少年の君

シャオベイ(イー・ヤンチェンシー)が高橋大輔に見えてしかたなかった(^_^;が、たいへんドラマチックなラブストーリーで感動した。
ニェン(チョウ・ドンユイ)とシャオベイの境遇は、「傷だらけの青春」という言葉がうすっぺらく思えるほど、あまりにも現実味を帯びていて胸が痛んだ。孤立無援の状況は二人の結束を強めるものだから恋愛映画の定石と思えばよかったのかもしれないが、現実世界のいじめや子どもの貧困がちらついて、益々胸が痛むのだった。
それでもドラマの運びは確かなもので、ニェンをいじめ抜いていた女子が死にシャオベイが殺人の容疑で逮捕されると、火曜サスペンス風味も出てきて物語にぐいぐい引き込まれるのであった。

誰かを愛しく思ったり、慕ったり、堅い信頼で結ばれる。それは美しいものだ。
ニェンとシャオベイの取調室を交互に映して二人の結びつきの強さを表現したところは『アタラント号』を思い出したりした。

偉いな~と思ったのは、若手の刑事さん。ニェンの重荷になる嘘を上手い嘘で下ろさせた。真相を話した後、シャオベイと対面し、二人、涙をにじませながらの笑顔がまぶしい。心の中の言葉が聞こえてくるようだった。ここまでくると珠玉のラブストーリーと言うにふさわしい。

中国の大学入試共通テストの様子が描かれていて面白かった。貧富の差やいじめの構造など、どこまでグローバルなんだろう。
(2021/12/24 あたご劇場)

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