だったのですね(゚Д゚)。
「ミゼーレ」と思い込んでいました。タイトルを訂正します。
(出光コレクションでは「ミセレーレ」となっていましたが、県美では「ゼ」となっていたので見た方に訂正しますね。)
ムーマさんに教えてもらえなかったら、そのままでした(謝謝)。
出光はルオーのコレクションしていますね(^o^)。
見に行きました。見たのは油絵だったと思います。なんかビルの高いところだったような、あやふやな記憶。
友だちが模写してくれた道化師が今も自室の壁に掛かっています(^_^)。
ルオー150歳。5月23日(日)までですが、金曜までだと企画展もシャガールも石元も見れないかわりに空き空きですよ~。
ガラガラ美術館だあいすき!
なんとか行こうと自分を焚きつけてます。
お茶屋さんのタイトルは、眼が自動的に
「ミゼレーレ」と読んでて
気がつかなかった(^^;
間違えて良かったみたい。なんか嬉しいデス。
>眼が自動的に
>「ミゼレーレ」と読んで
脳の不思議ですよね~。
私は脳がいまだに「ミゼーレ」に執着しています(^-^;。